モンサントの決算は明るい未来を語るか?

 モンサントは2018会計年度第1四半期決算が好調なのだそうだ。「世界から反対が高まって追い詰められてなんかいないんだ。モンサントが危ないなんて言うヤツは嘘つきだ」と言われそうだが、果たしてモンサントの未来は明るいだろうか? どう見ても真っ暗だ。
 モンサントによると、この好調を支えるのは南米で展開するIntacta RR2 PRO大豆とグリホサートの価格上昇だという。でもブラジル特許庁はこのモンサントの頼みの綱Intacta RR2 PROの特許を無効と宣言してしまった。今や米国を超える勢いの遺伝子組み換え大豆生産国のブラジルがその特許を否定したというのはあまりに大きな衝撃だろう。
 そもそもIntacta RR2 PRO大豆とは何なのか? ラウンドアップ耐性大豆の特許が2013年にブラジルで特許の失効が宣告されてしまったために、モンサントが捻り出したもの。現在のモンサントの基本技術は2つ。1つはラウンドアップ耐性、つまり農薬かけても枯れないように遺伝子組み換えする、もう1つが害虫抵抗性、つまり殺虫能力のあるタンパクを生成するように遺伝子組み換えするというもの。今出ている遺伝子組み換えトウモロコシはこの2つをどちらも持っているものが多いが、大豆は前者だけだった。
 モンサントはこのラウンドアップ耐性大豆にも後者の殺虫成分を組み込んだ。どちらも古い技術だけど、組み合わせにすれば新しい特許が取れると踏んだのだろう。農家が必要とするのではなく、利益のために必要もない毒性を大豆に加えたわけだ。特許ロンダリングとでも呼んでやりたい手法。何も創造性がないものに特許は認められない、まっとうな判断だと思う。
 ブラジルだけではない。アルゼンチンもまた、モンサントの特許を認めておらず、農家はモンサントの大豆を保存して再利用している。「それをやったらモンサント警察に」いやいや、そもそもアルゼンチンにそんな法律ないから。モンサントとしてはそうした法律作って万全にしてから進出すべきだったのだろう。しかし、モンサントはアルゼンチンが混乱している隙を狙って入り込んだ。そんな法律を整備している余裕はなかった。その急襲は成功し、アルゼンチンはまさにモンサントの橋頭堡となって、ここから南米各国に浸透し始める。ブラジルでは遺伝子組み換え大豆の栽培を裁判所が禁止したが、アルゼンチンから密輸される遺伝子組み換え大豆の栽培が広がり、既成事実化されてブラジルは世界第2位の遺伝子組み換え大豆の生産国となってしまった。
 さらに、グリホサートはどうだろう? EUでかなりあくどいことをやって、なんとか5年の使用再延長認定を確保したものの、フランス、イタリア、オーストリアは3年以内に禁止することを明言しており、ドイツもそれに追従すると見られている。アラブ6カ国、スリランカも禁止しており、今後、急速に規制は強まるだろう。
 このラウンドアップという除草剤はすでに米国では耐性雑草が多くなってしまい、効果を失っている。それに対してモンサントはジカンバという古い除草剤を混ぜることで切り抜けようとした。しかし、このジカンバは流出しやすい。たちまちに広大な畑がこのジカンバの影響を受けてしまい、集団訴訟が起こされる始末。アーカンソー州はジカンバの使用を一時的に禁止した。しかし、モンサントはジカンバ製造工場に投資を続けるそうだ。
 短期的になんとか株価を維持するだけの余力はまだあるかもしれないが、モンサントの基幹技術の耐用年数はとっくに過ぎており、その技術に頼る限り、長期的な見込みは絶望的といわざるをえない。モンサントにとってバイエルによる買収によって、この危機を逃れるしかないだろう。世界の種子市場の独占においてモンサントは世界一であり、さらにバイエルの資金力で新たな遺伝子操作技術を持つ新興企業を買収して、生き残りを計る、たぶん、それしかモンサントの道はない。
 バイエルによるモンサントの買収についてはEUが強い態度で反対しているが、バイエルが譲歩することで成立してしまう可能性は高い。もし成立してしまえば苦境に陥ったモンサントが救済され、種子はさらに独占され、種子のさらなる価格上昇は避けられない。そして、そうなってしまえば遺伝子組み換えの新時代の幕開けとなるだろう。
 世界各地で買収を認めるなの声が上がる。

モンサント社のプレスリリース:モンサント・カンパニーは、2018会計年度第1四半期決算が好調

Brazil says Monsanto’s Intacta patent should be voided

Stop monster-merger BaySanto!

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