新型コロナウイルスで露わになった課題:医療政策

 新型コロナウイルスでも原発事故の時もそうなのだけど、ある種、社会的パニック症状が起きて、言い争いになる。人間関係が壊れるから沈黙する人もいる。でもそれでは何も変わらない。こういう時はパニックと消耗を避けるために一種の思考実験をするといいと思う。新型コロナウイルスの脅威がすでに静まって、社会は静寂を取り戻したと空想しよう。さて、そこでこんな苦しみが二度と起きないようにするためには何をしなければならないか、考えてみよう。今の問題となるとどうしても争いになる。だから今はもう解決したことにするのだ。そして未来の問題として考えてみよう。わたしたちは何をすべきか?
 今回のウイルス感染によって多くの犠牲が生まれた。大変だった。でも、この犠牲者はもっと少なくすることができたはず。将来襲ってくる感染症で犠牲者を出さないためにはどうすればいいか?
 なぜ、今回、犠牲者がこんなに出てしまったのか? EUで多国籍企業のロビーによって病院も民営化され続け、そのため多くの命を失うことになったことを告発するレポートがEUの市民団体によってまとめられた(1)。先日、EUでワクチンの契約の不透明さの追及について言及した(2)けれども、同じ市民団体がまとめたもの。
 
 これはまさに日本で問題にしなければならないことだろう。というのも日本はEUより桁違いの少ない感染者しかいないのに医療崩壊に陥ったが、なぜなのか? 日本では医者の数が先進国の中ではもっとも少なく、EU以上に医療が民営化されてしまっているからだ(3)。だから感染症に対応する能力がEUなどに比べ、極端に低い。今回、医療崩壊、切迫した地域はみな医師の数も保健所の数も少ないことをみれば、それを変えることがいかに重要かわかるだろう。もし、EU並の感染者が今後、出た場合、日本はどうなるかを考えると恐ろしくなるが、だからこそ、今のうちに政策を変えるように求めていこう。それはいいよね?
 日本は医薬品の市場も医療機器の市場も世界第2位(4)。だけど医者の数は先進国最低。要するに日本は本当に多国籍企業にとってのいいお客さんになってしまっているのが現実。
 日本は長寿と健康の国だ、と思っているかもしれないが、とんでもない落とし穴がある。日本の住民は知らないうちに薬漬け、農薬漬けになっていて、神経、認知機能など病気の範疇からは抜け落ちやすい病気は年齢を問わず、近年、急速に広がっている(5)。パンデミックが来る前から、非常事態宣言出さなければならないような状況がすでに生まれていると思う。
 
 公的医療が持つ意味を再確認して、今後の医療崩壊を食い止めるための政策を求めていく必要がある。選挙も近い。公的医療を重視するかを候補者に問うていくべきだろう。もちろん、公的医療に金をつぎ込めばいいというものではない。1つの理想モデルとして作られた国立小児病院に子どもの長期入院で長く泊まり込みした身としては、現場の医師や看護師が平時の時でも、どれだけ疲弊していたかは肌身で知っている。笑顔の人が数年で笑顔が消えて、姿が見えなくなった、そんなケースがどれだけあったか。平時ですでに疲弊しているのだから、このような厚労省の医療モデルも徹底検証していかなければ、医療危機は終わらないと思う。
 
 新型コロナウイルスは目覚まし時計という言い方が世界でされている。ここでこれまでの社会のあり方、生き方を見直して変える時が来ていると思う。

(1) First Covid, now McKinsey – how austerity hit EU healthcare
https://euobserver.com/opinion/150743

When the market becomes deadly–How pressures towards privatisation of health and long-term care put Europe on a poor footing for a pandemic
https://corporateeurope.org/en/2021/01/when-market-becomes-deadly

(2) EUの製薬企業とのワクチンの契約が不透明として調査が始まる。
https://www.facebook.com/InyakuTomoya/posts/4955116451181812
この団体の名前はCorporate Europe Observatory。多国籍企業のロビーによって政策が変えられていることに警鐘を鳴らす活動を行っている。

(3) 本田宏さん https://twitter.com/honda_hiroshi/ の資料参照(グラフ多数)。本田さんは数多くの本を書かれて日本の医療体制の問題に警鐘を鳴らす活動を行っている。

(4) 医薬品市場、医療機器市場のグラフ参照
経済産業省 医療国際展開カントリーレポート(2017年)
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/iryou/downloadfiles/pdf/countryreport_comparison_basicdate_JUE.pdf

(5) 文科省「通級による指導実施状況調査結果について」のグラフ(添付)を見れば現状がいかに厳しいか想像つくと思うが、子どもだけではない。高齢者の状況も深刻になりつつある。そしてすべての年齢で問題が起きている。
https://www.mext.go.jp/content/20200317-mxt_tokubetu01-000005538-02.pdf

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