Rio+20/ピープルズ・サミット:注目すべき会議・イベント(3)

Manifestação das Mulheres na Cúpula dos Povos – 18 de junho, 10 horas, no MAM
Rio+20/ピープルズ・サミット、6月18日午前10時フラメンゴ公園のかなり外れにある現代美術博物館で女性の行動が行われる。命と自然の商品化に反対、グリーンエコノミーという偽りの解決策への女性の立場からのマニフェスト

Manifestação das Mulheres na Cúpula dos Povos – 18 de junho, 10 horas, no MAM

Rio+20: 日本政府のセラード開発のセミナーに対する懸念

Rio+20に平行されて開かれるイベントで日本政府の主催でセラード開発に関するセミナーが開かれるようだ。セラードはブラジル中央部のサバンナ地域だが、日本政府は「不毛の大地」と決めつけ、この地で大規模大豆生産を進め、確かにこの地域は大穀倉地域となった。しかしその社会的、環境的対価は小さなものではない。

セラード地域は決して不毛の大地ではない。世界に他にない生態系がここにあり、未だ十分解明されていない。アマゾンやパンタナル湿原の水源でもある。しかし、広大な森林が開発によって失われ、土壌や水源の崩壊など少なからぬ被害が出ている。アマゾンの渇水を懸念する声もある。
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Rio+20/ピープルズ・サミット:注目すべき会議・イベント(2)

Rio+20に平行(あるいは対抗)して開かれるピープルズ・サミットには世界の市民組織が集まる。

中でも下記の会議に注目してほしい。

KARI-OCA 世界先住民族会議

KARI-OCA世界先住民族会議のロゴ先の記事でXingu+23に言及したが、ベロモンチダムのみならず、南米各地でダム、石油・鉱山開発などにより先住民族の生存が危機にさらされている。
その中で世界の先住民族がリオデジャネイロに集まり、議論する。日本からも沖縄から参加があると聞いている。
http://karioca-caravana.org/ (このサイトがKARI-OCAとどういう関係にあるのか今ひとつわからないが)。
会議の場所はリオ市街から離れたリオセントロの方に近い地域。

TENDA ANTINUCLEAR(反核テント)

TENDA ANTINUCLEAR(反核テント)にも注目(6月15日朝から終日予定)。
TENDA ANTINUCLEAR@CÚPULA DOS POVOS/People's Summitこの会議にはブラジルで原発反対運動に取り組む各地の運動の他、ウラン鉱山、核廃棄場の問題に取り組む人たちも来る他、チェルノブイリからの若者の参加も予定されているとのことだ。日本からも福島県有機農業ネットワークの方たちをはじめとする人たちが参加して、福島の事故の経験を共有する予定になっている。

世界自由メディアフォーラム

世界社会フォーラムに集まる世界中のさまざまな運動と連携している自由メディアのフォーラムが6月16日〜17日にピープルズ・サミットで行われる。
Forum Mundial Mídia Livreのサイト

ピープルズ・サミット

ピープルズ・サミットのロゴ最後にピープルズ・サミット。これは反核テントや世界自由メディアフォーラムが集う場であり、3万人の人がさまざまな会合を持つので、並列して扱うべき会議ではないが、ここに置いておく。

問題は英語での情報が出てない。ポルトガル語でも各会議の情報が出ていないなどの問題があって、実際、こちらにとっても現地に行かないと何もわからないのが率直な状況。追加: プログラムの一部がオンラインになった。ただし、ポルトガル語。膨大な数の会議がある。これで部分とは…。Veja a programação parcial da Cúpula dos Povos

とりあえず、後は現地で。

ピープルズ・サミットのサイト

Rio+20/ピープルズ・サミット:注目すべき会議・イベント(1)

Rio+20ではリオデジャネイロ市街から30kmほど離れたリオセントロで国連の公式会議が開かれる。リオデジャネイロの市街、フラメンゴ公園(フラメンゴの埋め立て地に作られた公園)では3万人もの世界からの社会運動、NGOなどが参加してピープルズ・サミットが開かれる。

さらにリオデジャネイロから遠く離れてアマゾン奥地のアルタミラでXingu+23という会議が13日から17日まで開かれる。これは現在、建設が強引に進められているベロモンチダムに反対する先住民族、川の民、アルタミラの住民、支援団体・個人が開くもので、ダムの建設を進めるブラジル政府に対して強い反対の意志を表示しようというものだ。

Xingu+23のサイト

この+23とは23年前の1989年にベロモンチダム建設が止まった、それから23年を意味している。ベロモンチダム建設は軍事独裁時代の70年代に計画され、それ以来、長い反対の闘いが続けられてきた。そして昨年ついに建設が始まってしまった。

昨年作られた以下のビデオは建設が始まる直前の状況を語る。

昨年建設開始以降、大きな問題がすでに作られてしまっている。政府は住民に対して影響力を最小限にするための施策を保障した。しかし、それは裏切られ、契約された大勢の労働者が来ているにも関わらず、町の病院などのインフラはそのまま、少女買春の急増、さらにはその労働者の労働条件を巡るたびたびのストライキなど混乱が続いている。川のせき止めも始まり、水が濁り、川で生活する人びとの生活に直接的な影響が生まれてしまっている。

