正体不明の病気に取り憑かれる遺伝子組み換え作物

 遺伝子を人為的に操作することが何をもたらすか、数年ではわからない。しかし、ある時、突然問題が広がり出す。想定外だと言うかもしれないけれども、これは想定しうることだ。つまり、有機的に結びついている遺伝子を人為的に操作することでその生命の全体性を壊してしまう。そうなればもう人には手が付けられなくなる。

 ブラジルで遺伝子組み換えトウモロコシに正体不明の病気が発生している。写真にあるように収穫の前に実が腐ったり、茎が十分せずにまともに実がならなかったり、倒れてしまったり。ウイルスや病原菌に取りつかれたような症状を示す。禁止されている殺菌剤を使うなどしか方策がないが、使ったとしてもまともな収穫は期待できないという(1)。


 ほとんどの遺伝子組み換えトウモロコシは害虫を殺す毒素(Bt毒素)を作り出すように遺伝子組み換えされている。元からトウモロコシが持っていた免疫がこの遺伝子組み換えによって傷つけられ、それまで知られていないような病気が現れることは十分予想できただろう。

 遺伝子組み換え作物の商業栽培開始からわずか25年。登場した時は殺虫剤が不要と宣伝されたのに、害虫を殺すはずの毒素は効かなくなり、結局、さまざまな農薬を撒かなければならなくなった。農薬を減らすという宣伝は虚偽のものとなった。
 2020年9月、米国環境保護局(EPA)はこのBt毒素を持つモンサント(現バイエル)やシンジェンタなどの遺伝子組み換えトウモロコシ(Btコーン)を40品種以上、一気に登録から外すことを提案した(2)。つまりスクラップである。もはや無用の長物となってしまった感がある。

 哀れなものだ。毒が毒でなくなってしまい、遺伝子組み換えした意味が失われたわけだ。そしてブラジルで起きたように、もはや普通に実を付けることもできなくなってきているとしたら、生物として持たない状態になっているのかもしれない。
 
 同じことが「ゲノム編集」でも起きることは十分想定しうる。GABAを抑制する遺伝子はGABAを抑制するだけでなく、他にもトマトを守る機能を持っている可能性は十分ある。その遺伝子を破壊されたトマトはやがて自分の生命を保つことができなくなるかもしれない。
 古くなった製品を廃盤にするように、そのトマトの種苗を売り場から外すだけで済めばまだいい。もし、花粉が広がり、他のトマトと交雑してしまったら何が起きるか想像してみてほしい。もはや取り返しが付かなくなる。
 
 この問題は実際に起きている。遺伝子組み換えトウモロコシとの交雑がトウモロコシのふるさとである中南米で起きている(3)。しかし、だからこそ、中南米では在来種のトウモロコシを守るための活動が盛んに行われている。メキシコ、コスタリカ、ペルー、ベネズエラでは遺伝子組み換えトウモロコシの栽培は禁止され、在来種が守られている(4)。
 
 一方、こんな愚かな「ゲノム編集」作物の開発を日本政府は日本の成長戦略だとして巨額の税金をつぎ込んでいる。日本がますます貧しくなるわけだ。こんな愚かなことは一刻も早くやめさせるべきである。
 またブラジルでは遺伝子組み換え大豆・トウモロコシの栽培が盛んだが、その前史となる開発から日本政府は深く関わっている。1970年代に始まったセラード開発計画(Prodecer)から関わりは深く、それは現在のMatopibaまで続いている。この開発は環境破壊と同時にブラジル社会の貧困化をもたらしている(5)。
 
 本当にもうこんな技術に未来はない。
 
(1) Doença desconhecida pelos agricultores ataca variedade de milho transgênico
http://www.biodiversidadla.org/Noticias/Doenca-desconhecida-pelos-agricultores-ataca-variedade-de-milho-transgenico

(2) モンサント(現バイエル)などが開発した多数の遺伝子組み換えトウモロコシ、コットンの品種をスクラップにすることが検討されている
https://www.facebook.com/InyakuTomoya/posts/4630929276933866

(3) 世界のトウモロコシのふるさと、中南米のトウモロコシが遺伝子組み換えによる汚染の脅威に晒されている。
O patrimônio genético e cultural do milho está sendo ameaçado pela contaminação da transgenia
https://www.brasildefato.com.br/2021/01/26/diversidade-genetica-do-milho-favorece-variedade-de-pratos-e-beneficios-para-saude

(4) Hoy nuestra agrobiodiversidad, nuestras semillas y nuestra cultura tienen motivos para celebrar
http://www.biodiversidadla.org/Noticias/Hoy-nuestra-agrobiodiversidad-nuestras-semillas-y-nuestra-cultura-tienen-motivos-para-celebrar

La experiencia de guardar y multiplicar semillas nativas
http://www.biodiversidadla.org/Noticias/La-experiencia-de-guardar-y-multiplicar-semillas-nativas

Fruto de assentamentos e referência na produção de sementes, BioNatur faz 24 anos

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(5) Quem semeia soja e milho transgênico colhe pobreza, artigo de Norbert Suchanek
https://www.ecodebate.com.br/2021/01/19/quem-semeia-soja-e-milho-transgenico-colhe-pobreza/

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