ゲノム編集食品解禁をめぐる報道のおかしさ

 予想されていたことではあるがあらためて今日は日本が壊れていることが見事に表された日となってしまった。

 東電旧経営陣3人に無罪判決。どんな企業犯罪を引き起こしても誰一人、責任を取らない。そして、国策として推進していた国の責任者もいっさい裁かれない。これだけの被害をもたらしても責任を取るものはいない。責任者不在。そして、それに対して被害者は自己責任とされる、とんでもない国となった。

AFP: 東電旧経営陣3人に無罪判決、福島第1原発事故

 そして、千葉や伊豆大島などでの台風災害への対応、日米貿易協定もそれに加えるべきだろう。
 日米貿易協定はなんら情報は開示されず、国会での議論もなく、締結するというのではもはや日本は民主国家では完全になくなったといわざるをえない。もはや安倍政権によるクーデタ、民主主義の抹殺事件としてこの一連の出来事(それはかなり前から始まったものであるといわざるをえないと思うけれども)を捉えるべきだろう。

 さらに消費者庁がゲノム編集の表示義務を本日発表した。これもまた、ありえないことが、ありえない手続きによってなされてしまった。

 本来、ゲノム編集された食品を検討するためには1つの食品に関して多面的に連動して検討しなければならないはずだ。でも、日本政府はそうしなかった。環境省、農水省、厚労省がばらばらに解禁の方針を出し、最後に消費者庁である。環境中に無規制で放出されるものを最後の消費の段階で規制することは実質不可能であり、このような検討のやり方そのものが結論ありきであったといわざるをえない。

 報道もおかしい。この記事では「ゲノム編集食品は特定の遺伝子を切断してつくられるが、外部から遺伝子を挿入する場合と挿入しない場合があり、現在開発が進む食品の大半は挿入しないタイプという」。外部から遺伝子を挿入しないでどうやってゲノム編集をやるというの? ゲノム編集の際には細菌由来のRNAや抗生物質耐性タンパク遺伝子、ウイルスの一種などが挿入されており、それなしにはそもそもゲノム編集はできないのに。
 そうした外来遺伝子を挿入した後、それが発現しないから、結果的に外部からの遺伝子は挿入していない状態になる、というに過ぎない。それをあたかも挿入しないで作るようなイメージを作ってしまうが、それは事実とは異なる。実際には挿入した遺伝子が残っているケースがいくつも報告されている。
 この記事を書いた記者はそれを理解していないのか、それとも規制緩和させたい勢力と一体となって、情報操作にやっきなのか、どちらだろうか?

共同通信「ゲノム食品、表示義務なし ルール決定、年内にも流通」
消費者庁:ゲノム編集技術応用食品の表示に関する情報

 また、ゲノム編集は自然の変異と区別ができないので規制ができない、というこれまたおかしな使い古された表現が繰り返される。
 たとえば遺伝子組み換え作物を使った油やお酢などは日本では食品表示しないでいいことになっている。「検出できない」から日本ではできないそうだ。でも、国内向けに売る時には遺伝子組み換え食品表示はしない日本企業も同じものをヨーロッパなどに売る時にはしっかり遺伝子組み換えと表示をする。
 実際に調べれば検出は可能なので、悪事はばれる。もし、知りながら、表示しなかった企業には罰金を払わせることにすればすべてが変わる。罰金の上に、騙していたことが世間にも知られ、信用を落とすということになれば企業は大打撃を受けるからだ。そのリスクは取れない。だから日本企業も輸出向けにはしっかり表示を行うのだ。仕組みを作れば企業はそれに従う。
 今回のゲノム編集の食品表示は規制させないことによって、遺伝子組み換え食品が陥った手詰まりを打開させるための戦略に他ならず、食の遺伝子操作を普及させるためのトロイの木馬となるだろう。で、それを結局、喰らうのは日本列島住民とならざるをえないだろう。日本国外では有機食品が急激に拡がりつつあるのだからそもそも変なものは食べる必要がない。でもこのままでは日本では多くの人が知らないうちに食べてしまうことに、なってしまう。

 しかも、今回の日本政府の対応には他の問題もある。国会での検討がないことだ。野党議員は何人も質問で追及しているけれども、今回のゲノム編集の解禁そのものは国会での審議対象になっていない。安倍政権は省庁のさじ加減での決定に任せている。このような重大な問題を国会で審議せずに、法的な検討を加えずに決めてしまうというのはまったくの民主主義の破壊行為に他ならない。
 たとえばオーストラリア政府も日本と同様、米国追従政府だが、それでも議会で法の改正を行っており、大きな議論を引き起こしている。たとえ、解禁派が勝とうとも、その議論は次の段階での規制に向けた大きなきっかけになるだろう。しかし、日本ではそのきっかけすら持つことが許されない。今回の件は安倍政権の国会つぶしのクーデタの1つの行為として見なすべきだろう。

 エネルギー政策も食の政策も外交政策も一切、正当性を持てない政権になってしまっていることは、しかし、安倍政権のアキレス腱とならざるをえない。責任を取ろうにも取りようのない人たちは責任ある地位にいる資格を道義的にも実務的にも持てないのだから。それに反対するすべての人はこれまで以上に胸を張って堂々と声を上げることができるはずだ。

9月25日はゲノム編集の規制を求める署名第1次提出と院内集会、そして厚労省包囲行動

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