この動きに対して、前環境大臣で先の大統領選で善戦したマリーナ・シウバ、ブラジル音楽の巨匠で元文化大臣のジウベルト・ジル、解放の神学者として有名なレオナルド・ボフなど著名人も賛同し、ベロモンチダムを止めるために動いている。

しかし工事は進み森林破壊は広がっている。その状況を伝えるAPFの番組(ポルトガル語)

ベロモンチダムの他にもアマゾンに多数のダム建設が進められようとしている。ダム建設はアマゾンの生態系に大きな影響を与える。このRio+20が終わると一斉に建設が加速するのではないか、先住民族や環境問題に関わる人びとにはそうした懸念がある。こうして開発されるダムの多くはアマゾンでの鉱山開発のためのエネルギー、あるいはアマゾンに建設される工場などで使われる可能性が高い。いずれにしてもアマゾンとその住民には何のメリットももたらさない開発計画である。こうした現状にはぜひ目を向けてほしい。

Rio+20/ピープルズ・サミット: ブラジル市民組織情報(2)

ブラジルの注目すべき市民組織の紹介その2

時間がないため、団体を分野別に整理する余裕がないが、参考にしていただければ幸い。

CIMI (Conselho Indigenista Missionário)
先住民族宣教協議会。1972年軍事独裁のまっただ中にカトリックのブラジル司教協議会(CNBB)の元に作られた先住民族の権利擁護のために作られたNGO。CIMIは設立以来、ブラジル社会による先住民族の迫害に対して、警鐘を鳴らし続けてきた。ブラジルを代表するNGOの1つ。
CPT (Comissão Pastoral da Terra)
1975年の軍事独裁の厳しい時代にカトリックのブラジル司教協議会(CNBB)の元に小農民や農業労働者の土地の権利の確立を求めて設立された団体。毎年、『農地紛争』白書を出しているが、それはブラジルの農地改革、土地問題に関する最良のレファランスとなっている。ブラジルを代表する重要なNGOの1つ。
MST (Movimento dos Trabalhadores Rurais Sem Terra)
土地なし農民運動とか訳されることが多いが、正しくは土地なし地方労働者運動。ここでの地方労働者とは農園での労働者をほぼ意味する。地方の都市部に住み、大地主の農園の労働につく。そうした地方労働者たちが土地の権利を求めて農地改革を求める直接行動(活用されていない土地を占拠して、農地改革を要求する)を行っていく。この直接行動は憲法の規定に則った運動であり、支持者は都市部にも多い。しかし、大土地所有者からの迫害で犠牲者も多く出している。
Reporter Brasil
2001年に設立された地方農園での奴隷労働など労働者や住民の人権侵害問題に関わる調査報道を行うためにジャーナリストや研究者・教育者によって設立されたNGO。三井物産の100%子会社の契約農場で起きた先住民族の土地強奪(ランドグラブ)の調査も行っている。ダイレクターのレオナルド・サカモト氏(日系人?)はこの分野での著名人であり、影響力のあるブロガーでもある。Blog do Leonardo Sakamoto
Imazon (Instituto do Homem e Meio Ambiente da Amazônia)
アマゾンの環境保護のために衛星写真を使って毎月の森林破壊状況をポルトガル語と英語で報告を出すなど、森林保護政策に関して調査・報告を行う一方、地域の人びとが森を守りながら経済的活動できるような支援活動、たとえば森の実がどれくらいで売れるかなどの情報提供も行っている。この団体は他の団体と異なり、アマゾン河口の町、ベレンに本拠を置く。なかなか直接会える機会は少ないだろう。団体名のリンクはRio+20の間、どこにいるかが書かれている。アマゾンの未来を聞くならこの団体に話しを聞くといい。オルタナティブな実践含めて興味深い話が聞けると思う。英語も通じるのではないか?

Rio+20/ピープルズ・サミット: ブラジル市民組織情報(1)

1992年の国連環境開発会議(UNCED)から20年、大きな会議(Rio+20)がリオデジャネイロで行われる。

原発の世界的廃止に向け、日本からも多く人が参加する。その声をリオを通じて世界に発信することはきわめて重要だろう。

この20年、南米は巨大な開発の波に第2の植民地化が進んだ時期と言ってもいい。その中で先住民族や小農民が犠牲となっているが日本ではほとんど報道されない。その意味でもそうした人たちの声を聞くことができる機会でもある。

