ラウンドアップ/グリホサートによる生殖機能への影響

ラウンドアップ/グリホサートの与える健康被害はあまりに多岐に及ぶが、なかでも今後、もっとも気になるのが生殖機能への影響だ。

アルゼンチンからの警鐘

 遺伝子組み換え大豆が集中的に耕作される地域で生まれてすぐの子どもを失ったアルゼンチンの母親が立ち上がり、大きな闘いとなった。遺伝子組み換え大豆に大量に散布されるラウンドアップ、これがなぜ胎児に影響を? モンサントはその責任を否定するが、分子生物学者の故アンドレス・カラスコ博士がラウンドアップが胎盤を通過して胎児に影響を与えることを警告した(2010年)。
 農地の6割以上を遺伝子組み換えに独占されたアルゼンチンでは出生異常が激増しているとして、学生たちによる疫学調査も取り組まれ、その深刻な実態が明らかになっている。そのような根拠に基づき、反グリホサート、反遺伝子組み換え、反モンサント運動が大きなものとなった。

Roundup and birth defects: Carrasco vs Monsanto

妊娠したラットでも子のオスの甲状腺ホルモンに影響を与えているとする研究
Perinatal exposure to glyphosate-based herbicide alters the thyrotrophic axis and causes thyroid hormone homeostasis imbalance in male rats

早産の傾向

 インディアナ大学の研究ではグリホサートの体内残留が高ければ高いほど、早産になる傾向が指摘された。

Glyphosate exposure in pregnancy and shortened gestational length: a prospective Indiana birth cohort study

ラウンドアップは胎児を傷つける
Study Shows Monsanto’s Roundup Can Harm Fetuses

男性の精子も傷つける

Glyphosate/Roundup & Human Male Infertility

有害、無害、どちらが本当?ーそのカラクリ

 ただし、上記を否定する研究もある。グリホサート単体で調べても影響が出ない、とする研究はいくつもある。その研究はウソなのか、それともグリホサートの有害性を指摘する研究がウソで、グリホサートは無害なのか? いや、どちらでもない。事態は複雑だ。

 これにはカラクリがある。というのもグリホサート単体では細胞の中になかなか入っていくことができない。グリホサートは植物の体内に入り、そこでアミノ酸を作るシキミ酸経路をブロックして、植物はタンパク質を作れなくなる。これで除草剤として機能するわけだ。しかし、グリホサート単体では細胞の中に吸収されにくいため、効果が得られない。そこで細胞の中に浸透させるために界面活性剤の添加剤が必ず使われる。この界面活性剤によってグリホサートが細胞の中に入り、影響を与える、ということになる。この混合液は人体の細胞にも同様に機能する。だから添加剤の入らないグリホサート単体だけでは影響が出にくいということになる。でもだからといってグリホサート自体は安全ということにはならない。というのも販売されているグリホサート系農薬はすべて添加剤入りだからだ。

 政府の安全審査は常にグリホサート単体で行われ、この添加物が入ったもので行われることがない。モンサントは純粋なグリホサートで試験を行い、そのデータを政府に提出して、審査をかいくぐる。グリホサートが危険だとする研究者に対してはそれを否定する。しかし、その添加剤は審査の対象とされず、成分も情報公開されていない。
 もし、添加剤といっしょにグリホサートが評価されれば、その危険性ははっきりするだろう。グリホサート系農薬はラウンドアップの他にも数多くあるけれども、やはりモンサントのラウンドアップの有害性は突出していると言われるが、それはその添加剤の成分に原因があると考えられる。

Differential Effects of Glyphosate and Roundup on Human Placental Cells and Aromatase

 そのため長いこと、グリホサートの危険性ははるかに過小評価されてきた。アルゼンチンで多くの犠牲が出て、人びとが立ち上がり、それに連帯する学者も現れて、こうした現状がはっきりしてきたと言える。

 そうした情報が現在、世界的に共有され、グリホサートを禁止にという声が大きな潮流となっている。ラウンドアップ/グリホサートは1974年に発売から45年が経つ。でも歴史的に使われた7割はこの10年間に使われたと言われている。この10年間のグリホサートの影響によって、私たちの生殖能力がどう変化してしまったか、まだ誰もわからない。影響が出るのはこれからと言ってもいい。だから世界的に禁止しようという声になっていく。

 特に国際産婦人科産科連盟(International Federation of Gynecology and Obstetrics)がグリホサートの全廃を求める声明を発表したことは大きな意味がある。つまり、この生殖への影響を正面から捉えたことになる。日本の産婦人科学会、医療関係者はこの声明を受け止めて、前に進んでほしい。

Removal of glyphosate from global usage

 米国ではラウンドアップに対する裁判が18400を超し、100を超える地方自治体がグリホサートを規制し、カナダでも集団訴訟、オーストラリアでも訴訟が起きる中、日本は最大400倍の規制緩和。これは今の日本の現在を象徴する最たるものではないだろうか? 未来を考えれば急ぐ必要がある。

デトックス・プロジェクト・ジャパン 緊急記者会見(8月8日)

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