アマゾンを破壊するMATOPIBA開発計画

 アマゾンの森が、そしてそこに生きる人びとの生活が危機に曝されている。その原因は大豆である。残念なことに、そこに日本のわれわれの税金が関わっている。

Conflitos no Campo pela CPT ブラジルの政治危機は大豆農家のチャンスとなった。レアルの評価減は大豆のいっそうの輸出に拍車をかける。植えれば植えるほど売れる状況。そして弱体化した政府による環境規制は弱まり、アマゾンの熱帯林が次々と伐採され、奴隷労働の摘発は困難となり、農地をめぐる紛争で次々とコミュニティのリーダーなどが殺されている。

 昨年、ブラジルでは土地をめぐる紛争で50人が殺されたが、その47人がアマゾンで殺されている(2015年土地紛争白書参照)。

 この状況の中で、日本政府による日本の面積の2倍近い地域を対象とした大豆を中心とした農業大規模開発プロジェクトが行われようとしている。開発対象の州の名前の頭文字を取ってMATOPIBAといわれる(マラニョン州、トカンチンス州、ピアウイ州、バイア州)開発プロジェクトだが、日本のJICAが設立と同時に着手したセラード開発計画の延長線上にある。このセラード開発プロジェクトはブラジルの内陸の高原サバンナ地域を一大大豆生産地域に変えるというものだ。今回のMAPITOBAはこのセラードとアマゾン、カアチンガとよばれる半乾燥地域にまたがるものだ。すでにマラニョン州は第3期セラード開発計画の対象とされて開発の対象となっている。

 ブラジルは世界でもっとも農地の取得が偏っている国の1つであり、農地分配を進める農地改革は憲法にも明記されているが、それはなかなか遅々として進まない。513人の下院議員のうち大地主は371も占めているのだ。どれだけ民主化が進もうともブラジルの既得権益者はこの世界的にもまれな土地の独占者たちで、議会も絶対多数を前提に何でもできる状態。そこに日本からの税金がODAとして注ぎ込まれる。何が生まれるか? 地域の発展? 地域の伝統的住民は排除され、そこに他の地域の大地主が土地を独占する。地域のマーケットは消し去って、輸出向けのインフラだけが栄える。不均衡な社会がさらに不均衡になっていく。それは政府開発援助の理念に本当にかなうものなのか?

 こうした開発過程の中で、さらなる小農民や先住民族の殺害と森林破壊という負の連鎖が生まれないと考えるのにはかなり無理がある。もし、これ以上のセラードやアマゾンの森林が破壊されれば、それは人類の生存をさらに困難にすることだろう。しかし、この開発をブラジルで進めるものたちは今、金が稼げるのであれば未来のことは考えていない。そしてそれは日本の政府関係者も同様だろう。私的な刹那の利益だけのための開発を公共の金を使って行う、このおぞましい破壊行為を許していいのだろうか?

 残念ながらこれまで日本のマスコミはこのセラード開発プロジェクトを「奇跡の開発」として礼賛してやまなかった。しかし、このセラード地域は南米大陸の水源地帯であり、そこの乱開発はアマゾンの渇水、セラード周辺地域の砂漠化などをもたらそうとしている。セラードの森は8割以上が破壊され、生態系は大きく崩れてしまっている。今回の開発計画はそれをセラードからアマゾン地域に広げようとするものだ。

 そして、そこで作られるものは遺伝子組み換えの大豆であり、その耕作のためのモンサントの農薬は大地を殺し、水を汚染する。そしてその毒である大豆は家畜を病気にして、薬の効かない耐性菌を作り出し、世界を病気にしていく。ブラジルのカトリックの先住民族委員会は世界にブラジルの遺伝子組み換え大豆のボイコットをよびかけている。

 そのボイコットに応えるならばこのプロジェクトも止めなければならない。


参考資料

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