遺伝子組み換え作物やその農薬からの自由

 モンサント(現バイエル)の除草剤ラウンドアップ(グリホサート)の使用禁止や遺伝子組み換え作物の輸入を止めること、これは日本でも多くの人が望んでいることだろう。それをメキシコのロペス・オブラドール大統領が昨年末、宣言した。
 タイもグリホサートの禁止を決めたが、米国政府からの脅しで実行できなくなっている。今回もバイエルはロビー団体CropLifeを通じてこのメキシコ政府の決定を撤回させるように米国政府に圧力を加えていることが曝露された。果たしてバイデン政権はどう出るか? メキシコの決定を尊重するか、NAFTAに代わる北米自由貿易協定USMCAへの提訴、それともWTOに提訴する?
 メキシコ政府の決定は多くのメキシコ市民の要望を受け、公約を掲げて当選した大統領の決定であり、もし、この決定が覆されたら、メキシコの人びとの権利よりもバイエルの企業利益を優先してしまうことになる。
 
 これはメキシコだけの問題ではない。もし、日本がグリホサートを禁止したり、遺伝子組み換え作物の輸入をやめるという決定をした時、どうその決定が尊重されるか、ということでもある。私たちの食料決定権vs企業の利益の問いだ。
 
 メキシコは世界のトウモロコシの原産国であり、多様なトウモロコシの在来種を守ってきた。しかし米国との自由貿易協定によって、米国政府の補助金によって価格が生産価格よりも安くされた遺伝子組み換えトウモロコシが大量にメキシコになだれ込んだ。輸入量は400%増加。その結果、トウモロコシ農家の多くが離農し、米国への移民労働者にならざるをえなくなった。
 そして、米国から輸入された遺伝子組み換えトウモロコシが世界の貴重な遺伝資源であるメキシコの在来種のトウモロコシに交雑して、遺伝子汚染が拡がりつつある。
 さらに、グリホサートの大量使用と遺伝子組み換えトウモロコシの大量輸入以降、メキシコ国内でも糖尿病などの慢性疾患が急増している。
 こんな中、遺伝子組み換えトウモロコシの輸入やグリホサートの禁止を求める声がメキシコ人の中に強まるのは当然の動きだろうし、多くの圧力をはねのけて大統領令が出されたということは大企業の圧力に対する民主主義の勝利である。その意志を米国政府は尊重するのか、それとも踏みにじるのか、問われている。要注目。
 


Revealed: Monsanto owner and US officials pressured Mexico to drop glyphosate ban (2021/2/16)
https://www.theguardian.com/business/2021/feb/16/revealed-monsanto-mexico-us-glyphosate-ban
メキシコ大統領の決定に圧力をかけているロビー団体はCropLife。住友化学もその一部である。

Stopping the Race to the Bottom in Trade Policy (2021/3/15)
https://prospect.org/economy/stopping-the-race-to-the-bottom-in-trade-policy/

Rehabilitating protection and resituating trade agreements (2021/4/11)
https://thehill.com/opinion/international/547500-rehabilitating-protection-and-resituating-trade-agreements

上記3つの記事はモンサント(バイエル)に批判的な見地から書かれたもの。一方、以下の記事は逆で米国、メキシコ、カナダの自由貿易協定であるUSMCAではなくWTOに提訴しろという記事

US should challenge Mexico’s ban on glyphosate and genetically-modified corn at the WTO
https://thehill.com/opinion/international/545219-us-should-challenge-mexicos-ban-on-glyphosate-and-genetically-modified

Greenpeaceメキシコはグリホサートと遺伝子組み換えの禁止などを求めるオンライン署名(メキシコ国内限定)を展開中
https://actua.greenpeace.org.mx/alternativas-de-consumo-que-no-danen-el-planeta

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