自家増殖規制に反対の農家の声

 あれこれ、調べていくうちに農水省が2010年に自家増殖の規制に関連して農家から意見を聴取した文書があった(文書の作成日時は2010年11月11日)。
「苗を自家増殖しないといい多彩な菊が消費者に安価にて提供できない、海外の輸入菊に対して対抗できない、苗会社においても菊の苗を確実に安定して供給できるかが一番問題である」「後継者ができなくなる恐れがある」「現状、厳しい経営の中でこのような改正を行うと、逆に種苗会社側に痛手があるのでは?」
「果樹農家はここ何年かの価格低迷に生産意欲さえ薄れるような状況にあります。(中略)新品種による消費拡大を進め、農家の経営安定を図る為にも、農家の自家増殖による早期生産振興のためにも格段の配慮が必要と考えます」

 自家増殖規制に対する反対の声が並ぶ。10年前のこの懸念は今もまったく変わらないはずだ。その声に2017年前後から農水省は急速に背を向け始めた。反対する声がなかったのではなく、根強い反対は今なおある。それなのに、それに振り向こうとしない農水省、国会議員。野党の議員の中でも影響ない、という農水省の言い分を鵜吞みにする議員が参議院農林水産委員会にはいた。マスメディアも日経、産経はまったくダメだが、毎日新聞や地方紙はこの現実に目を向けている。
 12月1日の質疑は26日の質疑で軽率な発言をした与党議員や野党議員にも、もう少し、こうした農家の切実な声に耳を傾けてほしい。
 もちろん、自家増殖する農家だけが追い詰められているのではない。新品種育成している育種農家の状況も厳しい。必要とされているのはどちらも底上げする政策であって、どちらかだけを救済する政策ではない。片方だけでは農業は成り立たない。片方だけを利するそんな政策は解決策にならないのは自明であるのだから。方向性が間違った議論からは本当の解決策は生まれない。

農水省による自家増殖に関する農家のアンケート(2010年、PDF)
https://www.maff.go.jp/j/study/other/sinsyu_hogo/pdf/zosyoku_data02b.pdf

農作物「自家増殖」制限 取材で浮かんだ農水省「種苗法改正案」説明の「矛盾」
https://mainichi.jp/articles/20201125/k00/00m/040/307000c

タネがなくなる日 <上>「中国から種が届きません」海外依存、コロナでリスク なぜ国内生産先細り?
https://mainichi.jp/articles/20201123/k00/00m/040/329000c

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です