バイオテクノロジー企業の言いなりの日本政府

 「ゲノム編集」作物の飼料としての取り扱いに関するパブリックコメント(既報)の締め切り(3月5日)が迫ってきている(1)。
 今回のパブコメについては2月4日にまとめているのでそれを参照していただくとして(2)、今回のポイントは以下
・ 日本政府は「ゲノム編集」された作物を親として交配させた品種(後代交配種)は届け出すら不要としている
・ 飼料としてそうした作物を用いることに対して行われた2019年9月開始のパブリックコメントに批判が殺到→農水省は2020年2月7日に後代交配種で一定の変化が出たものは届け出を求める方針を出す(3)
・ パブコメを受けて変更した政策を今回のパブコメではひっくり返し、後代交配種の届け出を一切不要とするもの

 「ゲノム編集」の種苗ができれば一応、届け出することになっている(義務ではないが)。だけど、それを親として交配して作った「ゲノム編集」の子の種苗は届け出しなくていい。届け出も求められないからどんなものが出ているのかもわからなくなる。これがバイオテクノロジー企業の狙いだろう。
 遺伝子組み換え作物は申請・審査・承認プロセスがあって、すべて一定、公けになる。だから、市民がそれを避ける手段も確保できる。そのために壁にぶつかり、もう終わりが見えてきた。一切規制させなくできればそんなこともなく、農家も市民も避ける手段がなくなり、抵抗できなくなり、種苗を自由に独占できる。それが彼らの野望。それにもっとも従順なのが残念ながら米国政府と日本政府。

 結局、2019年9月のパブコメはなんだったのか? 政策をひっくり返す証拠を示す実験でもやったのか? それもなく、前回のパブコメに基づいた決定を反故にする。前回の決定だって不十分過ぎるものだ。届け出対象となるのはほんの一部の後代交配種になるし、そもそも届け出という制度そのものが根本的におかしい。
 「ゲノム編集」作物を作る場合にはまず遺伝子組み換えとまったく同じようにさまざまな遺伝子を組み込む。その後、「ゲノム編集」していない種との交配を通じて、組み込んだ遺伝子は消失する、その消失したものであればOKということなのだが、本当に消失しているかが問題になる。当然、そこには審査が必要となる。
 農水省は届け出前の相談の時点で、遺伝子解析して判断するという。でも、そうであれば、それは「申請・審査・承認可否決定」というプロセスとなるはず。なのに、これを無理矢理、「相談・届け出」という名前にしている。前者は基本的な情報は開示されるが、後者は開示されない。届け出されて初めてわかる。そして後代交配種など届け出されないものはまったくわからない。要するに情報の隠蔽を政府がアシストすることになる。

 あまりにバイオテクノロジー企業に従順な日本政府、これに対してEUやニュージーランドは「ゲノム編集」に従来の遺伝子組み換えと同じ規制を設ける方針を打ち出しており、EUからBrexitで抜け出した英国はさっそく、「ゲノム編集」規制緩和の方針を出すも、市民社会から多くの批判を受け、すでに「ゲノム編集」を扱わない宣言をした流通業者も出現(4)。急速に市民がその問題に気がつき始めている。

 日本でも日本消費者連盟が種苗への遺伝子操作の表示を求める署名を先週から始めている(5)。また、種苗を作る側が自主的に「ゲノム編集していない」表示を始めることでそれを使って作った農作物も、それを使った加工品も「ゲノム編集していない」という表示ができることになる。
 こうしたバイオテクノロジー企業による攻勢は逆に在来種を守る運動を大きくするだろう。実際に世界ではそうした動きが始まっている。タネを守る活動から命を守る政治が生まれる。そうした動きから学びながら、日本でもその可能性を模索が始まっている。詳しくは後日。
 
 
 
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(1) パブリックコメント 「ゲノム編集飼料及び飼料添加物の飼料安全上の取扱要領の一部改正案に係る意見・情報の募集について」
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=550003263&Mode=0
 パブコメの書き方は自由でいいです。名前も書く必要ありません。意見だけで大丈夫。前回のパブコメは何だったの、とか一言でもいいと思います。パブコメについて書くとすぐに文例を書けと言われますが、今回のパブコメの問題点についてはさんざん書いていますので、その中に関心あるものがあればそれを参考にご自身の言葉で書いていただければと思います。今、この投稿を書くのが限界で、サポートする余力はありませんのでご理解ください。

(2) 今回のパブコメについて(2月4日にまとめた投稿)
http://blog.rederio.jp/archives/5798

(3) 今回のパブコメが出てきた背景についてまとめた投稿(2020年12月23日)
https://www.facebook.com/InyakuTomoya/posts/4862428110450647

(4) Co-op says #NotInMySupermarket to gene editing
https://www.slowfood.org.uk/co-op-says-notinmysupermarket-to-gene-editing/

(5) 【署名活動】種苗への遺伝子操作の表示を求める署名
https://nishoren.net/new-information/14054

画像は「ゲノム編集」食品を売らないでという英国市民の声に応えた生協を歓迎する画像(Slow Food in the UK)

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