モンサントはいらない–Occupyモンサントに寄せて

9月17日はOccupyモンサント世界行動日。日本では18日に東京・東銀座の日本モンサント株式会社前と首相官邸前で行動が行われ、そこで問題を提起しました。時間が限られていて、話しきれなかったので、話したかった内容をまとめておきます。 “モンサントはいらない–Occupyモンサントに寄せて” の続きを読む

遺伝子組み換え大豆の農薬空中散布を止めた母親たち

ノーベル環境賞とも言われるゴールドマン環境賞をアルゼンチンで遺伝子組み換え大豆の農薬散布を止めた母親たちの運動のリーダーのソフィア・ガティカ(Sofia Gatica)さんが受賞した。

この賞は権威あるもの。賞のことより、Sofiaさんの活動のすばらしさに感動を覚えた。単に個人的に感動を覚えるだけでなく、彼女の活動は放射能汚染を抱える日本の多くの人にとってもインスピレーションを与えるに違いないと思う。
Sofia Gaticaさん

彼女の取り組みについては詳しくは短いビデオが作られていてとてもいい出来なので、それを見るのが一番だが、英語なので、ごく簡単にその概要を書いておく(ビデオは末尾に日本語字幕をつけたものを載せてある。3分32秒)。

アルゼンチンは1990年代後半から急激に遺伝子組み換え大豆の生産が拡大し、現在は世界第3位。しかし、その生産方法は広大な土地に大豆だけを植えて、飛行機から農薬を散布するというものだ。この農薬が毒性が高いモンサントの開発したラウンドアップ。
農薬空中散布

ソフィアさんは生まれてすぐの娘をこの農薬によって失った。その娘の死が受け入れられなかったソフィアさんは近くの母親たちを訪ね歩き、農薬の影響を懸念する母親たちを組織して、近所で発生しているガンなどの病気を調べ上げ、地図にまとめた。彼女たちの調査でわかったことは近所のガン発生率は全国レベルの41倍という高さだということだった(下の地図の赤い丸がガン患者)。
近所の病気の地図

母親たちは農薬空中散布ストップキャンペーンを始めた。コミュニティの人たちに農薬の危険を知らせた。
農薬の危険を知らせるセミナーを開く
しかし、その後ソフィアさんは電話で「子どもを殺すぞ」という脅迫を受けるようになり、ある男に銃を頭につきつけられて「大豆と関わるのはやめろ」と脅された。「でも私は止まるわけにはいかなかった」
「ここで起きているのは隠された大量虐殺。ゆっくり、そして秘かに毒を流す」
農薬に苦しむ住民
10年にわたる彼女たちの活動はついに大統領を動かし、農薬の影響調査を保健省に命じた。

ソフィアさんは大学の研究者(Andres Carrasco氏)とも連携して、農薬が出生異常をもたらすことを確認した。
Andres Carrasco博士とSofiaさん
この活動の結果、住民の居住地2500メートルの範囲の農薬空中散布は禁止されることになった。母親たちは全国中の農薬空中散布を禁止することを求めてさらに活動している。

アルゼンチンの農場の6割が大豆になっている。いわば大豆ブームの中でそれに対する闘いがどれほど困難なものか想像してみる。国中が熱中しているものにノーを突きつけるということはそう簡単なことではない。最近でもアルゼンチンで農薬汚染された地下水は塩水と同じだと御用学者が言ったとか。日本の放射能汚染で聞いたような台詞だが、そういう手のものは地球の裏でもごまんといるのだろう。

実際に殺害予告もあった。大農場主が法であり裁判官であるような南米において、その大農場主を敵にするということの怖さはなかなか表現するのが難しいと思う。

しかし、彼女は負けなかった。娘の無念を晴らすということ、そして今心配を抱えているお母さんたちとの連帯がそれを可能にしたのかもしれない。

彼女の闘いは極めて冷静で理詰めであったことは特筆できる。まず実態調査を行い、さらに信頼できるAndres Carrasco博士と動くことで有効な情報を国に突きつけることができた。Andres Carrasco博士はアルゼンチンでの農薬問題が大きな人権問題であることを証明した中心的な科学者である。

