Rio+20: 日本政府のセラード開発のセミナーに対する懸念

Rio+20に平行されて開かれるイベントで日本政府の主催でセラード開発に関するセミナーが開かれるようだ。セラードはブラジル中央部のサバンナ地域だが、日本政府は「不毛の大地」と決めつけ、この地で大規模大豆生産を進め、確かにこの地域は大穀倉地域となった。しかしその社会的、環境的対価は小さなものではない。

セラード地域は決して不毛の大地ではない。世界に他にない生態系がここにあり、未だ十分解明されていない。アマゾンやパンタナル湿原の水源でもある。しかし、広大な森林が開発によって失われ、土壌や水源の崩壊など少なからぬ被害が出ている。アマゾンの渇水を懸念する声もある。

小農民がセラード開発の犠牲となり、大規模農場が拡大するにつれて、独立して自給自足の生産をしていた小農民は土地を失い、農園労働者として、あるいはスラムの住民として地域から離れざるをえない人びとの数が増加した。大豆生産量の増加では計れない社会的ロスがここにある。

たとえば農業生産で生まれる雇用、これだけ違う。セラードでの大豆などの穀物、200ヘクタールでわずか1〜4の職、トマトは245、ブドウは113の職ができる。大豆大規模栽培が広がれば広がるほど、どれだけの多くの小農民が土地を追われたか。地域の生産高の数値ではその社会的影響は計れない。

セラードは乾燥地域で巨大な樹木は生えない。代わりに盆栽のような曲がりくねったひと味ある木が生える。大豆の生産だけが価値のあると考える人たちにはそれは無価値なもの、不毛に見えてしまうのだろう。しかし、今やセラードの自然の美しさは多くが認識するところになっている。

世界でセラードの自然の美しさとその保護の声が高まるのに、日本では相変わらずセラード=「不毛の大地」。開発が始まった軍事独裁時代と異なり、今では自由に取材できるのに政府もマスコミも情報を得るのは同じルート。これでは認識がいつまでたっても変わらないのも無理はない。

さらに今後懸念されるのが、このセラード開発プロジェクトを無批判に賛美して、それをアフリカのサバンナ地域に持ち込むようなことである。
アフリカの人びとの土地の権利が確立されていない状況はこのプロジェクトが繰り広げられたブラジルのセラード地域と似ている。土地強奪(Land Grab)が起こる可能性が非常に高く、また環境への被害も懸念される。

セラード開発はじめ、ブラジルでのバイオ燃料用の大豆等開発が先住民族や小農民をいかに圧迫しているか、農民、農業労働者の人権問題、労働問題に取り組む調査報道のブラジルのNGO、Reporter Brasilが社会的環境的影響を報告している。2008年の調査。PDF56ページ。葡語 O Brasil dos Agrocombustíveis: Impactos das Lavouras sobre a Terra, o Meio e a Sociedade – Soja e Mamona。これはあくまでも一部に過ぎず、多くの調査をNGOや社会運動団体は発表している。

日本のマスコミは少なくともそうした声に耳を傾ける必要があるであろう。

日本から多くの人たちがRio+20に参加する。これまでとは異なる情報ルートが開拓されることを期待。開発至上主義に汚染した情報ではなくブラジルの民衆の声と直接つながるチャンスだ。限られた時間だが、オルタナティブな情報源としてブラジルの民衆組織を紹介していきたい。

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