届け出すら不要な「ゲノム編集」種苗・食品:後代交配種

 届け出すら不要とされる「ゲノム編集」食品・種苗が出てくる可能性があることをご存じだろうか?
 しかも、厚労省の担当官によれば届け出されて公表された「ゲノム編集」食品が公表された通りに世の中に出ていくことは基本的になく、流通するものは届け出の対象とならないものになると断言している(1)。

 この届け出の対象とならないのは「ゲノム編集」して作った生物から作った後代交配種。これを届け出の対象から外す方針が昨年出されたものの反発は大きく、継続議論の対象となっていて、その議論が9月15日に始まっている(2)。

 この後代交配種とは「ゲノム編集」で作られた種を親にして掛け合わせで作られたもの。「ゲノム編集」された者同士でかけ合わせる場合、あるいは「ゲノム編集」されたものと従来品種とをかけ合わせて従来の育種方法で作る場合がある。

 昨年10月、日本政府は食品としても農産物の耕作の対象としても従来の遺伝子組み換えではない「ゲノム編集」であれば相談・届け出だけで自由にするという方針の実施に踏み切った(3)。その時に、この後代交配種については届け出すらしなくていい、という方針が出されたが、当然、これには大きな反発があり、議論が続けられることになっている。

 つまり親が届け出してある「ゲノム編集」生物を使って通常育種で作った新品種は「ゲノム編集」として届け出する必要がなくなってしまうというのだ。「ゲノム編集」で遺伝子操作されて作られたものであるにも関わらず、最初の代だけ届け出すれば次の代以降の通常育種ならば届け出すらしなくていいことになる。

 2代以降は届け出すら不要となれば、その種子が「ゲノム編集」されたことがあるものであるかどうか、たどれなくなることは予想できる。後になって親の品種に問題が発覚したような場合、果たしてどうするというのか、もはや手遅れになってしまう。
 また初代で問題が起きなくても2代で問題が起きるケースも想定可能だが、規制の対象としない。個々の「ゲノム編集」では問題が起きなくても異なる「ゲノム編集」を同士をかけあわせることで問題が発生する可能性も想定しうるが、それも届け出すらしなくていい。そうした危険を一切起こらないと断言するものだが、どうしてそのような断定にたどり着けるのか、どうにも理解に苦しむ。
 
 「ゲノム編集」生物に想定されない変異が生まれるケースが以前考えられていたよりもはるかに多いことが続々と報告されている。そして、日本政府のこの方針も「ゲノム編集」が自然に起きる変異と区別できず、検出も不能だとする前提で作られてきたが、それが事実に反すること、判別する方法も提案されており、前提そのものが変わってきている(4)。

 後代交配種を届け出しないという方針はまったくデタラメで、科学的な実証もなく出されているもので、まったく受け入れられないが、そもそも「ゲノム編集」種苗や食品を相談・届け出だけで規制の対象としない、この方針そのものがまったく見直しが必要といわざるをえない。

 なぜ、こんな重要なことが報道されないのか、消費者はもっと怒るべきだと思う。

(1) ゲノム編集技術応用食品~今とこれからを知る学習会~開催報告

(2) 厚労省:薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会新開発食品調査部会遺伝子組換え食品等調査会開催案内
資料

(3) 「ゲノム編集技術応用食品等の食品衛生上の取扱要領(案)」及び「届出に係る留意事項(案)」に係る御意見の募集について
「ゲノム編集飼料及び飼料添加物の飼料安全法上の取扱に係る意見・情報の募集」の結果について

(4) 「ゲノム編集」検出方法に関する研究
日本有機農業研究会 「作出時・生産工程で一度でも「遺伝子操作/遺伝子組換え」技術を使用したものはすべて、及びその後代交配種等も含めて、すべて禁止すること」を求めている

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