COP28は最初の食のCOPに!? 食を変えるこそ気候危機対策の柱

 気候危機に対処するためのCOP28(国連気候変動枠組条約第28 回締約国会議)が予定された会期の終わりに近づいている。気候危機というと化石燃料をどうするか、ということが大きな焦点だ。石油や石炭消費をどう止めるか、これが重要であることは疑いない。けれども、近年のCOP会議で焦点の1つになり始めているのが食・農業である。なぜかというと食のシステムは温暖化効果ガスの3分の1を直接排出、間接に排出しているものも含めるとほぼ半分を占めるとも言われる。つまり気候危機を解決するには食を変えなければならない。
 またたとえ排出を減らしたとしてもすでに大気は温暖化効果ガスで満ちており、気候危機は止まらない。大気中に放出された温暖化効果ガスは地球の気候を不安定にし続けるからだ。しかし、世界大で生態系を守る農業に転換することで地球上の最大の炭素の保存庫である土の力を取り戻し、炭素を蓄積する力を回復させることで、食は気候危機を緩和させていくこともできる。だからこそ、食の問題は気候危機対策の中心に躍り出ざるをえないのだ。 “COP28は最初の食のCOPに!? 食を変えるこそ気候危機対策の柱” の続きを読む

「細胞農業」は危機を加速させるだけ

 「細胞農業」、「精密発酵」、「精密育種」など次から次へと怪しい新造語が出てきている。中でも急速に動き始めたのが細胞農業、一言でいえば培養肉のことだ。一連の情報に目をやると、とても危ない動きになっていると言わざるを得ない。なぜかというとさまざまな危険が内在する技術なのに、あたかも動物愛護のために作られた、というイメージ戦略がすごいからだ。
 そんな問題だらけの技術なのに、問題は素通りされ、一気に法制化が進みかねない。自民党は6月に細胞農業議員連盟(代表、甘利議員、松野官房長官)を立ち上げ、今年中の法案作りに動いている(1)。法案がなぜ必要か? それをまずは税金をつぎ込むために、そして培養肉を流通させて市民に食べさせるためだ。果たして、それは食べるに値するものなのか? “「細胞農業」は危機を加速させるだけ” の続きを読む

相次ぐ「ゲノム編集」解禁の動きと対抗策

 インドは「ゲノム編集」食品(ただし植物のみ)の緩和を決めた。しかも、外来からの遺伝子も塩基も挿入しないSDN-1だけでなく、数塩基を挿入するSDN-2についても認めるという。この決定は科学的な根拠に基づかず、無責任なものだという非難があがっている(1)。
 インドだけではない。アフリカでも「ゲノム編集」作物の緩和圧力がかけられている(2)。ヨーロッパで「ゲノム編集」卵が、米国で「ゲノム編集」牛が出てこようとしている。そして中国は世界のトップの「ゲノム編集」農業特許を保有している。「ゲノム編集」生物には従来の遺伝子組み換え生物でも生まれないリスクが起こりうる。その実証は一切せずにバイバスして議会や市民・農民との協議もなく、いきなり栽培開始、市場流通させるというのはあらゆる意味で反科学であり、反民主主義であり、許されていいものではない。 “相次ぐ「ゲノム編集」解禁の動きと対抗策” の続きを読む

遺伝子組み換え作物やその農薬からの自由

 モンサント(現バイエル)の除草剤ラウンドアップ(グリホサート)の使用禁止や遺伝子組み換え作物の輸入を止めること、これは日本でも多くの人が望んでいることだろう。それをメキシコのロペス・オブラドール大統領が昨年末、宣言した。 “遺伝子組み換え作物やその農薬からの自由” の続きを読む

みどりの食料システム戦略:パブリックコメント

あれこれ書いていながら僕自身はまだパブコメ送っていません。パブコメをめぐってどんな問題があるのか探ることを優先してきました。実際に送るコメントは相手に影響を与え、採用を考えてもらえる必要があり、書き方は難しいですね。模範的な書き方にはならないですが、僕なりに書いてみました。そして送りました。 “みどりの食料システム戦略:パブリックコメント” の続きを読む

国連食料システムサミット:多国籍企業による国連乗っ取り

 国連を多国籍企業がジャックする? 今年はかつてないほど食のシステムをめぐる激突の年にならざるをえないだろう。忘れないでほしいのはこの流れを作り出している底流は世界の有機農業・アグロエコロジーの実現をめざす動きであること。それは世界大に広がり、市場も各国政府の政策も変えつつある。これに脅威を感じて反撃を始めているのが化学企業/遺伝子組み換え企業。市民の力は大きいのだ。
 モンサント(現バイエル)や住友化学が作るCropLifeがFAOにすり寄ることに成功したことを先日報告した(1)が、こうした動きはこれに留まらない。今年9月に国連は食料システムサミットの開催を予定している(2)が、その責任者に担当されたのはなんとビル・ゲイツ財団が設立したアフリカ緑の革命同盟(Alliance for a Green Revolution in Africa、 Agra)の代表。アフリカの農民から種子を奪って、遺伝子組み換え種子や農薬・化学肥料を押しつけるための組織と言っていいだろう。そして、その発表されたサミットのコンセプトペーパーには精密農業、メガデータ、遺伝子組み換え技術、多国籍企業が売り込みをかけている言葉が並ぶ(3)。 “国連食料システムサミット:多国籍企業による国連乗っ取り” の続きを読む