遺伝子組み換え企業が作るウソ:「ゴールデンライスは命を救う」

 ウソの情報を流して、人びとを混乱させることは、気候変動も典型だが、遺伝子組み換え関連でも激しい。遺伝子組み換えでは一番、古典的なのがこのゴールデンライスに関するデマだろう。つまり、「ゴールデンライスは発展途上国のビタミンA不足を救うために作られたのに、遺伝子組み換えに反対するものたちによってその栽培を阻まれている。環境運動は救えた命を死に追いやった」というもの(1)。

 あきれるほど長いこと何度も何度も繰り返され、その度にすべて論破されているのに、またまったく同じウソがこう繰り返し出てくることに驚かざるをえない。明らかに確信犯が流している。そうした情報が出てくる背景にはお金がなければありえない。でなければこのようなウソの情報を流し続けるという不名誉な作業を続けることはありえないから。

 ゴールデンライスは遺伝子組み換えによって含まれるビタミンAをたくさん含むという。だからそれを広い地域で作らせれば、発展途上国での栄養失調の解消に大きな役割を果たせるというのだが、そうならないことはすでに世界の多くの人たちが知っている。

 まず、なぜ米でビタミンAを取らなければならないのか、遺伝子組み換えしなくてもビタミンAを含む食品はたくさんある(画像参照)。そうした食品を食べられない原因はなにより貧困であり、その解消こそが重要だ。
 しかし、遺伝子組み換え作物の耕作を始めた地域では貧困が解決するどころか真逆のことが起きている。フィリピンでもインドでもブラジルでもアルゼンチンでも遺伝子組み換え農業が農家に追わせる債務によって、多くの人びとが命を失ったり、農地を失うなど犠牲になっている。アルゼンチンではかつては飢餓層はほとんど存在しなかったが、遺伝子組み換え耕作20年後、飢餓層が大きくなっている。パラグアイでも遺伝子組み換え登場以降、小農の多くが土地を失った(2)。

 自家採種している農民から種子を取り上げて、遺伝子組み換え種子を買わせることが本当の目的であり、最初は無償あるいは格安でばらまくがやがて高い値段にしていくのは目に見えている。それを知っているフィリピンやインドなど、このゴールデンライスがターゲットにしている地域の農民たちはずっと反対の声を上げてきた(3)。

 そして、実際のゴールデンライスに含まれるβカロチンはわずかしかなく(画像参照)、ゴールデンライスだけで必要なビタミンAを採ろうと思えば1日1キロg以上食べなければならない。不可能な量。

 しかも半年もするとゴールデンライスに含まれるビタミンAはほとんどが消えてしまうことがわかっている(4)。真空パックして冷蔵庫に保存すればややましになる(5)が、そんなことができるのは裕福な人に限られる。でも、そうした人たちは栄養は足りているので、そもそもゴールデンライスは必要ない。本当に栄養不足で大変な貧困な人びとはゴールデンライスではビタミンAは取れない。これでどうして命が救えるのか?
 こうした明らかなウソにも関わらず、同じセリフで遺伝子組み換えに反対する人びとが叩かれる。実際にゴールデンライスは失敗することは間違いなく(栄養ないのはバレてしまっているし)、それでもこうした情報を流すというのはこうした情報で遺伝子組み換えに反対する者へ敵意を募らせ、反対運動を無力化させ、遺伝子組み換えへの規制をなくさせることを狙っているものである。

 実際に、事実を1つ1つ見ていけば明らかなウソであることは明白であり、だから、ゴールデンライス推進側は一方的な宣伝以外に議論には応じない。議論してしまえば論破されるのがわかっているからだ。そうした論陣に加わればほぼ科学者や言論人としての名誉は消える。だからそうした論陣に入る人も限られている。いつもの人が同じことを言っている。でも金を積んでも事実をねじ曲げることはできない。事実をしっかり見れば結論は明らかだ。

 まともに議論すれば確実にダメなものがインターネットで拡がっていく。今、世界中でこうしたデタラメがSNSやWebサイトを通じて大量に流されている。向こうには金があるが、市民の方には金がない。情報量で押し流そうということだろう。この事態は恐ろしいものだ。真偽を見極めることができるようにしていかないと本当に大変なことになってしまう。

(1) Gigazine:「数百万人の子どもの目と命を救ったはずの遺伝子組み換え作物「ゴールデンライス」は規制が原因で広まっていない」 参照資料のために引用します。内容にはまったく同意してません。

(2) GMO Myths and Truths

(3) フィリピン、インド、スリランカ、バングラデシュなどのアジアの農民たちを中心としたゴールデンライス反対の運動
Stop Golden Rice! Network International Conference 2018

(4) ゴールデンライスのビタミンAはとても低く、しかもそのわずかなビタミンAも急速に失われることが明らかに
Golden rice beta carotene disappears fast: study

New study fails to show golden rice can help solve vitamin A deficiency

(5) GM golden rice must be vacuum packed to retain beta-carotene

画像はフィリピンの学者と農民の連帯市民団体のMasipagのTweetから

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