みどりの食料システム戦略成立:議論は尽くせたか?

 「みどりの食料システム戦略」を支える「環境と調和のとれた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律案」、21日に参議院農水委員会で可決、そして22日本会議で可決。附帯決議も含めてすべて全会一致。有機農業推進が政策となったことは重要だが、果たして実効ある政策となっているか、それに向けた審議はされたかというと大いに疑問を呈さざるをえない。  “みどりの食料システム戦略成立:議論は尽くせたか?” の続きを読む

米国と日本の食品表示:圧倒的な民間代替ラベルの違い

 日本の食品表示、ちょっとヤバいレベルになってきている。ゲノム編集食品は表示一切なし、来年4月以降は「遺伝子組み換え原料を使っていません」という表示も実質的に不可能になってしまう。添加物でも消費者にとって不利なガイドラインが4月に出された。
 そうなってきている最大の原因は政府の企業中心主義と政府と企業の回転ドア。つまり民間企業の人間が政府に入り込んで方針を決めてしまうこと。

 どこの政府も同じ、というかもしれないけれども、政府はほぼ世界的に巨大企業に買収済みと言わざるを得ないかもしれないが、一方で市民社会はかなり違う。米国では民間代替認証ラベルがたくさん生まれていて、消費者は信頼できるラベルを見て、選ぶ権利が確保されている。
 たくさん生まれている、ってどれくらいあるのか、と調べてみた。いやはや、なんと多いこと。とても覚えきれない。なんでこんなにあるの、と調べてみると、これだけ生まれてくる必然が見えてくる。 “米国と日本の食品表示:圧倒的な民間代替ラベルの違い” の続きを読む

「フェイク・ミート」の問題点

 細胞培養肉、合成肉、研究室で育てられたタンパク質、いろんな呼び方がある。要は「フェイク・ミート」。怖いのは、あたかもさまざまな問題の解決策になるかのように信じてしまう人が続出するかもしれないからだ。
 たとえば、気候危機に懸念持つ人だったり、動物愛護の人だったり、健康を気にしている人だったり、世界の飢餓問題に熱心な人だったりする人たちが、この「フェイク・ミート」の支持者になりかねない。でも、内実を見ると解決策どころではない。 “「フェイク・ミート」の問題点” の続きを読む

「みどりの食料システム戦略」の根本問題:タネと有機認証

 2050年までに有機農業を現在の50倍にする目標を立てた「みどりの食料システム戦略」。有機農業の拡大自身は必要な方向であることは間違いないのだけど、肝心の政策が伴っていない。
 なぜ、今、世界で20年間に有機農家の数が15倍以上に拡大しているのか? それを支えた政策は何か、なぜ、日本は有機農業のパイオニアの国の一つだったのに、今は100位前後に沈んだのか、何が問題なのか、それをどう変えるか、それが問われると思うのだけど、その分析がゼロ。 “「みどりの食料システム戦略」の根本問題:タネと有機認証” の続きを読む

合成食は世界に何をもたらすか?−培養肉が持つ致命的な欠陥

 合成食が食のシステムを変えようとしている。合成食−つまり、細胞培養肉や合成生物学を利用した食(合成生物学は究極の遺伝子組み換えと言われる。生物の遺伝子を書き換えるのではなく、人間が遺伝子を設計した合成生物を作る技術)。巧みな広告戦略を使って、合成食があたかも気候危機対策になる、動物を傷つけない、動物愛護につながるかのような議論で、環境保護や動物愛護関係者が宣伝に一役買おうとしている。
 でも、その中身を吟味していくと、その本質は現在の工業的農業、工業的食そのものにぶち当たり、むしろ、現在の世界の危機を作り出している張本人たちがその推進者であることが見えてくる。 “合成食は世界に何をもたらすか?−培養肉が持つ致命的な欠陥” の続きを読む

みどりの食料システム戦略衆院農水委員会での審議

「みどりの食料システム戦略」のための法案「環境と調和のとれた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律案」衆院農水委員会通過。衆院本会議の後、参議院での議論へ。満足得られる議論がされたか、検証してみたい。 “みどりの食料システム戦略衆院農水委員会での審議” の続きを読む

調査:オランダと日本の年金がアマゾン森林を破壊する

 アマゾン森林の破壊がピッチをさらに上げている。最後の残された森は先住民族の土地として憲法に守られている森。ところが極右政権はその土地の開発を可能にする憲法違反の第490法案(PL490)を無理矢理通して、最後の森までをも破壊しようとしている。
 狂気の沙汰? しかし、この狂気はそれを支える勢力があるから権力を維持できる。この破壊にガソリンを供給する勢力があるから破壊が進んでいる。それを支えているのは誰なのか? わたしたちを含む世界なのだ。 “調査:オランダと日本の年金がアマゾン森林を破壊する” の続きを読む