そのためにブラジルの市民組織についてごく簡単にまとめたい。

IBASE (Instituto Brasileiro de Análises Sociais e Econômicas) ブラジル社会経済分析研究所

1981年創立、ブラジルの中心的なNGO。「社会を民主化するために情報を民主化しよう」というスローガンの元に政府の情報を分析・調査し、さまざまな媒体を使って市民をエンパワーする活動を行ってきた。以前はブラジル初となるインターネット・プロバイダーでもあるAlterNexを運営し、APC(Association for Progressive Communications、進歩的コミュニケーション協会)の本部ともなっていた。ビデオやラジオ番組制作部ももち、早くからマルチメディア的展開をしていた(現在はマルチメディア部門はない)。
1993年からブラジル全土を巻き込んだ巨大な運動、飢餓に対決する命のための運動(通称、反飢餓キャンペーン)でも大きな役割を果たし、2001年からの世界社会フォーラムの実現でも中心的な役割を果たす、キーとなる団体。
最近ではブラジル開発銀行(BNDES)の融資のあり方について問いかけるフォーラムを運営している。ブラジルが海外にも融資する時代になって、こうした活動はさらに重要になってきている。
FASE (Federação de Órgãos para Assistência Social e Educacional)
1961年創立。軍事独裁時代からブラジル各地に拠点を持ち、民主化のための抵抗の拠点になってきた。各地で小農民支援、教育活動を展開。IBASEと共に農地改革や開発プロジェクトの矛盾、ジェンダー問題などの調査、活動を行ってきた。Rio+20でも中心的な役割を果たしている。
AS-PTA – Agricultura Familiar e Agroecologia
家族農業とアグロエコロジーのための適正技術の普及、政府の政策に対するロビー活動なども行っている。小農民支援においては具体的な経験を持ち、信頼できる。
IDEC (Instituto Brasileiro de Defesa do Consumidor、ブラジル消費者支援研究所)
Greenpeaceと共にブラジルにおける遺伝子組み換えに対して訴訟を起こし、その禁止を勝ち取るなど、消費者の立場からその権利獲得に向けて運動している(結局、その後、遺伝子組み換えは無理矢理合法化されてしまうが)。現在はインターネットへのアクセスの権利、ブロードバンドの計画への市民権を確保するための活動などを行っている。

続く(リクエストあればコメントお願いします)

Rio+20:ブラジルの環境問題と日本

UNDB市民ネットセミナー「地域の声をリオへつなぐ」 2012年5月26日13時30分〜16時30分 地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)で話をさせていただいた。

生物多様性問題、環境問題に関わる日本の多くの人たちがリオデジャネイロで6月に開かれるRio+20に参加する。

この機会は2つの意味で重要だと個人的に思っている。

1つは福島東電原発事故と闘う人びとの声を直接、世界の人びとに伝えること
そして、もう1つは南米で進むジェノサイド・エコサイドの実態を日本からの人びとが目で耳で知ること。

福島、そして各地にある深刻な放射能汚染、その中で苦闘する人びとのことをインターネットを通じて伝えることの困難さ、直接、苦闘されている方々の言葉を届けることができればどれほど大きな力になるだろうか?

同時に、ブラジルを中心とした南米の状況を整理する中で、特に都市から遠く離れた地域で起きているジェノサイドの問題をあらためて考えざるをえなかった。遺伝子組み換え、ダム、鉱山開発、ユーカリ植林など、その深刻さには時に言葉を失う。

そして、いくら僕が言葉を駆使しても伝わらないものがある。直接、被害者の口から語られる言葉を聞くことの意義ははかりしれないほど大きい。ブラジルで起きているこれらの破壊すべてにおいて、悲しいことにも日本は深く関わっている。そして南米の遺伝子組み換え汚染は日本やアジアにも押し寄せる可能性が高い。

福島を中心とした放射能汚染と南米での遺伝子組み換え汚染(遺伝子組み換えの汚染+農薬汚染)は僕には1つの表裏のことに思えてならない。

この二つの経験を交わし合うことには歴史的意義があると思う。もちろん、単に経験を交わし合うにとどめずに、今後、この世界の動きを反転させ、変えていくための地球大の連携を作り出していくこと、それができるのはRio+20のピープルズ・サミット以外には見出しにくいだろう。

この機会にA SEED JAPANの人びとのご好意でその一団に混ぜていただけることになった。機会を最大限に生かせるようにできる限りのことをしたいと思う。

ベロモンチダムのビデオ紹介 & Xingu+23

ブラジルのベロモンチダムにより大きな影響を受ける先住民族が他の遠くの地域の先住民族と共にダム建設と闘う決意を語るビデオ。マトグロッソ州ピアルスで300人、18の­異なる民族を代表する先住民族が集まり、ベロモンチダムが先住民族に対して与える影響を語り合い、決意を固める。

オリジナルは”Belo Monte – Piaruçu”
すでにダムの建設は2011年に始まり、川は濁り、人びとは大きな影響を受けている。現地で何が起きているか、上のビデオをぜひ見てほしい。映像も音楽も美しいビデオなので、そのまま再生させるのではなく、歯車のアイコンをクリックして、解像度を720p HDを選択し、さらに全画面で見てほしい。

ベロモンチダムに影響を受けるシングー川周辺先住民族や住民はRio+20が開かれている同じ時期、ダム建設地に近いアルタミラに集まり、Xingu+23という集まりを持つ。+23とは1989年にベロモンチダムの建設を止めた年から23年ということを意味する。

すでにサイトも立ち上がっていて、寄付も受け付けている。Xingu+23
資金的にも厳しい中行われるこの会議、なんとか支援したいところだが、日本からは直接寄付が難しいようだ。

支援するいい方法がないものか模索中。