日本版グリーン・ニューディール? 生存の危機からの離脱法

私たちは現在さまざまな脅威にさらされている。このままでは2050年には気候崩壊、生物多様性崩壊により人類は生存危機に直面する。あとわずか30年ちょっとしかない。そのシナリオを変えるために私たちに残された時間はほんのわずかしかない。
 それなのに私たちはあまりに多くの問題を抱えている。政治のシステムも、経済のシステムも、社会にも性差別、障がい者差別、人種差別、福祉、医療…。政治は悪くなる一方。どれかを二の次にして、優先課題だけを先に解決しようとしても、それでは真の解決にはたどりつけない。なぜならこのすべての問題はなんらかの形でつながっているから。あまりに問題が多すぎて、取り組む人が少なすぎる? いや、影響を受けている人はあまりに多い。それらを結びつけて、みんなが解決に向けて動き出せば変わるはず。でも、どうやって、ここでいつも立ちすくむ。あまりに多くの当事者がそれぞれの問題を口にすれば混乱してしまう、と怖れてしまう。

 「COP25を見ろ、温暖化効果ガス排出削減策ですらまとまらなかったじゃないか? 1つの課題ですら変えられないのに変えられるわけがないじゃないか?」「よくするどころか悪くなる一方」
 だから、できることだけをやる、と閉じこもる。個別の問題にバラバラにしてしまえば、逆に何も変わらない。すべてを変えなければシステムは変わらないからだ。

 「すべてを変える」そんなことがありうるだろうか? 個別を切り出さずにその連関を考える。1つの政策が他にどんな影響を及ぼすか、一人で動くことをやめ、多くの分野を超えた人たちがいっしょに動く。こうすると、バラバラでは見えてこなかった解決策が見えてくる。

 今、米国の民主党左派が掲げているグリーン・ニューディールに大きな注目が集まっている。「来年の大統領選挙の単なるスローガンでしょ?」いや、今、このコンセプトは世界中に飛び火している。EUでもヨーロッパ版グリーン・ニューディールが検討されている。ラテンアメリカでもアフリカでも大きな反響が響いている。

 要するに大きな社会のエコロジー的な大転換を成しとけることを個々の企業努力などに任せる限り、達成はできない。これまでのやり方を変えるためには大きな投資も制度の変更も必要。大恐慌をニューディールで克服したように、政府が全面的にバックアップして、社会保障をつぎ込み、誰一人取り残さずに守り、しかし、人間の活動が環境に負荷のかからない産業を作り出し、職も創出して、新たなシステムへと変えようというものだ。国家の関与なく、そうした制度変更は不可能だから、どうしても政府を変えることが不可欠なポイントとなる。

 エネルギー政策、交通政策、都市政策、農業政策、金融政策などすべてが関わる。EU版グリーン・ニューディールの鍵となるのはFarm to Fork戦略(農場から食卓戦略とでも訳そうか?)だろうか? もちろん食を変えればすべてが自動的に変わるわけではない。発電方法も交通システムも急速に大規模に変える計画を作らない限り、自動的に変わるものではない。この大きな全社会的な連携を作り出さなければ、生存の脅威を取り除くことはもうできない、というところまで追い詰められている。

 でもどう政府にそれをやらせる? これにはもちろん草の根からのボトムアップが不可欠。今、世界的に変化を求める人たちの声は大きくなっている。気候変動による被害という不可逆的な動きの中でそれは加速するだろう。世界的な連携も必要になる。

 もちろん、このグリーン・ニューディール構想にはさまざまな意見が出されている。グリーンといいながらグリーンのふりをするグリーンウォッシュは山ほど出てきたし、これからも出てくるだろう。しかし、この取り組みの必要性は多くの人が認めるに至っているのではないだろうか?

 そしてこの計画が実行された国・地域では災害に対する回復力が生み出され、感染症なども拡がりにくくなるなどの変化も期待できるだろう。気候変動などグローバルなものだから自分がやらなくてもいい、と高を括っている国はその影響をもっともその被害に苦しむことになるかもしれない。なにより、社会的連携が作られて、さまざまな差別を克服できた地域はその差別から生まれる社会的紛争による苦しみからも解放されていくことができるだろう。その連携はこの大きな変化をよりたやすくするだろう。それができなければ変わることは難しい。

 さて、日本版グリーン・ニューディールがあるとしたら、どんな形になるだろう? 日本では無理? めざそうとしない限りは実現はありえない。現政権の不正を批判し、退陣を求めることを一時も忘れてはいけないけれども、同時に、今とは違うもう1つの世界を構築するための作業が急務だと思う。

 2050年に起こることを想定しながら、今、私たちは何をすべきかを考える。さまざまな差別との闘いをはじめ、さまざまな社会問題への取り組みに橋を渡し、大きな新しい社会構想を作り上げていくこと。さて、どこから手がつけられるだろうか?

A Message From the Future With Alexandria Ocasio-Cortez

絵を描きながらなぜグリーン・ニューディールが必要かをアレクサンドリア・オカシオ・コルテスが語る(「すべてを変える」力を感じる。わかりやすいビデオ)

Green Deal Proposal
EU版グリーン・ニューディール(こちらもわかりやすいビデオ)

Farm to Fork strategy for sustainable food
農場から食卓戦略

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