モンサントの歴史的有罪判決ーラウンドアップでガンに

 米カリフォルニア州でモンサントに対する歴史的判決。モンサントのラウンドアップによってガンになったとして訴えていたドウェイン・ジョンソンの訴えを認め、陪審はモンサントに約2億9000万ドル(約320億円)を支払うよう命じた。

 ジョンソン氏は末期ガンであり余命がわずかしかないとされる中での判決だった。しかし、モンサントは上訴する意向という。
 なぜ、この裁判が歴史的か。これまでにフランスなどでもラウンドアップによる健康被害の裁判でモンサントは敗北しているケースはあるが、ガンをもたらしたとして争われた裁判でモンサントが敗北した最初のケースであること。これまではモンサントはこの種の訴えを裁判に持ち込ませないことに成功していたのにも関わらず、今回は裁判が行われ、原告側が提示できたほんの一部の証拠(ラウンドアップによる健康被害)に対して、モンサントは反論できず、有罪が宣告されたことだ。
 そもそも米国においてもEUにおいてもラウンドアップの「安全性」はモンサントの資金で行われた科学とは呼びがたい検証によってでっちあげられたものであり、まともに検証された研究においてモンサントが反証するだけの能力は持っていないということだろう。
 このジョンソン氏の他にも4000人以上が同種の訴えを起こしているという。上訴審で何が起こるかわからないが、この公判で採用されていないラウンドアップの有害性に関する証拠も多数あり、この流れはもはや止められないだろう。

 フランスやドイツなどが3年以内の禁止を公言し、世界的に禁止に向けた動きが加速するラウンドアップ(その主成分グリホサート)は米国においても、発ガン性物質として有罪宣告された、ということの意義はあまりに大きい。
 グリホサートは1974年にモンサントが除草剤としての特許を獲得。遺伝子組み換え農業の開始と共に使用が激増。現在は小麦などの収穫前散布などに使われるなど遺伝子組み換え以外の作物にも多く使われている。この裁判でも争われたが、農業分野だけではなく、学校、公園、道路、線路など広い範囲で使われている。
 グリホサートが及ぼす影響は土壌から人体、蜂や蝶を含む昆虫類など広範囲に及び、人体でも発ガン性だけでなく、生殖能力、内分泌システムへの影響、神経系への影響、呼吸器系、皮膚など影響のおよぶ範囲はあまりに広い。

 スリランカやエルサルバドルなどの農園で働く農業労働者たちが次々に命を落とし、それとグリホサートとの関連が証明され、禁止が決定された。モンサントは米国政府の力を利用して、その決定を覆そうとしている。しかし、今やその範囲はアラブ6カ国、EUにも広がってしまった。ブラジルでも突然の登録停止が決定されている。
 今後、世界でグリホサートの規制は強まっていくだろうし、禁止の実現もそう遠くないかもしれない。それにしても、日本はあろうことかグリホサートを昨年末に最大400倍の規制緩和を行っている。それがこうした文脈に沿ってみる時、いかに異常な方向であるかがわかるだろう。
 日本にとってはこのグリホサートの使用の大幅緩和もそうだが、このラウンドアップに代わる農薬の開発を請け負う1つの企業が住友化学であり、今後、住友化学はモンサントとタッグを組んで、遺伝子組み換え農業を推進していく(すでに住友化学の農薬はモンサントのグリホサートを補う農薬として使われているが、今後は住友化学が作る農薬がメインの農薬として使われていく)可能性があることだ。

 各国どこでもそうなのだけれども、グリホサートに対する反対運動を作り出してきている力は被害を受けた個々人の苦しみから始まっている。一見弱い個人の力は実は巨大な多国籍企業も動転させるものを持っている。多国籍企業が主権を握る、民衆主権から多国籍企業主権へと移り始めている世界だが、こうした個々の人びとの闘いが連携していくことで、巨大な多国籍企業にストップをかけることは可能なのだ。末期ガンを抱えるジョンソン氏や同じような犠牲者たちの被害を救うことはできないかもしれないし、その事実の前に手放しでは喜べない悲しさがこの判決にはある。しかし、これ以上の犠牲者を出さないためにも、この事実を広げ、日本でも早急に禁止するための動きを作り出していかなければならないだろう。

AFP:除草剤で末期がんに、米裁判所 モンサントに約320億円の支払い命じる
この裁判では感動的な意見陳述がされ、それを伝えるこの記事の写真もその様子を伝えている。

Monsanto Loses Landmark Roundup Cancer Trial, Set to Pay USD 289 Million in Damages

『遺伝子組み換えルーレット』の監督ジェフリー・スミス氏もこの裁判に深く関わった。彼の判決直後の興奮を伝えるビデオ録画

Moms Across Americaのゼンさんもこの公判の支援に駆けつけている。そしてこの公判、最初からすべてを一人の女性が追い続けている。大きな組織を持っているわけではない、一市民が多くの人びとの関心を引きつけ、この公判の実現に動いている
https://glyphosategirl.com/blog/

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