ひどい日本の「ゲノム編集」食品報道

 この報道には絶句した。日本の知的水準が現れているのか? 日本の民主主義の民度の反映なのか、とにかくひどい。
 TBSが扱う「SDGs」。なんと「ゲノム編集」でSDGs(持続可能な開発目標)。なぜ「ゲノム編集」が社会の持続性を高められるのか? 食料不足を解消できるのか? ここには論理の飛躍がありすぎる。

 

 従来の遺伝子組み換え作物(GMO)が出てきた時も、そんなウソがさんざん振りまかれた。「これからは人口が100億人を超える。その世界を養うためには遺伝子組み換え技術が必要」というのだが、遺伝子組み換え技術は食料増産に役立つ技術なのか?
 この問題に関しては2つの研究団体が否定している。1つはUnion of Concerned Scientistsでもう1つは米国科学アカデミー。前者はGMOに批判的だからと言われそうだが、後者は遺伝子組み換え企業からお金をもらっている人が過半を占める団体で、それでも結論は遺伝子組み換え技術は生産性向上に寄与しない、だった。
 つまり、科学的根拠なく、デタラメで、遺伝子組み換え作物の栽培をはじめさせようとしていただけだったのだ。実際にブラジルでもっとも生産性の高かった大豆は遺伝子組み換えではなく、従来の大豆の品種だった。遺伝子組み換え大豆の収量はそれよりもはるかに劣っていた。その逆の例は存在しなかったから、遺伝子組み換え企業からお金をもらっても米国の科学アカデミーはそれは曲げられなかったのだ。
 
 それでは「ゲノム編集」作物はどうなのか? 「ゲノム編集」では成長を抑制する遺伝子を破壊することで収量の増大を図るというものがある。これであれば収穫は増大する、と言うかもしれないが、これは長期的に見なければ、実際にそうなるかはわからない。
 成長のために必要な機能を壊された生物はその分、弱く、もろくなることが予想される。結局のところ、バランスを失わされた生物はうまく繁殖できず、長期的にはむしろ下がる可能性も十分ある。なぜ成長を抑制する遺伝子が存在するのか、それは必要だからだ。
 
 そして、試験管の中の魚が今後の世界の食料危機を救う? その前に現在の集約養殖産業が世界の水生生物に与えている破壊的な影響をみなくていいのだろうか?
 1つの生物の生命には多くの微生物含めた存在が関わる。この生態系の研究はまったくまだ進んでいない。人類が仮に人工的な生態系を作ることができたとして、それがどれだけ生存可能性があるか、大きな疑問がある。水族館で魚が謎の死が続いた事件を覚えているだろうか? 人工的に作り出したシステムでは何が要因になって、そのような崩壊がもたらされるか、わからないことだらけなのだ。
 
 それにも関わらず、こうした技術が世界の持続的発展をもたらすという報道に仕上げてしまう。ここに出てくる科学者たちは遺伝子操作や人工培養の専門家かもしれないが、生態系の専門家ではない。彼らの関心は遺伝子が機能するかどうか、であって、生態系がどうなるかに詳しいわけではないだろう。
 
 「ゲノム編集」が食の未来? 世界の議論を見れば、それがいかに極端な暴論であるか、わかるだろう。それがテレビで堂々と出てしまう。遺伝子組み換えが登場する時にも頻繁に登場したこのウソが日本では再び繰り返される。何の検証もなく、「科学的」であるかのように演出される。
 一億総洗脳状態にされないために、わたしたちはどう対応していけばいいか、マスメディアももう少しまともになってくれることを期待したいが、本当に「ゲノム編集」食品に関する報道はひどすぎる。

“ゲノム編集”“試験管から魚” 先端技術が支える“食”の未来【SDGs】(すでに削除されている)
https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4257195.htm?1619834951060

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です