窮地に落ち込む地域の種苗の状況を解決しない種苗法改正

 明日、種苗法改正案、参議院農林水産委員会で審議される。法改正案の説明はデタラメであることは衆議院の農林水産委員会でも明らかにしたところ。農水省からはそれへの反論すらなかった。無視して採決。

 さて、それではこの法改正は農水省が言うように、日本の新品種開発力を上げて、日本の農業を栄えさせるものになるだろうか? 残念ながら、なりようがない。 “窮地に落ち込む地域の種苗の状況を解決しない種苗法改正” の続きを読む

食料主権、地方自治を危うくする種苗法改正

 来週から参議院で種苗法改正法案の審議が始まります。これまで日本の農業を支えてきたタネは農家のタネ、地方自治体・国のタネ、民間企業のタネに分けられると思いますが、中でもお米では圧倒的に地方自治体のタネです。コシヒカリ、ササニシキ、あきたこまちなど日本を代表する稲は福井県、宮城県、秋田県が育成してきました。その割合は99%近くになるのではないかと思います。これを民間企業にやらせたい、というのが種子法廃止から始まる一連の意図であり、種苗法改正法案もその中に位置づけざるをえません。 “食料主権、地方自治を危うくする種苗法改正” の続きを読む

地域の種苗を危うくする日本政府のマスタープラン

 本日の衆議院農林水産委員会の審議で明らかになったことの1つ、どうやら政府は与党からも批判の強い農水次官通知を種苗法改正法案成立後、撤回しようと考えているようだ。地方自治体の種苗事業を民間企業に明け渡せと言わんばかりの通知で、これはさすがに与党からもブーイングが出た。でもこれが撤回されたら安心できるだろうか? その逆だ。 “地域の種苗を危うくする日本政府のマスタープラン” の続きを読む

育成者権と農家の権利のバランスを崩す種苗法改正案に反対

 今回の種苗法改正、新品種の育成を手掛ける農家の方たちは法改正に前向きで、お前はその方たちの厳しい状況がわかっているのか、という声もかけられます。

 もちろん、育種家農家の方たちの権利は守られなければなりません。特に種子繁殖する植物と接ぎ木などで増える栄養繁殖の場合は実情がかなり違うので別のアプローチが必要になると思います。果樹の新品種ですと、一度苗を買ってきて接ぎ木をしてしまったら長く作り続けることができてしまう。これでは育種家は厳しいという声も伺います。
 こうした新品種を作る方たちの営みが報われなければならないことは言うまでもないことだと思います。現行種苗法でも契約や農水省の指定を受けることで、育成者権を守る方法は可能であり、維持が困難に陥るような状況になっている場合にそうした方法を使って、育種家の方たちを買って支えることもとても大事だと思います。今、日本の地域の種苗が維持できるかどうかの大変な状況になっていることを改めて認識する必要があると思います。 “育成者権と農家の権利のバランスを崩す種苗法改正案に反対” の続きを読む

衆議院農林水産委員会種苗法改正法案参考人陳述

 2020年11月12日、衆議院農林水産委員会での種苗法改正法案に関する審議で参考人として招致され、陳述してきました。実際には時間に迫られて飛ばした部分もここでは原稿のまま乗せています。実際の陳述は末尾にYouTubeのビデオで見ていただけます。 “衆議院農林水産委員会種苗法改正法案参考人陳述” の続きを読む

農産物検査規格の見直し:地方自治の基礎となる食への攻撃

 安倍前内閣が設置した規制改革推進会議、米国・多国籍企業の要望に沿った政策作りを行い、ここが決めた政策が日本の政策となる。そこに納税者が選んだ代表はいない。2016年の設置以来、数々の公共資産の私物化(「民営化」と呼ばれる)を行ってきた。
 主要農作物種子法(種子法)廃止を打ち出したのは2016年10月、その半年後には廃止が国会で決定されていた。そして、今、規制改革推進会議は産地品種銘柄の廃止を検討している。 “農産物検査規格の見直し:地方自治の基礎となる食への攻撃” の続きを読む