今、放射能汚染にまみれる日本、医療機関は情報を隠蔽し、放射能の被害は隠されている。そんな日本においても彼女の闘いはインスピレーションを与えずにはいないだろう。

ビデオはわずか3分32秒。ぜひ見てほしい(日本語字幕つけました)。


このビデオは2012年4月18日に「小農民の闘い国際デー」(勉強会)で南米で起きている遺伝子組み換え大豆による被害の1つとして紹介した。この勉強会の報告も読んでいただければ幸い →小農民の闘い国際デー 日本とのつながりを考える



このソフィアさんたちの作った地図(町の農薬噴霧と関連がありうる病人の存在を記した地図)の詳細が見たいと思って検索していたら見つけた。

地図には白血病、ガン、ガンでなくなった、肝炎自己免疫症などのマークがある。実に痛々しい地図だ。遺伝子組み換え大豆に囲まれた小さな町に異常な病の発生。同様のことは南米の他の地域でも発生しているはずだが、なかなかこうした情報は出てこない。それだけにソフィアさんたちの奮闘の持つ意義ははかりしれない。

放射線測定:高い場所はどこだ?

放射線測定 @砧公園 正面煙突は清掃工場の焼却炉の煙突松戸市役所が貸し出すHORIBA PA-1000Radiで松戸市上本郷の放射線測定したら、雨樋の下など2.5μSv/hという高い値が出た。そこでRADEX RD1706を入手し、世田谷区砧公園周辺を測定してみた。

砧公園はすぐ側に焼却所もある(左写真。目の前の煙突は清掃工場の焼却炉だ)。しかし、値は思ったより低く、0.08μSv/h。公園で落ち葉の上ではしゃぐ子どもたちの姿を見て、「落ち葉には放射性物質がついているから、子どもたちが被曝してしまう。でもよその子に遊ぶなとは言えないし」と暗澹たる気持ちになっていたが、一面、落ち葉が厚く敷き詰められているような場所の地面すれすれを測定しても、値は0.08〜0.12。落ち葉のないところ、あるいは地面から1m離れたところの空間線量と大きな違いがない。道沿いの排水口もそれほど高くはなかった。

0.114μSv/hでほぼ年間1mSvとなる(0.114μSv/hx24x365=998.64μSv/y)。このRD1706はγ線だけでなく、β線も関知するということで高めに出るという。

放射線測定 花壇の枠の中何カ所も計ったが風通しのいいところでは高い放射線量は測定されなかった。しかし、風のふきだめとなるような風をブロックするような場所では放射線量は高い。

右の値は0.32μSv/h。0.30μSv/hでアラーム音が出る設定になっているため、時折、アラームが出た。あちこち、計るうちに、ここは高そうだ、と予測がつくようになってくる。

上の写真と同じ場所世田谷区砧公園周辺では風通しのいいところで放射線量の高いところは見つからなかった。しかし、風通しが遮られるところでは、放射線は高いところがある。風通しが悪そうなところはすべて高いかというとまたそうでもないのだが。

落ち葉をすべて隔離するとなれば保管場所が大変だ。しかし、実際に危険な値を示すのはすべてではない。測定しながら実際に危険で隔離しなければならない落ち葉は世田谷区のレベルではかなり限定できそうだ。それを隔離することで効果的に危険を減らせるだろう。

また外で子どもが遊ぶ時は、風通しのいいところで遊ばせて、吹き溜まりのようなところには近づかないことを徹底すれば子ども被曝は減らせるだろう。犬の散歩でも吹き溜まりのような場所はできるだけ避けた方がいい。

実際に測定することで、放射性物質がどんな場所に蓄積していくのか、イメージできてくる。それは落ち葉よりもはるかに軽く、風で移動してしまう(高汚染地域ではすでに落ち葉や樹木、土壌やコンクリートに深く放射性物質が入り込んでしまっているだろうから、状況は地域によりかなり違うだろう。松戸市では剪定した樹木はすでに高い放射性物質が付着しているため、焼却も不可能、隔離の処理となっていると聞く)。

それだけ軽いものであれば、窓を開けたり、衣服に付着する形で室内に入っていくことは十分想像できる。そして、室内の暖房などで室内を回流するだろう。蓄積する一方になっていくと考えると危険だ。これに対しては空気清浄機が相当役立つだろう。測定するまで、空気清浄機が役立つというイメージがわかなかったのだけど、この結果を考えれば放射性物質は室内の空気の移動でも必ず動くはず。空気清浄機をその対流の中に入れておけば、確実にそれを捉えるはずだ(HEPAフィルターなどは放射性物質の除去に期待できる)。

