A Long Food Movement:食を取り戻すために

 この20年は有機農業の20年といってもいい。有機市場は5.5倍近くに拡大し、多くの国が生態系を守るアグロエコロジーを政策に採用し、国連もその推進に転じた。化学肥料や農薬を減らす政策が各国で始まっている。

 化学企業(遺伝子組み換え企業)から見たらゾッとする動きだろう。でも彼らも傍観しているわけではない。ビル・ゲイツはコンピュータのOSを買収することで、世界のIT市場を握ったが、次に狙うのは食のOSを握ることである。遺伝子組み換え技術に、そして、その最新バージョンである「ゲノム編集」に巨額の投資を行っている。そして、遺伝子組み換え企業は世界の種子市場の7割近くを独占し、ビッグデータ企業も買収し、AI技術で生産をコントロールし、巨大流通企業と連携して、タネから市場までフードチェーン全体にわたる独占を進めている。米国政府を張り子の虎として操り、自由貿易協定を通じてさらに多くの政府の政策を揺さぶる。食というOSを握られれば社会の支配は容易になる。
 後に残るのは有機(アグロエコロジー)と家族農業を進める国連などの国際的な潮流を乗っ取る作業になる。これは巨大アグリビジネス連合からすれば大きな脅威だ。しかも巨大アグリビジネスこそが気候変動や生物大量絶滅の最大の原因となってきていることも次から次へと曝露されており、その規制が強められつつある。さらにウイルスや耐性菌による感染の危機の環境を作り出しすことにもこの巨大アグリビジネスが深く関わっていることが知られ出した。
 
 気候変動、パンデミック、生物大量絶滅という人類の危機が今後、さらに高まってしまのか、それともそれとは別の未来が作れるのか、IPES-FoodとETC Groupという市民組織が長期的なシナリオを描くレポートを発表した。

 巨大アグリビジネスがさらに歩を進めるシナリオ、それはもはやディストピアとしかいいようのない未来になる。さらなる感染症→ワクチン、薬剤。作り出される惨事がまた巨大企業の商機になっていく。
 
 このシナリオを変えるためにこの2団体が提案するのが A Long Food Movement。25年後を見据えた食の運動である。巨大アグリビジネスの野望を挫き、規制を強め、生態系を守る方向に世界を変える。しかし、それを実現するためには広汎な市民社会、市民組織の結集が不可欠となる。#LongFoodMovement
 
 この話の後に農水省の「みどりの食料システム戦略」を見るとこの戦略の別の姿がはっきり見えてくるだろう。この戦略がまさに巨大アグリビジネスのビジネス戦略に沿っている要素でいっぱいであるからだ。
 
 巨大アグリビジネスはこの10年、国連の舞台では負け続けてきた。しかし、彼らは執念深くロビー活動を行い、昨年、そのロビー団体CropLife(モンサント[現バイエル]、住友化学など)がFAOのパートナーとしての地位を確立、そして今年9月の国連食料システムサミットで、国連の食料政策を乗っ取ることを狙う。そして、日本政府も「みどりの食料システム戦略」をひっさげて、その巨大アグリビジネスの潮流に合流しようとしている。
 
  IPES-FoodやETC Groupが描くようにこの巨大な流れを変えるのは広汎な市民組織の結集しかない。残念なことだが、未だに、日本では食に関連する問題に関する認識がとても弱い。食の問題をしっかり認識している政治家も市民運動団体もきわめて少数派と言わざるを得ない。食の問題を社会のど真ん中で考えられる社会にしなければ、日本の未来は変えられない。
 
 食の問題を社会のど真ん中へ
 食を地域に取り戻そう
 「みどりの食料システム戦略」をほんものの食を実現するものへ
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Global food and farming set for “corporate tidal wave,” warns report – calls for 25-year ‘long’ food movement
http://www.ipes-food.org/pages/LFMpressrelease

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