ラウンドアップやジャンクフードと闘うメキシコ

 メキシコ政府がTPPや米国・メキシコ・カナダ協定などの自由貿易協定・経済連携協定によって、メキシコでの種子の権利を危うくしようとしている現状について書いた(1)けれども、それだけで終わってしまっては不当な扱いになるだろう。

 なぜなら一方でメキシコ政府はかなりがんばっているからだ。その最大の象徴はモンサント(現バイエル)の農薬、ラウンドアップ(その主成分グリホサート)の禁止に向けた措置だと言える。
 政府内で環境省と農務省が対立して、グリホサートの禁止は実行されないのではないかという憶測もあったけれども、オブラドール大統領は2024年までに禁止することを8月12日に明言した(2)。この方針は6月には出されており、それ以降、トランプ政権は猛烈な圧力を政権にかけていたはずで、それをもろともせずに禁止すると公言した大統領の決意は並ならぬものがあっただろうと思う。即禁止ではなく、禁止が2024年に設定されているのは、現在使っている農家たちが代替手段を確保するまでに時間をかけるということ。

 また地方自治体でもジャンクフードを禁止する動きが本格化している。オアハカ州でファストフードや砂糖の入ったドリンクを子どもに与えることが8月5日に禁止されたが、他の10の州もその政策を取り入れようとしている(3)。
 グローバルな農業、食の多国籍企業が浸透する中で、地域の食のシステムが壊される。それまで地域でとれた生鮮食料、果物、地域のお菓子が淘汰されてしまい、その代わりに多国籍企業が作り出した加工食品(ジャンクフード)が流れ込む。子どもたちにも肥満や糖尿病が激増して大問題になっている(4)。

 グローバルな食のシステムは多くの国の社会の土台を壊している。このジャンクフードの規制はその第一歩。もちろん、種子を取り戻さなければ本当の意味のローカルな食のシステムは構築できない。

 メキシコは食を取り戻す大きな闘いのただ中にある。

 
(1) メキシコでの種子を農民から奪う動きについて

生物多様性こそが私たちの命を守ると書いた(1)。その多様性を守ってきた農家のタネが危うくなっている。ラテンアメリカの他の国々でも大きな問題となっている。 特にメキシコが今、とても危ない。TPPや米国などとの自由貿易協定が大きな制約をもた…

印鑰 智哉さんの投稿 2020年8月15日土曜日

(2) Mexico to phase out use of herbicide glyphosate
http://news.agropages.com/News/NewsDetail—36256.htm

(3) More states follow Oaxaca’s lead and move to ban junk food sales to kids
https://mexiconewsdaily.com/news/more-states-follow-oaxacas-lead-and-move-to-ban-junk-food-sales-to-kids/

(4) Free trade and Mexico’s junk food epidemic
https://grain.org/e/5170

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