室内の水拭きが奨励されていて、やらなければとも思うが、水拭きできないような場所もあるし、日常生活を送っていく中でなかなかやろうと思ってできないことも多い。でも空気清浄機を回すことは実践しやすい。安価なものも最近は出ているし。

世田谷区の放射能汚染も決して安心できる状態ではないだろう。特に子どもはもっと放射線量の低い地域に避難できれば避難することが望ましいと思う。決して、こうすれば世田谷でも安全というつもりはまったくない。また瓦礫焼却によって事態は急激に悪化する可能性もある。しかし、生活する以上は放射線量を量り、その危険の度合いを把握することは大いに勧めたい。

NHK BS「<シリーズ チェルノブイリ事故 25年>被曝(ひばく)の森はいま」を観て

NHK BSに「<シリーズ チェルノブイリ事故 25年>被曝(ひばく)の森はいま」という番組があったそうで、NHKオンデマンドで見てみました。おもしろい番組ではありました。

チェルノブイリ原発事故で周辺の生態系は一度死滅。放射線が弱くなった後に死滅したところに周辺から動植物が入り始める。
研究者がその影響について長期間の研究をしている。
その簡単な紹介といったところ。

この地で生まれ育ったねずみは放射線に耐えて繁殖できているが、つばめはずっとこの地で生活しているわけでもないのに左右の羽がつりあわない大きさになったり、生殖機能に深刻な影響が出て、この地では繁殖できずに死にゆくのみ。他の地域でまた生まれるのでつばめはチェルノブイリにも飛んでくるがその数は少ない。

ここで研究するレオニード氏はこの放射能汚染地で育った野菜を食べている。放射線がどこに蓄えられるかを徹底的に調べ、その調査を元に、安全な部位を食べるので内部被ばくもかなり避けられているという。作物によって放射能汚染を抱え込むところが微妙に異なり、ある種の果実は種に放射能を抱え込む一方、果肉はかなり安全とか。

もうちょっと突っ込んで欲しかったというか、もっと知りたいと思ったところで、番組は終わってしまいました。実際にはまだまだ研究が進んでいないのかもしれません。人類にとってほとんど経験のないことだけに(こんな研究が進むこと自身が異常で好ましいことではないのですが、核に取り込まれている現実では不可欠な研究でしょう。もっとも核と共存するための研究であればごめんです。核の被害を減らして、核エネルギー使用をやめていくために役立つのであればいいのだけど)。

東電原発事故以降、東日本では汚染のない安全な食材を求めることは困難になり、この汚染された地域の中で生きていくしかないというのが現実となっていると思います。そうであるなら汚染のない食材が得られないことを嘆くのではなく、核汚染の中でどうやって内部被ばくを避けられるのかを考えなければならなりません。

もちろん、放射線と闘うことはできないし、逃げられるのであれば逃げるべき、特に子どもや子どもを作ろうとしている若い人は可能な限り、危険な放射線の高い地域からは逃げてほしい。留学でも休学でも、なんでもいい。

東日本での食品汚染は広範囲に広がっており、長期化するでしょう。この汚染から逃げ切れない多くの人にとって放射線被曝汚染の危険の最小限化法が必要となっていると思います。

以前と同じ放射性物質を取り込みやすい作物を植えるのではなく、可食部に放射能をため込まない性質を持った作物を積極的に作るとか、さらに、内部被ばくしにくい調理法を開発するとか、そうした方法がないものか。また、同じ野菜でももっとも放射線を含まない箇所を子どもにあげ、放射線に鈍感な大人がその他の部分を食べるようにすれば少しでも将来の被害を緩和できる。また特定の部位に吸収した放射性物質は適切に処理する方法ができれば、汚染された土地の放射線量も自然に任せる以上に早く減らすことができるかもしれない。

そんな都合のいい方法がすぐ見つかるとは思わないけど、もしあるのであれば早急に生産者と消費者の手で実現に移したいところだと思います。食文化も新しく作らないといけないかもしれない。市場に任せていてはまず実現できない。国にもほとんど期待はできない。そんな時に生協や共同購入のネットワークが役立ってくれないかと強く思う次第です。もちろん、われわれの目の前にある課題はそれだけで解決するような規模のものではないと思いますが、それらが一つの媒介者として、国や市場を動かすことができれば、大きな力になりうるし、そうしないと未来がないとさえ思えてきます。