資本主義の発展が差別を強化する

 今の日本の状況で顕著なのは世界と逆方向に全速力で動いているということだろう。日本は女性の地位が世界で120位、確かにこれは日本が遅れているということ以外の何者でもないのだけれども、問題は遅れているということに尽きるものではない。

 というのは逆に差別はむしろ強化されていると思うからだ。個々人の心のあり方、振る舞い方のレベルの問題ももちろんあるし、それは無視できない。けれども、個人の問題にも解消できない。資本主義は常に犠牲を求める。犠牲なしには資本は強大になりえない。近代化は平等をもたらしたのではなく、植民地、生産手段を奪われた労働者、そして差別を作り出してきたのが歴史的な事実だろう。

 この報告書は北米での石炭・石油化学産業への投融資がBIPOC(黒人[B]、先住民族[I]、有色人種[POC, People of Color])の女性に性的、人種的暴力を強化してきたかを分析する(1)。ウォールストリートのきれいな建物で平然と行われる投資がそうした差別と結びつくというのは想像しにくいかもしれない。しかし、たとえばこの投資によって、石炭鉱山が開発され、多くの労働者が各地から動員され、劣悪な条件で働かされる、その地域では性暴力が頻発化、化学工場が貧困コミュニティの近くに建設され、その汚染により乳ガンや子宮ガンが急増する。同じコミュニティでも男女間に差別が存在し、その影響は差別される側に顕著に出る。差別される側の抗議の声は抑圧、あるいは無視され、止めるべきものが止まらない。

 高配当の株に投資する人自身は女性差別、人種差別を意識していないかもしれないが、その結果は差別を強化する。コミュニティは分断され、力を奪われる。その結果、独占企業はさらに利益を得ることができる。
 
 しかし、その連関を示すことで、人びとの投資行動を変えていけばどうなるだろう? 社会に無数に存在するこうした見えなくされている糸に縛られている状態をほどいていけば、この差別の強化の悪循環はスピードを緩め、そして止める可能性が見えてくるのではないか?
 この差別と破壊の延長線上に気候危機と生物大量絶滅の危機、そして人類生存の危機(慢性疾患、不妊など)がある。それへの抵抗運動は大地とのつながりとその蘇りをもたらすだろう。
 資本の成長を求める時代から、多様な生命の豊穣さを求める時代へ。
 


(1) Gendered and Racial Impacts of the Fossil Fuel Industry in North America and Complicit Financial Institutions: A Call to Action for the Health of our Communities and Nature in the Climate Crisis
https://www.wecaninternational.org/2021-divestment-report

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