インド高裁、モンサントの遺伝子組み換え特許を否定

 モンサントの特許がインドで否定された!
 インド・デリーの地方高等裁判所はモンサントの遺伝子組み換えコットン(Btコットン、BollgardとBollgard II)の特許を否定した。モンサントは最高裁へ上告するだろうが、もし最高裁でも同じ結論になればモンサントはインドから去るかもしれない。
 驚きの判決かもしれないが、実はインドだけではない。すでにブラジル最高裁はモンサントの遺伝子組み換え大豆の特許の失効を宣言している。アルゼンチンはそもそもモンサントのための法制度の整備すらしていない。
 実際にモンサントはアルゼンチンとインドに潜り込むようにして、遺伝子組み換え栽培を始めている。その際、まともな法的手続きが取られていない。バンダナ・シバはインドでの遺伝子組み換え栽培が違法に始められたとかねてから主張してきたが、まさに法的根拠がなかったことがあらためて確認されたといえるだろう。
 民主的に議論して、制度を作って、それから遺伝子組み換え農業を始めるのではなく、政治家を買収して、さらに種子企業も買収して、一方的にこれらの国で遺伝子組み換え栽培を始めてしまった。そしてアルゼンチンの大豆のほぼ100%、インドでも9割近いコットンを遺伝子組み換えにしてしまった。遺伝子組み換え大豆の栽培を禁止したブラジルやパラグアイにはこのアルゼンチンから遺伝子組み換え大豆が密輸され、遺伝子組み換え大豆の栽培が既成事実化され、やがて合法化されてしまった。
 このBtコットンはインドの農民に悲劇をもたらした。特に灌漑のない地域では従来のコットンに比べはるかに生産性が低く、またすぐに害虫に抵抗性が生じ、高い価格で種子を買わされたのに収穫が得られず、債務を追わされたインドの多くの農民が自殺を余儀なくされた。ついにインド政府も腰を上げ、その種子に課されるモンサントの高いロイヤリティを下げさせた。
 南米でもインドでもモンサントの農業の法的根拠のなさが曝露されたことになる。
 もっとも、遺伝子組み換え農業の正当性が争われたのではなく、インドの企業がモンサントの開発したBtコットンの種子の販売を止めさせろというモンサントの主張とその根拠となるモンサントの特許が否定されただけなので、これだけでインドが遺伝子組み換え農業から自由になっていくというわけではないが、その判決が持つ意味は大きいだろう。
 TPPやRCEPなどが進むことにより、国際機関がその特許を認め、自由貿易協定を結んだ国はそれを遵守せざるをえないような体制が作られてしまう危険も存在している。
 インドの高裁はまっとうな判決を出したと言えるだろうが、日本政府は昨日も新たなグリホサート耐性遺伝子組み換えワタの承認に向けたパブリックコメントを開始したように、着々と遺伝子組み換え農業の推進を図っている。
 食のシステムの支配を可能にしてしまう生命への特許は許されない。

Report: Monsanto May Leave India After Losing GMO Cotton Patent

Monsanto Can’t Have Patent on Bt Cotton in India, Court Says

Delhi HC blow to Monsanto on patent for Bt cotton seed technology

モンサントを買収したバイエルのグリホサート耐性遺伝子組み換えの食品としての承認に関するパブリックコメント(4月18日開始、締め切り5月17日)
除草剤グリホサート及び4-ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ阻害型除草剤耐性ワタGHB811に係る食品健康影響評価に関する審議結果(案)についての意見・情報の募集について

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