COP28は最初の食のCOPに!? 食を変えるこそ気候危機対策の柱

 気候危機に対処するためのCOP28(国連気候変動枠組条約第28 回締約国会議)が予定された会期の終わりに近づいている。気候危機というと化石燃料をどうするか、ということが大きな焦点だ。石油や石炭消費をどう止めるか、これが重要であることは疑いない。けれども、近年のCOP会議で焦点の1つになり始めているのが食・農業である。なぜかというと食のシステムは温暖化効果ガスの3分の1を直接排出、間接に排出しているものも含めるとほぼ半分を占めるとも言われる。つまり気候危機を解決するには食を変えなければならない。
 またたとえ排出を減らしたとしてもすでに大気は温暖化効果ガスで満ちており、気候危機は止まらない。大気中に放出された温暖化効果ガスは地球の気候を不安定にし続けるからだ。しかし、世界大で生態系を守る農業に転換することで地球上の最大の炭素の保存庫である土の力を取り戻し、炭素を蓄積する力を回復させることで、食は気候危機を緩和させていくこともできる。だからこそ、食の問題は気候危機対策の中心に躍り出ざるをえないのだ。 “COP28は最初の食のCOPに!? 食を変えるこそ気候危機対策の柱” の続きを読む

遺伝子特許を主食に認めるのはとんでもない

  種子法廃止や種苗法改正問題が日本でも迫る前に、海外では特にラテンアメリカで反「モンサント法案」とよばれる運動が社会を揺るがしていた。日本の種子法廃止や種苗法改正問題はこのこの問題と関わっていることは明らかだったから、2017年から20年にかけて、ラテンアメリカやアフリカ、アジアで動いている問題を日本各地で話して回った。
 
 種苗法改正時には十分問題にできなかったものが今、大きな問題になっている。それが特許の問題。種苗法で扱われる権利は「育成者権」と言われるもので、一方、遺伝子組み換え作物で使われるのはそれに加えて「特許権」だ。この育成者権と特許権はどう違うのか、というと一言で言えば、特許権の方がずっと問題が大きい。 “遺伝子特許を主食に認めるのはとんでもない” の続きを読む

重イオンビーム育種米で何が変わる?

 重イオンビーム放射線育種品種に変わると何が変わるのか。図にしてみた。オリジナルの「コシヒカリ」は特許許諾料はもちろん、品種許諾料も不要で自家採種ができるので有機農業にも適している。だけど、重イオンビーム育種の「コシヒカリ環1号」許諾を得た上で、特許料と品種許諾料を払わないと育てることができない。農水省は自家採種も不可だとしている。
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遺伝子操作農薬・肥料・種子コーティングに注意!

 遺伝子操作微生物に要警戒。
 化学農薬・化学肥料に加えて、農薬企業は今、微生物農薬・微生物肥料に注力しており、すでに米国では使われ始めている。問題なのは天然の微生物を使っているのならともかく、それに「ゲノム編集」や遺伝子組み換え技術が使われて遺伝子操作微生物となっていることなのだ。
 日本でも三井化学が遺伝子組み換え微生物農薬の実験場を都内に開設する(1)。しかし、それを伝える新聞記事の見出しは「天然由来品」。忖度もここまで来たか? “遺伝子操作農薬・肥料・種子コーティングに注意!” の続きを読む

食料危機をどう回避する? 乗り越える?

 食料危機に日本は明らかに脆弱すぎるのになぜ日本政府はこれまで抜本的な対策を取らなかったのか? 米国の食料戦略が日本政府の思考の前提となってしまっているからだ。飢えるかもしれないという事態に対して、政府官僚は「解決策は農産物輸出だ」などと平気で応える。民が飢えるのにどうして農産物輸出? なんでそんなに愚かなの? エリートなんでしょ? なぜそうなってしまうかというと、彼らが米国の農産物輸入が大前提というマインドコントロール状態だからだ。食料自給率を上げたら、輸入ができなくなってしまう。彼らは食料自給率を上げるポーズを見せるが、本音では御法度なのだ。だから「日本の農業の発展は輸出以外ない」という話になってしまう。
 でも、弱った日本の農業でなぜ輸出で稼げるの? そこで持ち出されるのが技術依存政策(しかも「ゲノム編集」などのバイオテクノロジー)になる。
 
 この輸出・技術依存政策は彼らの農業政策の柱である。でももちろん、輸出で儲かるのは一部の企業だけだ。しかも成功する確率は高くない。その利益のおこぼれは農家にはほとんど届かない。 “食料危機をどう回避する? 乗り越える?” の続きを読む

三倍体は養殖に適していない、ノルウェー政府が10年の調査を発表

養殖魚に関するもう1つの情報、三倍体。
 三倍体は魚だけでなく、植物でもある。通常の場合は雌雄双方から1組ずつの2組の染色体をもらう2倍体が有性生殖をする生命の基本なのに、これを3組持ってしまうもの。減数分裂できないので、不妊になる。それを利用した「品種改良」も行われてきているが、この3倍体の養殖サーモンは健康などに問題があり、養殖に適さないとノルウェー政府の食料規制機関は報告を出した(1)。 “三倍体は養殖に適していない、ノルウェー政府が10年の調査を発表” の続きを読む

「ゲノム編集」サーモンをノルウェーで海面養殖?

 CRISPR-Cas9を使って生殖機能の遺伝子を破壊し、より大きく成長できるようにしたサーモン、ノルウェー政府の検討では否定的な結論になったというが、一方で、EUで「ゲノム編集」生物の規制緩和が準備されていて、それが通れば、こうした問題ある遺伝子操作生物が自然界に放たれてしまうかもしれない。 “「ゲノム編集」サーモンをノルウェーで海面養殖?” の続きを読む

イタイイタイ病、カドミウム汚染の告発はどう可能になったか?

 『神通川流域民衆史 いのち戻らず大地に爪痕深く』能登印刷出版部
カドミウム汚染と言えばイタイイタイ病。なぜこの公害病が生まれたのか、そして行政やメデイアはどう動いたか、事態解明・打開を可能にした主体は誰であったかを浮かび上がらせる本。 “イタイイタイ病、カドミウム汚染の告発はどう可能になったか?” の続きを読む