みどりの食料システム戦略:パブリックコメント

あれこれ書いていながら僕自身はまだパブコメ送っていません。パブコメをめぐってどんな問題があるのか探ることを優先してきました。実際に送るコメントは相手に影響を与え、採用を考えてもらえる必要があり、書き方は難しいですね。模範的な書き方にはならないですが、僕なりに書いてみました。そして送りました。 “みどりの食料システム戦略:パブリックコメント” の続きを読む

有機農業の離陸と公共調達政策

 公共のお金(税金)が何に使われるべきか、特に公共調達と言われる部門。学校給食がその典型。税金を人びとのために使うのは当たり前であるべきなのだけど、実際に巨大企業に流れるように変えられつつある。水道の民営化がそうであるように。
 人びとの目が行き届かないところで、人びとのお金が巨大企業に吸い込まれる。サービスは悪化し、高くなる。これを民主化して、人びとが望む方向に変えようという動きは今、世界各地で、地方自治体中心に大きくなりつつある。
 一方で、この公共調達分野、特に学校給食の分野ではかなり前から世界各地で取り組みが始まっている。その端緒はEUが2008年に緑の公共調達(Green Public Procurement)を始めたことだろうか? EU諸国では公共調達での有機化目標を定め、これがその国での農業の有機化を進める上で底上げする力になっている(1)。 “有機農業の離陸と公共調達政策” の続きを読む

「みどりの食料システム戦略」とRNA農薬

 2050年までに有機農業を25%にするという目標を日本政府は立てた。「みどりの食料システム戦略」である(1)。有機農業の目標を立てたことは重要。もっと押し上げなければならない。しかし、この戦略には2つの大問題が隠されている。
 1つは化学農薬や化学肥料による農業からバイオテクノロジー、遺伝子操作技術による農業に転換しかねないこと、もう1つは日本だけ市場原理主義になっていること。
 気候変動の激化だけでなく、生態系の崩壊が急速に進んでおり、有機農業・アグロエコロジーを急速に転換することは今後、不可欠であり、不可避の政策にならざるをえない。今回の戦略はその危機を利用して、この転換期を化学農業から有機農業・アグロエコロジーへの転換ではなく、バイオテクノロジー農業への転換に使おうとしている。まず、それが最初の大問題。詳しく見たい。
 
 2050年までに化学農薬の使用量50%削減目標。世界で日本だけが規制緩和を続けてきたネオニコチノイド系農薬を転換させるという。大転換だ。いいことのように見えるが、但し書きに注目。「リスク換算で50%」、つまり「安全な」農薬を開発して、それに移行させればいいことになる。でも果たして安全な農薬は存在しうるか? その新規農薬とは何なのか? それはRNA農薬。 “「みどりの食料システム戦略」とRNA農薬” の続きを読む

国連食料システムサミット:多国籍企業による国連乗っ取り

 国連を多国籍企業がジャックする? 今年はかつてないほど食のシステムをめぐる激突の年にならざるをえないだろう。忘れないでほしいのはこの流れを作り出している底流は世界の有機農業・アグロエコロジーの実現をめざす動きであること。それは世界大に広がり、市場も各国政府の政策も変えつつある。これに脅威を感じて反撃を始めているのが化学企業/遺伝子組み換え企業。市民の力は大きいのだ。
 モンサント(現バイエル)や住友化学が作るCropLifeがFAOにすり寄ることに成功したことを先日報告した(1)が、こうした動きはこれに留まらない。今年9月に国連は食料システムサミットの開催を予定している(2)が、その責任者に担当されたのはなんとビル・ゲイツ財団が設立したアフリカ緑の革命同盟(Alliance for a Green Revolution in Africa、 Agra)の代表。アフリカの農民から種子を奪って、遺伝子組み換え種子や農薬・化学肥料を押しつけるための組織と言っていいだろう。そして、その発表されたサミットのコンセプトペーパーには精密農業、メガデータ、遺伝子組み換え技術、多国籍企業が売り込みをかけている言葉が並ぶ(3)。 “国連食料システムサミット:多国籍企業による国連乗っ取り” の続きを読む

国連を乗っ取ろうとする多国籍企業

 世界が有機農業・アグロエコロジーの方向に向かっていることは間違いない。ここ20年近い間に有機市場は5.5倍近い急拡大をしているだけでなく、国連FAOも生態系を守る農業アグロエコロジーの普及を2013年から掲げており、ラテンアメリカ、アフリカ、そしてフランスや英国各国などでもアグロエコロジーを政策に取り込み始め、農薬や化学肥料の使用の規制も始まっている。農薬・化学肥料は生物の絶滅、土壌の劣化・損失や気候変動を激化させる原因としても注目され、大幅に減少させることが国際的に求められる状況になってきた。
 農薬、化学肥料、遺伝子組み換え種子を手掛けるアグリビジネスにとって、大きな敗北は2010年以降、国連までもがアグロエコロジー推進に進んでいったことだろう。しかし、彼らは黙って歴史の舞台から下がろうとしてはいない。それどころか、今、国連FAOを乗っ取るばかりの勢いでロビーを重ねている。 “国連を乗っ取ろうとする多国籍企業” の続きを読む