「細胞農業」は危機を加速させるだけ

 「細胞農業」、「精密発酵」、「精密育種」など次から次へと怪しい新造語が出てきている。中でも急速に動き始めたのが細胞農業、一言でいえば培養肉のことだ。一連の情報に目をやると、とても危ない動きになっていると言わざるを得ない。なぜかというとさまざまな危険が内在する技術なのに、あたかも動物愛護のために作られた、というイメージ戦略がすごいからだ。
 そんな問題だらけの技術なのに、問題は素通りされ、一気に法制化が進みかねない。自民党は6月に細胞農業議員連盟(代表、甘利議員、松野官房長官)を立ち上げ、今年中の法案作りに動いている(1)。法案がなぜ必要か? それをまずは税金をつぎ込むために、そして培養肉を流通させて市民に食べさせるためだ。果たして、それは食べるに値するものなのか? “「細胞農業」は危機を加速させるだけ” の続きを読む

食料危機・気候危機に対処するためにローカルフードへ

 参院選が終わった。ますます世界に背を向ける日本になってしまった。気候危機も食料危機も関係ないかのよう。でも実際にはこの危機は私たちを確実に痛みつけているし、今後、さらに加速することは確実だ。
 確認しておこう。米国の化学肥料価格指数は今なお高騰状態でBloomberg系のサイトで、2002年の100から現在の889.6と8倍を超えており、2年前の数値と比べても、2.76倍と3倍近い数値を示している。3割上がったとかではなく、一桁上の3倍近い異常なレベルで高留まっている(1)。
 世界の穀物生産はウクライナ戦争だけでなく、気候危機によって大きな影響を受けている。それに加えて、化学肥料が買えない事態になればどうなる? “食料危機・気候危機に対処するためにローカルフードへ” の続きを読む

人造肉推進議連発足、進めてはいけない

国会が閉幕。戦争が続き、食料危機、気候危機、生物絶滅危機という多重危機が進行する中で、果たして国会はその抜本的な対策を立てたのだろうか? 「みどりの食料システム戦略」を打ち出した、というがもう色が薄れてしまっている印象なのは僕だけだろうか? 今、農業資材価格が沸騰している。特に慣行農業を続ける少なからぬ農家が離農も検討せざるをえない、日本の食の危機が目の前にある。果たして国会はその十分な対応を検討したのか? その一方で問題ある動きは加速する。
 13日、「細胞農業によるサステナブル社会推進議員連盟」が自民党有志によって設立された。甘利明議員や松野博一内閣官房長官が共同代表。今年中に法案や提言を作って推進するという。 “人造肉推進議連発足、進めてはいけない” の続きを読む

アマゾンを破壊する公的資金

 世界でもっとも生物多様性に富むアマゾン、セラード地域の破壊が急ピッチで進む。それに油を注いでいるのは私たちの年金を含む世界の金。油が注ぎ込まれ続ければアマゾンの森林は燃え尽きてしまう。今、その投融資に待ったをかけようという声が世界で高まっている。 “アマゾンを破壊する公的資金” の続きを読む

国会閉会前に緊急の食料政策を!

 国会の会期が終わりに近づいてきた。だけど、何を決めたのか? この世界の多重危機の同時進行の時に政治が果たす役割はとても大きい。でもそれが伝わってこない。
 このまま行けば何が起こるか? 食料高騰、収入減る一方の人びとの中で栄養不良状態が深刻化、さらには日本列島の人びとを支える農業が崩壊する大規模な離農が止まらなくなる。それにさらに深刻化する自然災害や感染症が追い打ちするかもしれない。 “国会閉会前に緊急の食料政策を!” の続きを読む