市場法改悪法案、承認に抗議

 市場法改悪案が昨日、参議院の農林水産委員会を通過した。残念ながら報道が見つからない。これまでの市場法は米騒動などに現れた人びとの大きな声があって、巨大資本による買い占めを許さない制度として成立することができた希有なもの。これが壊される。市場原理に任せてしまえば巨大資本に独占されてしまう。
 種子法廃止問題の方には少なからぬ人たちの注目が集まってきたが、種子法廃止だけでなく、農業競争力強化支援法、市場法改悪とつなげて見ないといけない。食の上流(タネ)から食の下流(流通)まで巨大資本に握らせるための法制度改悪だ。人びとの権利、公共の富が極少数の大企業に握られ、消費者、生産者は無視され収奪されてしまう仕組みに変えられてしまおうとしている。
 写真は世界銀行が作った計画だが食の上流から下流まで企業の自由にさせろというもので、まさにそれをもっとも忠実に実行しているのが日本ということがいえるだろう。

 ブラジルで貧困層の糖尿病が激増している。なぜか? 地域で生鮮野菜などを作っていた家族農家が追い出される。輸出用の遺伝子組み換え大豆や牧場の大規模農場に変えられていく。生鮮野菜は地域の貧困層には手の届かないものとなり、安い加工食品ばかりを食べざるをえなくなっていく。工業的な食が人びとの健康を損ねていく。地域の食の市場、地域の食のシステムが壊される。それは日本でも起こりつつある。今後、急速に進んでいくかもしれない。

 日本社会のインフラがここ数年でめちゃくちゃに壊されようとしている。水も教育も、そして食も。国会は完全に形骸化され、規制改革推進会議が主権者に成り代わる。民主主義の崩壊。これだけの恐ろしいプロセスが進んでいるのにマスメディアは語らない。人びともほぼ知らない。このまま無為のまま進んでいくのであれば10年後がいかに荒廃したものになってしまうか、考えるのも恐ろしい。絶望? いやいやとんででもない。

 遺伝子組み換え農業の大規模化など世界最悪のプロセスが進むブラジルでは、しかし、逆の動きも非常に強くなってきている。貧困に苦しむ農業労働者たちが農地改革で得た農園で農薬も化学肥料も使わないアグロエコロジー的生産に取り組む。国中で広がるその実践は政府をも動かし、支援法が成立する。そしてその生産により、地域に健全な食のシステムが復活し、動き始める。人びとも健康を取り戻し始める。農家の種子の存在意義が再認識され、法で守られ、その中で活用されていく。

 今、日本でも地域でさまざまな実践が進みつつある。地域循環型の食のシステム、それは日本の未来を先取りしたものになっているといえるだろう。

 TPPが成立すればそうしたものはすべてISDで潰されるという悲観の声が聞こえてくる。確かにその危険はある。しかし一方でそうした多国籍企業の横暴を許さない取り組みも世界で高まりつつある。多国籍企業による人権侵害を処罰する拘束力のある国際条約の制定を求める動きがその1つだ。そして来年から「家族農業の10年」が始まる。小農の権利条約も成立が間近だ。
 世界で地域の食のシステム、地域の家族農家を守ることは共通の課題となっており、世界の地域で地域の食のシステムを取り戻す動きが大きくなってきている。そうした地域の国際的な連帯のもとで多国籍企業の動きを規制していくことは十分実現可能だろう。

 さて、そうした動きを日本で大きくしていくための行動計画を自分たちはどれだけ持っているだろうか? どんな制度が必要か、その制度を作るプランができているだろうか? 青写真を持っているだろうか? ちょっとかなりそうした作業が遅れているというか手についていないような気がしてならない。

 全然絶望している暇なんかなくて、大きな確実な可能性に向けてやらなければならないことが山積みされているのが現状だということになる。さてと忙しい…。

市場法改正案の審議状況(種子法の2ヶ月よりはましだけどまだ上程3ヶ月のスピード審議で残るは参院本会議での採決のみ)。
追記。15日この記事を書いた直後に市場法改正案は参議院本会議で承認された。

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