改正種苗法はこれだけ問題

もう国会で決まっちゃったんだからもうこだわっても仕方ない? いや施行までにはまだ時間がある。おかしなままでは大変な混乱が生まれてしまいかねない。そのような点は実態に即して是正を求めなければならない。種苗法改正のことだ。
 審議の際に説明されたことが果たして妥当だったか? 実際にどうであったか、東京大学大学院農学生命科学研究科鈴木宣弘研究室、参議院議員川田龍平事務所の協力の下に、実際に種苗法の下に生産を行う農業者を対象にアンケート調査を行った(対象地域は北海道、青森県、山形県、愛知県、福岡県、熊本県)。そこで分かってきたことは…。 
 
●「登録品種は1割ほどで種苗法改正は農家に影響を与えない」
 稲やその道府県の重要な農作物は概して登録品種が占める割合が高い。すでに道府県ごとに決められる産地品種銘柄での登録品種の割合の高さは何度も指摘してきた(1)。今回のアンケートでは、熊本を除き、登録品種の占める割合は1割よりもはるかに高い割合だった。北海道や青森県の稲の登録品種は87%、78%を占める。他の府県での調査を行うことができればほぼ同様の傾向であることがわかることだろう。
 この実態を農水省がわからないわけはないだろう。それなのになぜ、このような実態とは異なる説明をしたのか? このままでは多くの農家が影響を受けるだろう。
 
●「自家増殖をする農家はほとんどいないから改正種苗法は影響を与えない」
 自家増殖する農家はほとんどいない、と言われるが、実際に葉野菜などを栽培する農家では確かにごく稀になるが、稲などは自家増殖する割合は少なくない。なんらかの作物を自家増殖する割合は3割〜5割に及ぶ。登録品種の自家増殖する割合は地域によって大きく異なるが無視できない割合となっており、この農水省の説明も大いに問題にせざるをえない。
 
●「有機農家は一般品種を使っているので、登録品種の自家増殖を許諾制にしても有機農業の発展に支障となることはない」(参議院農林水委員会での農水省の説明)
 有機農家でも登録品種は使われており、特に北海道や青森県ではすべての有機農家が登録品種を活用している。購入できる登録品種には農薬が使われていることが多く、一度、有機栽培したものを自家増殖することで初めて有機農業に適した種苗を得ることができる。そのため有機農業にとっては自家増殖が欠かせない。今回のアンケートの結果を受ければ、このまま改正種苗法が施行されれば、日本の有機農業の発展にさらなるハンディキャップが増えることになりかねない。
 有機農業のための種苗を得るための自家増殖については例外として認めるか、あるいは有機農業に適した種苗の提供体制を整えることがなければ、この問題は解決できない。是正が不可欠。
 
 
 今回のアンケートはマクロミルという調査会社を介した調査であり、特定の傾向のある農家を選んで調査したものではない。アンケートに答えた農家の多くは改正種苗法の問題を認識されていない方が大半を占めた。大半が問題の存在もわからないまま、問題ある改正が行われたことの現実は重いといわざるえない。今回のアンケート調査はサンプル調査に留まっている。さらに地域を広げ、調査対象を拡大して、調べる必要は高い。
 さらに各都道府県で事前調査を行うことによって、改正種苗法によって大きな混乱が起きる前に対策を立てるべきである。
 
詳細のレポートは以下からダウンロードできます。
https://drive.google.com/file/d/1_OLCAbNPELzd27hxOZ6OvhG_zUIHrvtm/view?usp=sharing

(1) 登録品種は1割だけ?
https://www.facebook.com/InyakuTomoya/posts/4754068581286601

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