移住労働者の権利の確保なしには未来はない

 今の日本で最も危険だと思うこと。危険なことがありすぎて困るのだけど、特に怖いと思っているのが、日本社会の差別と無関心。多くの人や生態系のつながり、共生関係があるから生きることができているのに、それを無視することができてしまうというのはどんなに危険なことか。マイノリティの差別、人権無視がいかに日本社会を蝕むか、その存在を脅かすか、想像が及ばないのだろうか?
 米国も同様の問題を抱えている。でも今、バイデン政権の下で大きな動きが生まれている。3つの法案が審議中。1100万人の滞在許可を持たない移住労働者(undocumented workers)とその家族に市民権を与える道を開く米国市民法案(The U.S. Citizenship Act)、そして、エッセンシャルワーカーのための市民権法案(The Citizenship for Essential Workers Act)は500万人の滞在許可のない米国内のエッセンシャルワーカーとその家族に滞在許可の道を開き、農場労働力現代化法案(the Farm Workforce Modernization Act)は100万人の滞在許可のない農場労働者に合法的権利の道を開くというもの(1)。
 移住労働者への敵意むき出しだった前政権の姿勢からなんという鮮やかな転換なのだろう。でも、全面的に賞賛することはできない。農場労働力現代化法は農場労働力として移住労働者を確保したい、というアグリビジネスの要望にも応えるものになっていて、合法的資格取得後も農場での仕事に8年間拘束されたり、賃金上昇が限られていたりなどの制約が加えられているとのこと。
 しかし、一方で米国で感心するのは、滞在許可を持たない農場労働者への連帯運動も存在していることで、それが現存する制約を破っていく力になっていくという期待を抱かせる(2)。
 
 これに対して、日本政府はきわめて時代錯誤的な外国人政策を続けている。入管局での人権侵害については先のNHKニュース9の有馬キャスターが退任前の最後の番組で扱ったことは意外だったが、今国会で難民の追い出しにつながりかねない入管法の改正案が出ている(3)。あの米国ですら変わりつつあるのに、日本はなぜこうなんだ。
 「難民の人がかわいそう」というだけでなく、このままでは日本社会が腐っていく。ミヤンマー(ビルマ)軍部との関係も、アマゾン破壊に関わる日本の投資も、日本社会の差別と無関心が可能にしてきていると言えるだろう。
 現在の日本は世界に支えられている。世界の食料生産に、そして世界の生態系に支えられている。その世界との共生を忘れたら、滅びるだけの話なのに、現政権は一顧だにする必要を感じていないようだ。このままでは本当に滅びると思う。その危険を図るバロメーターがマイノリティへの差別だと思う。その差別にどう抗せるか、最重要な課題だ。社会にとっても一人一人にとっても。
 

(1) A Path to Citizenship Is on the Horizon for Undocumented Farmworkers
https://civileats.com/2021/04/05/a-path-to-citizenship-is-on-the-horizon-for-undocumented-farmworkers/

(2) たとえばFood Chain Workers Alliance
https://foodchainworkers.org

(3) 入管法改正は「改悪」 小島さん、せやろがいさんら訴え
https://www.asahi.com/articles/ASP4766B2P47ULFA00N.html

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