農薬規制の抜け穴:種子コーティング

 農薬使用は米国でも規制される流れになっているが、まったく規制されていない抜け穴がある。それがタネへの農薬コーティング。米国で生産されるトウモロコシのほとんど、大豆の大部分の種子がネオニコチノイド系農薬などの農薬でコーティングされている。タネにコーティングされたネオニコチノイド系農薬は作物が生長するにつれて植物の細胞に埋め込まれる。それを食べた虫は死ぬ。その毒性は出荷される農作物でも維持され、健康にも影響を与えることが懸念される。
 虫だけではない。コーティングされた物質の大部分は土壌に溶け出し、土壌微生物や鳥などの野生動物にも影響を与えていることが知られるようになってきている。ネオニコチノイド系農薬の規制は強まる傾向だが、この種子コーティングは現在、米国では環境保護局(EPA)では把握すらしておらず、規制法も存在していない。
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グリホサート残留ゼロの食品ラベル:農薬フリーな世界をめざして

 食品へのラベル、世界ではいろんなものが生まれていることを示した(4月21日の投稿)。でも全然網羅できていない。その中でもこれ。モンサントの農薬ラウンドアップ(主成分名グリホサート)がないことを示すグリホサート残留ゼロのラベル(1)。

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農薬規制と効果的な除草法

化学農業の限界がはっきり見えた。巨額の開発費をかけてもあっという間に自然は耐性を身につけてしまう。そして、一方で多くの生物がその化学物質によって滅ぼされていく。土壌微生物から植物、昆虫、鳥類、魚などの水生生物、動物、そして言うまでもなく人間も大きく傷ついていく。化学農薬を使わなくても生産性を保ちつつ、人間を含む生態系を守ることは可能。世界はそちらに舵を切り始めた。でも日本は? “農薬規制と効果的な除草法” の続きを読む

モンサント/バイエル、ラウンドアップ裁判でさらに敗北

 もう1つ朗報 モンサント(現バイエル)の除草剤ラウンドアップによって非ホジキンリンパ腫(血液のガン)となったとして訴訟したハードマン氏に対する裁判でバイエルに8000万ドルの賠償金を命じる判決(後に2500万ドルに減額。約27億3500万円)を無効として異議を申し立てていたバイエルの訴えを棄却! “モンサント/バイエル、ラウンドアップ裁判でさらに敗北” の続きを読む

毒の同盟CropLifeが国連を握る?

 最近、食料システムという言葉がやたらと出てくる。本来、地域社会を支える食のシステムが大なり小なり世界にはあって、政府もそれを前提にしていた。それをインターネットをバックボーンに農業をデジタル化して種苗から生産、流通まで多国籍企業が国境を越えて握る仕組みができた。これを新しい食料システムとして世界に導入を図っていく。それを進める勢力の核となるのがCropLifeという遺伝子組み換え企業とその周辺企業のロビー団体なのだけど、この団体は国連FAOを丸め込み、パートナー契約をして、今後の世界の農業政策に影響を与えようとしている。
 でも、世界はCropLifeにどう対応しているかをみてみよう。 “毒の同盟CropLifeが国連を握る?” の続きを読む

ベトナム戦争とモンサント:問われる責任

 フランスでのベトナム戦争のランチハンド作戦(枯れ葉剤作戦)における14企業の責任を問う裁判、フランスの裁判所はなんと棄却(1)。これほど多くの人がTran To Nga(チャン・トー・ガー)さんの訴えに耳を傾け、世界のメディアが注目する中でのこの裁定はがっかり、というところだけれども、当の弁護団は、これだけの大きな問題では裁判所も慎重にならざるをえないでしょう、と理解した上で、控訴するとのことで、要するにこれから始まったというところだろう(2)。 “ベトナム戦争とモンサント:問われる責任” の続きを読む

ラウンドアップを禁止しなければならない理由

 モンサント(現バイエル)の除草剤ラウンドアップ(主成分グリホサート)は安全とされる濃度であったとしても体内に入ると、腸内微生物叢を撹乱する。人間の免疫の中心である腸、そして第2の脳と言われる腸がこうやって撹乱されてゆく。
 グリホサートは植物がアミノ酸を作るシキミ酸経路をブロックする。アミノ酸を作れなくなれば体が作れなくなる。だから枯れる。モンサントは植物は枯れるけど、動物や人間にはシキミ酸経路がないので、とっても安全、と言い切ってきた。確かに人には植物が持つシキミ酸経路はない。でも人を支える腸内細菌の中にはシキミ酸経路を持つものがいる(進化の順番からは細菌が先にシキミ酸経路を作り、それを植物がもらったのだろう)。だから植物を枯らせるグリホサートは腸内細菌もダメにしてしまう。しかも、いわゆる悪玉菌はグリホサートには耐性の多いものが多い。でも乳酸菌などの善玉菌は耐性がない。グリホサートを摂取することで腸内環境は悪化してしまう。 “ラウンドアップを禁止しなければならない理由” の続きを読む