大豆の安全保障を!

大豆は言うまでもなく日本の食文化において要の位置を占める。大豆で作った味噌やしょうゆがなければ日本の食を成り立たせるのは難しいだろう。そして大豆は日本の農業の有機的なサイクルの一部をなす重要な作物でもあった。

しかし、近代の日本で大豆の生産は捨てられたままだ。富国強兵に走り、農村は貧困化し、大豆生産は落ちる。重要なタンパク源を失い、社会的騒乱を招くことも増えた。その危機的事態に対して、日本政府は農業政策を変更することなく、大豆を捨て続け、その代わりに、朝鮮半島を植民地化し、中国東北部に傀儡国家を打ち立てる。満州鉄道は別名大豆鉄道と言われたほど、日本は8割近い大豆を植民地体制で確保した。
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「セラードの人びと」が問う開発のあり方

昨年行われた「第7回セラードの人びと大会(VII Encontro e Feira dos Povos do Cerrado)」の短いドキュメンタリー。先住民族、キロンボーラ(黒人自立共同体キロンボの住民)、小農民、市民運動の人たちが集う。大きな会議であり、さまざまな歌、踊り、そしてセラードの自然の産物の市が多数立つ交換の場で、そのあまりに豊かな多様性に目を奪われる。
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ブラジルと日本ー変わるべき関わり

過大評価と言われてしまうかもしれないが、日本はブラジルのあり方に大きな影響を与えたと考えよう。現在のブラジルでの市民生活の中で日本の影響は、少なくとも日本政府や企業の影響力は微々たるもので影響を与えているなどとはまったく感じられない。ブラジル社会で人目に付くのは日本企業ではなく韓国企業だし、貿易で存在感のあるのは中国だ。 “ブラジルと日本ー変わるべき関わり” の続きを読む

セラード開発プロジェクトとモザンビークのProSAVANA

セラード開発は日本では「奇跡の成功」などと言われる。確かに入植者を拒んできた厳しい自然に打ち勝って大規模農業を発展させたということは事実だし、この間の穀物生産高でその成果を図るのであれば、それは確かに成功だったと言えるだろう。
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セラード開発を問う

日本とブラジルの関係を考える時、セラード開発問題を避けて通ることはできない。セラードとはブラジルの中央部にあるサバンナ地帯だ。この地帯で日本政府は政府開発援助(ODA)を使って大規模な農業開発を行ってきた。

しかし、このセラード開発をめぐる問題は日本の中で十分伝わってきていない。そこでこの問題について簡単にまとめてみた。 “セラード開発を問う” の続きを読む