漁業法改正が持つ大きな問題

 私たちの生きる上で不可欠な公共圏を民間企業の独占物にできる法改正があらゆる領域で進行した。農業関連でも種子法廃止、農業競争力強化支援法、種苗法改正、農地法…、これに加え、森林法も、水道法も、法律改正は不要とみなされれば国会審議もまったくなしにさまざまなレベルで進められている。そして、漁業法も改正された。それがどんな問題をはらんでいるのか東大の鈴木宣弘さんの論文をもとに10分間のビデオで全体像がわかる。
 そのさわりを紹介する。漁業でも日本では漁獲量が激減。その原因は大型資本による乱獲、行き過ぎた貿易自由化、大規模小売業を頂点とする流通業界の買い叩きが主因。これまで沿岸漁業者は共同で漁獲して利益は分配する伝統的な「もやい漁業」を行い、資源管理も行ってきた。そのあり方は世界の最先端であると欧米も注目する。しかし、漁業法の大改正はその沿岸漁業者を犠牲に、大型漁業産業を儲けさせるもの。大手による独占が進み、沿岸漁民は職を失ったり、かつての「蟹工船」の世界が出現することが危惧される。…
 
 「みどりの食料システム戦略」では漁業も林業も含まれる。改めて戦略を読み直すが、そこに海の生態系がどうなっているか、どう守るか、という視点がほとんどないこと、そしてそれを守ってきた沿岸漁民への配慮がまったく感じられないことにショックを覚える。
 これ以上、破壊的大型漁業を進めて、さらに海を汚染する養殖を進めれば(海を汚染しない粗放養殖も可能だが、それには目を向けず)、日本の近海は墓場になってしまうだろう。そして海と陸はつながっており、海が死ねば陸も死んでいく。沿岸小規模漁民だけの問題ではなく、日本社会全体の問題であり、東アジア、世界にもつながっている問題でもある。
 
 もちろん、法改正されてしまったからもう終わりではない。日本の近海の生態系を復活させ、宝とすべき「もやい漁業」を守るためにどんな政策が必要か、まずはこの事態をしっかり見なければ、と思う。ぜひ、このビデオをご覧ください。

漁業法大改正 鈴木教授の問題意識(10分55秒)

魚の養殖が持つ問題、さらには「ゲノム編集」魚の問題
https://www.facebook.com/InyakuTomoya/posts/5122553187771470

農水省:みどりの食料システム戦略
https://www.maff.go.jp/j/kanbo/kankyo/seisaku/midori/team1.html

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