米国で気候危機を回避する議員立法「農業リジリエンス法案」提出

 アースデーに米国では気候危機を回避する上で重要な変化を可能にする農業リジリエンス法案が再提出された(1)。この法案は気候危機に曝される農家を守り、土壌の力を回復させ、農場からの気候変動効果ガスの排出を減らし、2040年にネット排出量ゼロをめざすものだが、単に数値目標だけをめざすよくある法案ではなくて、提案者のチェリー・ピングリー(Chellie Pingree)下院議員(写真左)自身が1970年代からの40年を超える有機農家であることもあって、農家の視点がある法案となっており、有機農業団体はもとより、科学者たちのNGO、米国の行動する科学者連合(Union of Concerned Scientists、UCS)など、多くの団体が賛同を表明している(2)。 “米国で気候危機を回避する議員立法「農業リジリエンス法案」提出” の続きを読む

気候変動を解決する自然に基づくとする方法が持つ落とし穴

 植物は光合成によって作った炭水化物のかなりの部分を地中に放つ。植物によって放たれた炭水化物に土壌微生物が群がり、その土壌微生物は植物からの炭水化物をエネルギーとして繁殖していく。そして植物にミネラルや水分をその交換に渡していく。実に見事な共生の関係がここにある。大気中の二酸化炭素は土壌の中に蓄えられる。この機能は気候変動が激化する中、さまざまな方面から注目が集まっている。気候変動を止める炭素固定法の中で、もっとも安全でもっとも有効な方法であるとして。
 昨年、米国の超党派の議員が提案した気候変動解決法案(Growing Climate Solutions Act)は土壌に炭素を蓄える農家にお金を与えるというもので党派を超えた支持を集めている。しかし、この法案に環境団体や農民団体、特に土を生き返らせる環境再生農業(Regenerative Agriculture)を進める団体までもがこの法案に反対している。なぜなのか? “気候変動を解決する自然に基づくとする方法が持つ落とし穴” の続きを読む

アマゾン破壊を資金的に支えているのは日本人の年金!

 アマゾンが焼かれている映像に心を痛めている人は多いと思う。あの大規模な破壊の背後にはアマゾン森林を燃やしてそこを牧草地に、場合によっては家畜の餌にする大豆栽培畑にしようとする勢力がいる。でもそれには金がかかる。それに投資しなければ破壊は進まない。
 でも、その資金が日本の年金から出ているとブラジルのNGOが告発している。日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)から膨大な投資がJBSに向かっている。JBSはブラジルの企業だが、今や世界最大の食肉企業であり、これまでもアマゾン破壊への関与で世界から大きな非難を受けてきた。その企業にわれわれの年金がつぎ込まれ、われわれの老後はアマゾン破壊から上がった利益で支えられるのか? “アマゾン破壊を資金的に支えているのは日本人の年金!” の続きを読む

地球の砂漠化を防ぐ方法としての畜産

 ファクトリー・ファーミング(工場型畜産、超過密飼育)が危険なウイルスや病原菌の温床となるだけでなく、気候変動や人びとへのさまざまな慢性疾患の原因ともなることについて書いた。しかし、畜産自体を非難するとしたら大きな間違いとなるだろう。
 アラン・セイボリーは地球の砂漠化を防ぐ唯一の方法は畜産の活用であると説く。現在、大地の3分の2で砂漠化が進行している。気候変動の最悪の事象の1つ。なぜ、畜産の活用が唯一の砂漠化の防止策となるのか?

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生態系の危機と食・種子を守ること

 新型コロナウイルスは食のシステムを変えるきっかけになるという話が海外からボンボンと飛び込んでくる。
 農場で働く移民労働者が国境を越せずにスーパーに生鮮食料品が不足、家庭菜園をやってみようという市民が急増。でも、タネがない。英国では需要は600%増えたものもあるという(1)。タネもよその国の農場でまとめて作って輸入するのではこんな時は止まってしまう危険がある。野菜の種子を9割海外に依存する日本は脆弱すぎるほどだが危機感のほどはどうだろう?
 結局、グローバルな食のシステムが止まったら何が起きるか、世界の多くの人たちが知ったということだ。タネからローカルに育て、そのタネを共有することがわたしたちの生存に欠かせない。 “生態系の危機と食・種子を守ること” の続きを読む

Kiss the Ground: 気候変動を止めるRegenerative Agriculture

 気候変動を激化させ、世界の土壌をあとわずか60年で崩壊させかねない状況に追い込んでいるのは戦争技術が作り出した工業型農業システム。
 しかし、生態系のシステム、特に土壌微生物の動きに学び、その力を生かす農業に転換すると、現在の危機的状況は劇的に変えることができる。気候変動を抑制するどころか、かつてそうあった安定した状況にまで危険な技術を1つも使わずに取り戻すことができる。そんなことは夢のように思われるかもしれないが、科学者たちもその力に太鼓判を押す。
 生気を失い砂漠化した工業的農業システムの畑に、豊穣な生態系の力を引き出す農園が広がる。そして、前者の農場で働くものは国からの補助金がなければ赤字経営になってしまいかねないのに対して、後者の生態系を生かした農園は大きな富をもたらす(米国の平均の1エーカーあたりの利益は3ドル以下、それに対してRegenerative Agricultureを実践する農家の農園は100ドル以上をもたらす)。だからこうした農業の進展が止まらない。年々強まる気候変動の猛威を前に希望を失っていると、なんという夢物語だと思うかもしれない。でもこれは夢ではなく、実際に動いている、十分達成可能なもの。
 その姿を描いたドキュメンタリー映画 “Kiss the Ground”。Vimeoで120円で視聴できる(ただし、Vimeoは英語。字幕なし1時間25分)。Netflixでは日本語字幕もあるとのこと。ぜひ、多くの人に見てもらいたい。


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