「ゲノム編集」飼料での後代交配種のパブコメ

 またパブリックコメント、しかもひどいパブコメなので意気消沈、読む気もしないと言われるかもしれないけれども、書かざるを得ない。日本政府は2019年10月に「ゲノム編集」農作物を実質的に申請・承認プロセスを経ずに、安全性の検査もないまま、「同断・届け出」という奇妙な仕組みを作って、表示などの規制もせずに生産・流通させることを認めた。
 もっとも問題なのは、最初の「ゲノム編集」種苗は相談・届け出を求めるけれども、その種苗を親として交配させた後代交配種(つまり「ゲノム編集」種苗の品種同士、あるいは「ゲノム編集」種苗と従来の種苗とかけ合わせてつくった子の種苗)は届け出しなくていいとしたことだ。
 届け出すらしないのだからもう規制も不可能になる。従来の作物とまったく区分ができなくなってしまう。そうすれば反対すらできないだろう、というバイオテクノロジー企業の悪知恵をそのまま受け入れたわけだ。

 しかし、それを飼料に使う場合についてはパブコメで批判が殺到し、農水省も後代交配種でも形質が変化した場合など一定の条件の場合は届け出が必要とすることに昨年2月に方針転換した。でもその方針が使われることは一度もないまま(1)、早くも農水省はさらに方針転換して、その決定を反故にして、後代交配種は一切届け出不要に変えるとしたのだ。それが3月5日に締め切りとなるパブコメで示された方針なのだ。あまりに異例の朝令暮改的迷走だろう。よほどバイオテクノロジー企業から圧力を受けたのだろう。
 怒って当たり前のことをやっているのだけど、マスコミは報道しない。そんな中、粛々とバイオテクノロジー企業のための政治がまた進もうとしている。でも、黙ってられないから、以下のコメントを送る(2)。
 
 


 まず本題に入る前に「ゲノム編集」された農作物を飼料に使うことが安全であるかどうかという科学的な実験すらせずに使うという方針そのものが許容できません。しっかりと、安全性の確認の試験を義務付けるべきです。
 それなしに「ゲノム編集」作物を相談・届け出という奇妙なシステムによって十分に公開されたところで審査することもなく、認めてしまうというシステムそのものが十分な検討もなく導入されたことも許容されるべきことではありません。
 今一度、この是非を広範なステークホルダー(市民全員)を対象とした議論の俎上に上げるべきです。このままでは間違った政策を行ったとして後代から非難されることは避けられないでしょう。

 貴省では2019年9月に行われたパブリックコメントを受けて、「ゲノム編集」された作物の後代交配種であったとしても、形質に変化が見られた場合などは届け出を求めるという変更を行いました。これは上記のことを踏まえればまったく十分な対応であるとは言いがたいものですが、後代交配種は届け出すら必要ないとする立場よりは、前進していますし、パブリックコメントでの批判を受けて、変更を行ったという姿勢は評価しえます。
 それにも関わらず、今回、前回の変更の実際の効力を発揮する前に、方針を変更して、前回の決定を反故にして、後代交配種は届け出すら一切不要とするということは暴挙と言わざるを得ません。
 せっかく行ったパブリックコメントを打ち消す方針に転換するのであれば、それなりの科学的根拠が示されるべきです。それが示されていません。

 検討会は開いたということですが、そこでも科学的根拠、実験データは一切示されず、単なる推論で終わりになっています。推論は科学とは言いがたく、実際にそれが正しいかどうか、しっかりとした実験が不可欠です。

 まず、今回の方針を撤回し、前回の決定にまず戻すことを求めます。そして、「ゲノム編集」農作物を飼料に使うことに対して根本的な安全審査を行うことを求めます。


 
【署名活動】種苗への遺伝子操作の表示を求める署名
https://nishoren.net/new-information/14054

(1) サナテックシード社の「ゲノム編集」トマトは飼料用にも申請が出されている。もっとも飼料用にあのトマトを栽培することはないだろうが。

(2) 3月5日締め切りのパブリックコメント。コメントの送信は下のリンクから
「ゲノム編集飼料及び飼料添加物の飼料安全上の取扱要領の一部改正案に係る意見・情報の募集について」
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=550003263&Mode=0

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