鳥インフルエンザの脅威、何をすべきなのか?

 新型コロナウイルス感染、東京は今日1300超。実態はさらにこの数を上回るだろう。医療の現場がどうなるのか。根本的な政策の過ち。医療の民営化、さらには病床削減、医療スタッフの減少など根本的に転換させなければ新型コロナウイルスの危機を克服できても次の感染症で潰れてしまう。政策をただす議論が不可欠。
 新型コロナウイルスだけではない。鳥インフルエンザの急拡大が起きている。まだ日本では人間への感染はないと言われるが、H5N1やH7N9は人にも感染し、感染するときわめて重篤な状況になることが多い(1)。もし人から人に感染し始めたら新型コロナウイルスをはるかに超える甚大な被害が起きるという警告もある(2)。


 
 この鳥インフルエンザについてもまったく誤った政策の連鎖が続いているのではないだろうか?
 農水省は野生の渡り鳥がウイルスを運ぶ犯人だとする。確かに渡り鳥がウイルスを運んでいる事実はあるかもしれない。でもそれが本当の問題の根源か?
 鳥インフルエンザもCovid-19もウイルスが起こすもの。ウイルスが蔓延するのは密集した環境のはず。野生の渡り鳥が主犯であったら、なぜ、密集していない渡り鳥が原因になりえるのか、しかも、渡り鳥が根源だとしたら、なぜ、鳥インフルエンザは1990年代になるまで猛威を振るうことがなかったのか、農水省の説では説明がつかない。
 さらに、政府は感染症対策として家畜を密閉した環境に置く対策を打ち出そうとした。これには大きな反発が出て、撤回となったが、確かに密閉すれば野生の動物との接触は減る。野生動物からの感染リスクは減るかもしれない。でももし、野生の動物が本当の原因でなかったとしたら密閉した環境にすることはさらに「三密」環境を作ることになり、感染症の蔓延は減少どころかさらに悪化することになるだろう。
 
 実際に1990年以降、大きな変化が生まれたのは野生の渡り鳥の側ではなく、畜産場の方だった。米国でのファクトリー・ファーミングの普及により、卵や鶏肉の価格が大幅に下がった。それへの対抗として日本でも詰め込み型の養鶏が増えた。病原菌対策と成長を促すためにも使われる抗生物質が家畜の腸内細菌を損ね、家畜の免疫が落ちていく。そして、それと共にウイルスにも変異が生まれていく。人の中で眠っていたヘルペスウイルスがストレスで活性化して帯状疱疹ができるように家畜の中で眠っていたウイルスが動き出し、変異を始める。
 集約型の畜産場こそが危険なウイルスや病原菌の産出源なのであり、野生生物ではない。家畜が出す病原菌や病原ウイルスの入った糞尿は河川に流れ、それを野生の動物に感染し、感染は他の地域に伝わっていく(3)。しかし、野生生物は全体としては家畜よりも健全性を保っているだろう。野生生物との接触を断つことで感染を防ぐという策は役に立たないだろう。
 
 わたしたちの命、そして多くの生命が生きる環境が急速に危険なものに変えられていったのは最近のこと、ここ20年〜30年の間なのだ。規制緩和によって大きな資本が食を握るようになって、その動きは加速していった。
 
 今、世界ではファクトリー・ファーミングこそが、さまざまな危険な感染症を引き起こす主犯としてあげられるようになってきている。米国ではファクトリー・ファーミングを禁止する署名運動が行われている(4)。日本でも規制の議論を始めなければならない。
 安い卵や肉ではなく、動物福祉に配慮した畜産は畜産品を選ぶことはより安全になるだけでなく、環境にもより影響が少なく、気候変動に対しても有効になりうる。
 
 結局、家畜の尊厳を否定することが人間の命を危うくしている。この悪循環を断ちきるためには、日本でも詰め込み型の畜産を規制していくしかないだろう。人の命だけでなく、それがどれだけ、野生の動物、微生物をも傷めているか、そしてそのことが結局、わたしたちの命の問題にもなっていくか。今、方向を変えなければならない時にわたしたちはいる。
 
———————————-
 1年の最後に書くような投稿かよ、と思われるかもしれません。でも残念ながら年末正月返上で講演資料や原稿を書いています。こうやって書いているものもその一部。本来ならば一年を振り返る余裕がほしかった。コロナでステイホームで時間を持て余して映画や本を見る? そんなことは僕にはまったく無縁でした。いつもにまして追いまくられた一年になってしまいました。決して引っ張りだこでも売れているわけでもなくて、いくらやっても収入にならないことに振り回されざるをえない状況。
 家族に会うこともできないまま1年が過ぎました。でも、家族のためにもこれはやるしかないと思っています。一人っきりの正月というのは生まれて初めてで、さすがに寂しく、わびしく、滅入りますが、言ってられません。正月も平常営業です。来年こそは沖縄の家族の元に行きたい。あ、玄米炊くの忘れてた。今年最後の夕飯は1時間半後、それとも玄米あきらめるか、考えているうちに1時間くらいたちそう…。良いお年を!
———————————-

(1) 厚生労働省鳥インフルエンザについて
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000144523.html

(2) 鳥インフルエンザが人から人に感染したら、1億5000万人が死ぬと国連の感染対策に関わるDavid Nabarroが発言し、物議を醸した。WHOは否定している。
Bird flu pandemic ‘could kill 150m’
https://www.theguardian.com/world/2005/sep/30/birdflu.jamessturcke

(3) BBC: Reality takes wing over bird flu
http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/4721598.stm
Who really was the source of the 2005 bird flu pandemic? All the evidence points to intensive factory farmed poultry
https://medium.com/@GrrlScientist/avian-influenza-a-story-about-industrial-fowl-play-grrlscientist-ed1edf0cae71

(4) BAN CAFOs (Concentrated Animal Feeding Operations)
米国の市民団体によるファクトリー・ファーミングを禁止するためのオンライン署名
https://gmofreeusa.salsalabs.org/farmsystemreformact2019/index.html

Banks Facing Calls To ‘Stop Funding Factory Farming’ To Protect Animals, The Planet, And Public Health
https://plantbasednews.org/news/environment/banks-told-stop-funding-factory-farming/

A first-ever national poll quantifies voter sentiment toward CAFO construction
https://thecounter.org/factory-farm-bans-cafo-poll/

添付の画像は農水省の資料
https://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/tori/

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です