遺伝子組み換え生物の規制緩和を進める日本、米国では訴訟に

 明日が締切の内閣府食品安全委員会の遺伝子組み換え食品に関するパブコメを前に、意見表明します。
 遺伝子組み換え企業の行き詰まりが2015年以降、深刻になっています。世界の市民が遺伝子組み換え食品を拒否したこと、遺伝子組み換え作物の栽培が農家にとってもメリットがないことが明らかになったこと、そして環境に多大な影響を与えていることを考えれば、その事態は当然のことと言えます。あらゆる面でデメリットの明らかになった遺伝子組み換え農業を終わらせる時です。 “遺伝子組み換え生物の規制緩和を進める日本、米国では訴訟に” の続きを読む

食のPFAS汚染、肉で25万倍の汚染検出

 食のPFAS汚染は今後、世界が直面する大きな問題にならざるをえない。汚染企業の責任追及と共に早急に取り組まなければならないのは下水汚泥肥料の規制だ¹。
 
 米国では下水汚泥を肥料の原料にすることが盛んに行われたがその結果、800万ヘクタールの農地がすでに永遠の化学物質と言われるPFASに汚染されてしまったという。下水の中にPFASが紛れ込み、それが肥料の中に入って、農地を汚染してしまう。その結果、特に問題なのは家畜の飼料にPFASが入り込み、家畜の体の中で生物濃縮されてしまう。だから畜産物のPFAS濃度が危険なレベルに上がってしまう。 “食のPFAS汚染、肉で25万倍の汚染検出” の続きを読む

食料・農業・農村基本法改正案は飢餓輸出を招く

 食・農業の憲法と言われる食料・農業・農村基本法改正案が昨日衆議院通過。なぜ、農業が限界状況迎えているのに、政府は抜本的な手を打たないか、要するに日本という国が米国へのコバンザメ国家で、米系多国籍企業へのコバンザメ企業が政治を仕切っているから。 “食料・農業・農村基本法改正案は飢餓輸出を招く” の続きを読む

兵庫県佐用町でユーカリ植林? 杜撰な計画は見直しを!

ユーカリの大規模植林は世界各地で環境や社会に甚大な影響を与え、大問題になっている。その植林はこれまで熱帯地域が中心で、日本でユーカリ大規模植林をするという話は聞いたことがなかったのだけど、日本の兵庫県佐用町で最大東京ドーム3個分に相当する15haのユーカリ植林をするという計画が進んでいるという。
 
 ユーカリ植林になぜ世界で反対が強いかというと、ユーカリはオーストラリアの乾燥した地域で自生している分は問題ないのだが、水を吸い上げる力が極めて強い。乾燥地域ならユーカリくらいしか生きられないから問題はないのだが、そうでない地域でユーカリを大量に植えれば、水がユーカリに奪われてしまう。川の水量が激減し、湖の水が干からびたケースもある。農業は水が減るので大打撃を受ける。 “兵庫県佐用町でユーカリ植林? 杜撰な計画は見直しを!” の続きを読む

「あきたこまちR」は暑さで20〜30%減収になる?

 分子生物学者河田昌東さんが3月29日東京集会にて、OsNramp5遺伝子を破壊された稲は暑さに弱く、2割から3割の減収になったという中国の研究を3月29日東京集会で紹介されたが、この件はとても重大なものだ¹。というのも「あきたこまちR」も「コシヒカリ環1号」も重イオンビーム放射でこのOsNramp5の1塩基を破壊しているからだ。 “「あきたこまちR」は暑さで20〜30%減収になる?” の続きを読む

半世紀前のカドミウム対策のアップデートを

 反公害運動は1970年の公害国会で多大な犠牲の上に世界に先駆けて汚染企業の責任原則を法制化するという金字塔を打ち立てた。しかし、その後の政治はそれを形骸化させた。新たな汚染が進もうとする今、この意義を再確認する必要がある。 “半世紀前のカドミウム対策のアップデートを” の続きを読む

カドミウム汚染への対抗策:在来種Pokkaliの可能性

 インドのケララ州ではカドミウムを稲の実には吸いにくいポッカリ(Pokkali)という在来種の稲があることを知って、関心はあったのだけど、バンダナ・シバさんからこの稲が実はインドの中でももっとも歴史の長い有機栽培の伝統を維持していることを知り、さらに関心がわいた。
 このポッカリは3000年前から栽培されていたことがわかっているという。なぜ、有機生産を続けられてきたかというと、エビの養殖との組み合わせで化学肥料を入れずに肥沃さが保たれるということと、その組み合わせゆえ、同じ面積の田んぼからあがる収益も倍になるかららしい。その有機農法はポッカリ・システムと呼ばれている。
 なぜ、ポッカリのお米にカドミウムを実に入りにくいかというと、カドミウムを吸収するために関わる遺伝子OsNramp5をこのポッカリは二重に持っている。ケララ州の水田は塩分濃度が高いので、その高い塩分濃度に耐えられるようにこの在来種は進化してきたのだろう。この遺伝子が二重になっているため、カドミウムは吸うのだが、それが根の液胞に留まり、実には登っていかない。つまり不要な塩分を根の液胞に蓄え、体内からは隔離する能力を身につけたため、塩分高い水田でも成長することができるのだろう。そして、その能力がカドミウムにも有効に働くということと考えればいいのかもしれない。
 分子生物学者の河田昌東さんによると、遺伝子を二重に持つということは環境の変化への対応で生物がよく見せる反応だということで、自然な反応だと考えられる。
 しかも、このポッカリのお米にはオリザノール、トコフェロール、トコトリエノールなどの抗酸化物質に富み、それは薬用米をしのぐくらいなのだという。アミラーゼ含有量も多いので、糖尿病患者にもよいらしい。さらに塩分の高い水田はメタンガスもほとんど発生させないという。
 気候変動で海面が上がり、塩分濃度が上がることが懸念される中、このポッカリのような稲の活用は重要になっていくかもしれない。ポッカリとは現地の言葉で「何よりも成長する者」という意味。
 このポッカリとコシヒカリの交配に岡山大学の馬教授が成功し、日本でも生かすことができることがわかった。食感はコシヒカリ、そして、カドミウムは吸いにくいから汚染が気になる地域でも安全なお米を作ることができる。
 重イオンビームで遺伝子を破壊した稲よりも、このようなすばらしい特性を自然の中で身につけた稲の方がはるかにいいのではないだろうか?

The Story of Pokkali
https://pokkali.in/

PFAS汚染された農地をどうする?

 誰もが生きるなら汚染のない世界で生きたい。でも、今の世界は汚染が進み、人のいない極地地域でも汚染は発見される。この汚染された世界でどう生きたらいいのか。世界の命をこの汚染からどう守ればいいのか、汚染を減らすにはどうすればいいのか?
 
 言うまでもなく、まず汚染の進行を止めること。汚染物質を禁止し、汚染させた企業、軍などの組織に責任を取らせること。
 でも汚染されてしまった農地はどうするのか。放射性物質、カドミウムやヒ素などの重金属、ラウンドアップ(グリホサート)などの農薬、さらにはPFASなどによって汚染されている農地がある。まったく汚染されていない農地はないだろう。大なり小なり、この汚染された農地からどう安全な食を確保するのか、考えなければならない時代に入っている。 “PFAS汚染された農地をどうする?” の続きを読む