アグロエコロジーはLGBTI嫌悪と共存できない

 ブラジルで全国規模の大きなアグロエコロジー(生態系の力を生かす農業システムの学問・実践・運動)の大会が最初に開かれたのは2001年頃だったと思う。ブラジルにアグロエコロジーの実践が紹介されたのは1980年代末。特に2001年以降のアグロエコロジー運動の発展はめざましい。2012年にはついに大規模農業推進のブラジル政府にアグロエコロジー政策を採用させるまでに至っている。
 今月にブラジルのミナスジェライスで開かれた第4回アグロエコロジー全国大会、ブラジルのすべての生態系を含む地域の代表、先住民族、黒人コミュニティを含む2000人の代表に加え、公開イベントを含めれば4万人が参加して盛大に開かれたようだ。14カ国からの参加もあり、その中に日本からも参加があることがとてもうれしい。
 アグロエコロジーは農法に限らず、関わる主体のあり方も重要なテーマになる。「フェミニズムなしにアグロエコロジーはありえない」という表現はもっとも繰り返されるものの1つだろう。歴史的にも女性は農業活動の6割近く、その過半数を支えているにも関わらず、女性への差別、暴力は工業的農業が進む中でむしろ強化されてきた。アグロエコロジーが進む中で、そうした主体の問題が大きくクローズアップされてきたことは必然であるといわざるをえない。
 そして、今回の大会ではLGBTIへの差別が議論されることになった。LGBTIへの無理解ゆえに農村を捨て、都会に逃げざるをえない人たちがいる。差別偏見無知を克服して新たな関係の模索が始まる。「アグロエコロジーはLGBTI嫌悪と共存できない」という標語が今後、使われていくことになるだろう。
 困難な状況の中でも、こうやって人びとのあり方を検証しながら進むそのあり方には感銘をうける。ブラジルに革新的政策をもたらしてきた労働者党政権が情報クーデタによって潰されて以降、農民運動への暴力も悪化しており、昨年、殺された農民の数は71に登っている。政府のアグロエコロジー支援に関する予算も大幅に削減されるという厳しい中で開かれたこの大会、どうなるかとても気になっていたが、成果は大きかったようだ。
 日本の農も食もまた別な意味で大変厳しい状況に追い込まれている。そして、状況は大きく異なるものの、ブラジルと同じ構造の中にいる。グローバリゼーションと多国籍企業との闘いは両者を覆っている。さらに日本政府のODAなどを使った大規模農業開発事業が問題をさらに深刻にしている。日本やアジアに輸出される遺伝子組み換え大豆を作るために奪われる農地、さらにはそこに使われる大量の農薬。安く作られる食肉、それによって廃業せざるをえない日本の畜産農家。ブラジルと日本は同じ貨幣の表裏の関係にあると言った方がいい。ブラジルと日本の小規模家族農家とは共通する未来がある。そして消費者、市民も。
 今年の11月にはブラジルのアグロエコロジー運動を担う農民たちが来日する。そして、そこでこの構造をどう変えていくか、どう連帯していくことができるか、彼らのまとめた手紙はこう閉じられる。
「闘いと希望をグローバライズさせよう!」

Vozes dos territórios dão tom ao IV Encontro Nacional de Agroecologia (ENA)

Articulação Nacional de Agroecologia (ANA)

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