日本版グリーン・ニューディールで食と農を守れ

 このコロナの混乱の中、日本政府がやらなければならない最優先課題は種苗法改正でも「ゲノム編集」の推進でもなく、ニューディール的な空前絶後の農家支援策だ。この5年間で農業人口は175万7000人から136万1000人と40万人近く激減している(1)。そして、今年のお米の生産は38道府県で減産計画を立てているという(2)。農家の平均年齢は66.8歳と言われる。このままではあと10年以内に日本の農業は壊滅的になる。
 こんな危機であるのに日本政府が進めるのは種苗法の改正であったり、スマート農業の推進であったりする。つまり農業で民間企業が儲けることには熱心だが、その根幹の農家の支援策はあまりにお粗末な実態になっている。なぜか? 日本政府はそもそも家族農家による農業の重要性を理解していない。離農してもらって、大規模化し、企業化することがいいと未だに信じている。
 しかし、これはすでに世界で失敗した農業モデルに過ぎない。パンデミックのような状況でも大型の企業型農場は簡単に止まってしまう。そうした経営体は赤字が予想されると動けなくなる。それに対して家族農家は生産を続ける。だからこそ、企業型経営体よりも小規模家族農家を支援することで食料保障を確保することができるということで世界の農業政治は変わったのだ(ただし日本以外)。もし、これ以上、日本が工業型・企業型農業を進めれば、日本は食料保障がさらに危うい国となるだろう。
 食料は輸入すればいい? 今後、気候変動がさらに激化すれば食料輸出国も輸出を規制するだろう。そうなってから焦っても遅すぎる。
 
 米余りと言っても、小麦や大豆は大量に輸入している。日本で生産できないというのではない。輪作ができるようにすれば農家も収入を確保し、自給率も上がる。しかし、そもそも米国から大量の農産物を輸入することが前提となっている政策が大きなネックとなっている。米国から大量に買わなければならないから食料自給率を上げるわけにはいかない、というのが日本政府の本音だろう。だから農業振興策は輸出ばかりを強調することになる。しかし、輸出で潤うのはごくわずかに過ぎない。やはり地域の家族農家をしっかり守る以上の政策はないのだ。

 米国も大きく変わっている。米国ではすでに大規模輸出向け穀物の生産をやめる農家も増えている。単価の安い単一穀物を作るよりも、地域で消費される農作物に多様化する方が利益率も上がることがわかってきたからだ。いずれに米国には頼ろうとしても頼れなくなる時代がやってくる。米国と日本との関係も変えていかなければならない。この農業の政策も大きく変える時なのだ。
 都市集中がいかに危険かということは感染症の蔓延状況を見ても明らかだろう。農村を再び見直さなければならない時に来ている。

 個々の生産農家を直接支援する大きな計画を作り、現存農家、そして新規参入農家を支援していく大きなニューディール政策、しかも気候変動を抑えることができる有機農業・自然農法・アグロエコロジーを中心とした農業を支援することで、一石二鳥どころか五鳥にも十鳥にもなる政策にしていけるだろう。

 これを打ち出さなければ10年後の日本はもうとんでもないほど危険な状況になっているだろう。今こそ、日本で政策の大転換を!

(1) 農業従事者40万人減の136万人 減少率、過去最大 20年農林業センサス
https://news.yahoo.co.jp/articles/e6add3be0d9269dab2e5fff590a3b4ccdc728d0e

(2) 21年産米、38道府県が減産計画 
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/693202

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