もう1つ、より危険な遺伝子組み換え、モンサントのIntacta

枯れ葉剤耐性遺伝子組み換え大豆は米国でもブラジルでも大問題になっており、来年日本人の胃袋に入ってくるかどうかまだわからない。止まってくれるかもしれない。そう期待したい。だけど、残念ながら確実に入るであろうものにモンサントが鳴り物入りで宣伝する新世代遺伝子組み換え大豆、Intacta RR2 PRO(RR2=Roudup Ready2、以下略してIntactaと表記する)がある。

Intactaはこれまでのラウンドアップ耐性(モンサント開発の農薬をかけても枯れない)の上に、Bt(虫が食べたら死んでしまう毒素を生成する)を加えたものだ。これまでラウンドアップ耐性の有毒性やBt遺伝子組み換えの有毒性、それぞれさまざまな調査が取り組まれてきたが、この大豆はその危険の2つを併せ持つことになる。

このIntactaに対して、中国政府は長いこと承認を阻んできた。アルゼンチンやブラジルから大臣が中国を訪れ説得を試みるも承認を得られず(なぜ、モンサントのためにブラジルやアルゼンチンから大臣が行ったのだろう、その元記事が今見つからず、確認できず。記憶違いじゃないと思うが)、ブラジル最大の大豆生産州の組合はIntactaは3分の2の輸出先の中国が承認しないのなら植えないと宣言していた。しかし、その中国もオバマとの首脳会談後、承認してしまう。

こうしてIntactaはブラジルでもアルゼンチンでも今年から大々的に耕作されてしまい、この危険な大豆が日本にもやってくるシナリオができあがってしまった。残念ながら日本にやってきても、それがどこに入ってきたか消費者には知る術はない。もし、遺伝子組み換え飼料は一切使わないという肉以外は食べない、遺伝子組み換えを使っているような加工食品は一切食べない、という人以外、食べる可能性が高い。

そんな中、ブラジルからのニュース。1つは悪くないニュースと、もう1つは気色が悪くなるニュース。

1つはこのIntactaはブラジルの大豆農家にとても不人気で、モンサントは種子をいっぱい作ったけれども、売れ残る状況だという。モンサントはIntactaは8%の農地に撒かれることを期待しているようだが、まったく不人気でそこまで売れそうにない。

そもそのこのIntacta、農民の必要性に応えるために登場したものではないから当たり前のことなのだ。ブラジルの裁判所は2010年の時点でモンサントのラウンドアップ耐性大豆の特許が切れていると判断した。そして2010年以降にモンサントが農民から徴収していた特許料(ロイヤルティ)は無効でモンサントは農民に払い戻さなければならなくなった。しかし、モンサントは払い戻そうとせず、このラウンドアップ耐性大豆に代わる大豆を持ってきた。これがIntactaだ。しかし、何も新しいところはない。すでに特許切れのラウンドアップ耐性という性質の上に、Btという殺虫性の機能を加えただけ。しかもこのBtという技術そのものはラウンドアップ耐性と同じだけ古いもの。古いものを2つ足して、新しいものだと言っても誰が文字通り受け取るだろうか? Intactaは特許切れをごまかすだけの特許ロンダリングでしかないのだ。

しかもブラジルの大豆にはBtが対象とするような虫の害は深刻でなかったという証言もある。しかし、このIntactaが登場した頃からこの害虫が現れてきたというのだが、それはあまりに陰謀論的にも聞こえなくもない。

モンサントは新世代大豆と宣伝して売り込んでいるが、それは農民が欲している性格を持っているものではなかった。そればかりかIntactaのロイヤルティはぐっと高くなる(1ヘクタールあたり115レアル。これは以前に比べ一気に5倍。22レアルだったもの)。

反発しない方がおかしいだろう。しかし、不人気のおかげでそれほど耕作されないとしたらそれはいいニュースではある。しかし種子を握っているのはモンサント。それしかなくなれば植えざるをえなくなる。そしてモンサントは今年は赤字でもやがてほとんどがIntactaが圧倒するとみている。独占の怖さだ。

もちろん、今、ブラジルには非遺伝子組み換え大豆の種子を提供する「自由な大豆」プロジェクトもあり、まだ選択の余地がないわけではない。

悪いニュースは、これまた面倒な話しなのだけど、ブラジルで大豆生産が一番多いマトグロッソ州の裁判所が出したモンサントに不利な判決が無効にされてしまったようだ。

モンサントは、失効した初代のラウンドアップ耐性大豆のロイヤルティの返金を放棄した大豆農家には新しいIntactaの種子を値引きして(1ヘクタールあたり、18.5レアルの値引き)、放棄しない農家には根引きなしにするという条件を農民に課そうとした。これは不法だと訴えた農民の訴えを認めて、この条件で売ることを裁判所は禁止したのだが、この禁止が無効となり、モンサントはこの条件でIntactaを売れることになったようだ(もっともその無効判決をさらに無効にする裁判とか進行しているかもしれない、とてもややこしい国だ。いくらいい判決が出て喜んでいても、結局、強者は知らぬ間にそのいい判決を無効にできてしまう)。とりあえず末尾に書かれた記事にはそう書いてある。

もっともそれまでしてIntactaを買いたい農民がどれほどいるか、ということだが、それ以外選択がない農民が少ないことを祈るばかり。

それにしてもモンサントは裁判所に「不正」と認定されたロイヤルティ徴収もびた一文、返さないつもりなのだ。裁判所の判決にも従わずに自分のルールを強制するというのは一体なんという企業なのだろう。

参考資料

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