畜産のあり方を考える

 土壌微生物と植物の共生関係は興味が尽きない(1)のだけど、これだけ見ていると近視眼的になってしまう。この世の中には動物もいる。当然、人間もいる。
 動物の出現はこの土壌微生物と植物の共生関係をさらに拡大している。雨の少ない地域、特に寒冷な地域ではこの動物の存在が重要になる。なぜなら、そうした環境では土壌微生物は繁殖していくことが困難であるからだ。微生物たちは動物の腸にそうした環境でも繁殖していくことができる場所を見つける。あらゆる生命が必要とする窒素は微生物が空中から取り入れ、植物を通じて、動物にも供給される。そして炭素は植物の光合成によって微生物や動物に与えられる。
 わずかな草を草食動物が食べ、その動物のお腹の中で微生物が繁殖し、糞となって排出されることで、土の中に炭素が蓄えられる。また草食動物が草を食べるたびに土の中の根は土に還るスピードが加速し、土が増えていく。肉食動物の存在が草食動物の増えすぎをコントロールし、過度に草が食べられないように維持される。土の中には水分や炭素や窒素が蓄えられ、気候変動も抑えられる。
 この動物相を失うと、草、土壌微生物、土の循環が維持できなくなり、砂漠化してしまう地域がある。砂漠化すれば土は失われ、植物も、土壌微生物も激減する。その結果はさらなる気候変動が加速されることになる。 “畜産のあり方を考える” の続きを読む

もう1つの致死的感染症:抗生物質耐性菌

 今回の新型コロナウイルス感染、情報に踊らされずにじっくり考えないと大変なこと。まずは安全の確保。特に免疫の弱い人をどう守るかという防御が第一。そして、この騒動でパニックになっているうちに、とんでもない火事場泥棒的な動きがなされてしまわないように警戒しないといけないと思う。 “もう1つの致死的感染症:抗生物質耐性菌” の続きを読む

WHO、家畜への抗生物質投与中止を勧告

 WHOは家畜への抗生物質の投与を中止するように勧告した。抗生物質耐性菌は現在、世界中で年間70万人の命を奪っており、この傾向が続けば2050年には年間1000万人が耐性菌で命を落とし、人間の死因の第1位となる。耐性菌に効く薬は存在せず、人類にとっての大きな脅威である。それへの対処として、これは重要な動きだが、これだけに留まれば責任を農家に押しつけるだけで問題解決につながらない。 “WHO、家畜への抗生物質投与中止を勧告” の続きを読む

FOOD, INCーファクトリー・ファーミングでの労働問題

FOOD, INCはファクトリー・ファーミング(工場式畜産)の問題を扱ったドキュメンタリー(2009年)。すでにアップリンクなどで上映され、多くの人が見ているものだが、ファクトリー・ファーミングの問題をあらためて考えるために再び見た。

学び取ることができる要素に満ちたドキュメンタリーで、すべての要素を書き出すには膨大な時間がかかりそうなので、今回はファクトリー・ファームと食肉工場の労働者の問題に絞る。
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