参議院農林水産委員会での種子法の質疑

 本日の参議院農林水産委員会、舟山康江議員(民進党)、川田龍平議員(民進党)、紙智子議員(共産党)、森ゆうこ議員(自由党)が質問を行った。減反政策やTPP/日欧EPA問題など問題は山積しているので、論点は多岐にわたるが、ここであげた議員はすべて種子法の問題を指摘した。
 舟山議員は11月15日に農水事務次官名で出された通達の問題点を指摘。参議院で議論の上、採決された付帯決議をまったく無視し、国会を無視した通達であり、撤回すべきだと迫る。当の通達を出した事務次官はなぜか委員会に参加しておらず、大臣が代わりにのらりくらりの答弁。
 この通達の問題は川田議員も追及した。この通達では種子計画について何も言及がない。種子計画とは種子が不足してしまう事態にならないよう、その生産を計画するもので、種籾作るために4年かかるため、都道府県で種子を生産する場合、事前に需要をつかんだ上で種子を作るためには計画が不可欠なものである。その種子計画まで廃止するのか、という川田議員の質問に対して、農水省は都道府県がやりたければやってよい、という対応。しかし、都道府県個別に作りたいところだけが種子計画を作るのでは対応できない。農家は他の都道府県から種子を購入することもあり、日本全体で各都道府県の種子計画が相互に調整されて最終的な計画となってきた。それをやりたいところだけやるというのではまったく、計画にならなくなる。
 さらに川田議員は種子計画を都道府県が作っていく場合、何を根拠にやるのか、と聞くと、農水省は過去の通達だという。しかし、それを廃止する通達を11月15日に出してしまっている。もし、過去の通達を根拠にするのであればそれらを廃止する通達は出してまずいはずだ。まったく矛盾した行政といわざるをえない。
 この答弁を受けてさらにおそろしいことを感じた。今後の種子生産は完全に民間企業に明け渡すことを農水省は前提としているとしか思えない。もし、今後も都道府県が生産していくとすれば、その根拠が必要となる。しかし、それは行政レベルでもはや根拠がないという状態になっていることになる。
 これだけで大大大問題だろう。これではまったくの無責任体制であり、農水省の存在意義が問われる。まったくありえない話しだ。農水事務次官は通達を撤回する必要があるだろう。しかし、そんな姿勢も見せない。

 これだけでも衝撃的に無責任なのだが、さらに驚くべきことが明らかになった。
 川田議員は国連で進められている小農民および農村住民の権利宣言について農水省は知っているかを尋ねると、一人も手を上げない。さらに今年5月に外務省が宣言の反対の答弁を行ったことの問題を指摘した。日本の国会で議論もないまま、外務省が暴走して宣言成立に反対していたことを農水省は知っていたのかと川田議員が質問すると、農水省側はフリーズ、速記が止められる事態に。最終的に農水大臣が今後精査して対応すると述べたに留まった。
 川田議員は米国ですら廃止していない法制度を日本が率先して廃止したことはきわめて危機的であるとし、廃止された主要農作物種子法に代わる新しい法律を議員立法として作ることに川田議員も参加することを宣言し、与党議員にも賛同を求め、種子法に関する質問を締めくくった。

 食料・農業植物遺伝資源条約が日本国内でも重要な条約であることが確認され、国連での小農民の権利宣言に対しても世界の国の農民と日本の農民の権利をつなぐ宣言として議論を国会の中で始めることができたことは、今後の農民・消費者の国際連帯、海外に対する開発政策と日本国内の農業政策をつなぐ政策議論の端緒となるだろうし、大きな意義を持つ質疑となったと思う。

ご自身でお聞きになりたければ以下のページから、カレンダーで12月5日を選択、さらに農林水産委員会を選べば聞くことができる(舟山議員は42分頃から、1時間34分頃から川田議員、紙議員は2時間35分くらい、森議員は3時間36分頃から)
参議院インターネット中継

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