日本での核エネルギー問題世界社会フォーラム開催の提案

世界社会フォーラムの発案者の一人でもあり、今も世界社会フォーラムの国際コーディネーターの一人として活躍するシコ・ウィタケー氏が10月2日から8日まで、Green Cross Internationalが福島で開催する原発問題の国際セミナーに参加するために来日した。その機会を利用して、ピープルズ・プラン研究所にて日本で原発問題などに取り組む人びととシコ氏を囲む会が10月7日に開かれた。

国会訪れたシコ・ウィタケー氏
シコ氏からは世界社会フォーラムの方法論の意義と原発そして核兵器を含む問題に関する取り組みの提案があった。どちらも現在の日本の状況にとって、重要な問題提起であったと思う。さらに、その囲む会の後、シコ氏から原発・核兵器問題にテーマを絞った世界社会フォーラムを日本で開催することの提案書が届いた。それも合わせて紹介したい。

以下、シコ氏の発言を元に構成してみる。

世界社会フォーラムについて

世界社会フォーラムはダボスで開かれた多国籍企業のボスや豊かな国の主導者が集まる世界経済フォーラムへの対抗として構想され、ダボスと同じ2500人を集めることを目標にしたが、実際に最初の世界社会フォーラムに集まったのは2万人。その後、10万人、15万人と膨れあがった。

このフォーラムを開催する際、ユニークな方法論を採用した。それは徹底した民主主義原則であり、中央集権を廃して、参加者の参加によってフォーラムを作り出していくことだった。

たいていの国際会議ではあらかじめ発言者やテーマが決まっている。参加者はそれを聞きに来るだけになってしまう。少人数の分科会などが組まれて、参加者が参加ができる工夫がされることもあるが、たいがいは、あらかじめ作られたプログラムに従う。そして、その会議を主催する側が用意した決議文を読んでおしまいとなる。その結果は主催者の考える枠組みを越えることはない。

しかし、世界社会フォーラムでは参加者たち自身が課題を持ち寄り、お互いの体験を交換しようというもので、そうした中から新しい動きが生まれた。あらかじめ決まった結論を参加者に聞いてもらうための場ではない。組織する側がやったのはスペースを準備することで、そこで新しい方向性が作り出されていった。異なる状況の中で大きな問題に取り組む人びとの間で互いの共通性が発見され、互いが直面している壁、困難を乗り越える可能性が見出されていった。国境を越えたそれぞれの存在に触発され、参加者自身が変わっていくプロセスを生み出していった。主催者側自身がそれに驚き、その結果は当初の予想をはるかに超えるものとなった。

世界社会フォーラムを準備したブラジルの8団体はまったく多様な団体だが、この準備を通じて新しい関係を作り出していった。その結果が2003年、労働者党のルラの当選という事態を生み出す力の1つになったとも言えるだろう。そればかりかラテンアメリカに進歩的な政権をいくつも生み出す力を作り出していった。エボ・モラレス・ボリビア大統領は私たちはフォーラムの息子と呼んでいる。

しかし、一方でそうして成立したラテンアメリカの進歩的政権の中にも資本主義システムが浸透し、経済成長の罠にはまっていってしまっている。ボリビアは原発を作る動きを示している。今、私たちが考えているのはこの資本主義的システムをぶちこわす反システムの動きをどう作るかだ。

脱原発テント前にて

原子力(原発・核兵器問題)について

ゴルバチョフはチェルノブイリ原発事故が起きた後、Green Cross InternationalというNGOを作り、毎年、世界の各国のリーダーたちをチェルノブイリに連れて行っている。スイスの国会議員も招待され、彼らはチェルノブイリの視察後、スイスの原発の廃止を決めた。

原発に関する情報は国際的に統制されており、マスコミと原発ロビーによってその実態は伝わらなくなっている。核兵器を欲する軍部、軍事産業がその背景にある。モラレス・ボリビア大統領が原発建設を決めたのもこうした力に操作されたからだ。今なお、原発はクリーンで、安全で安いと国際的に宣伝されており、それがまかり通っているのが現実だ。そうした中で、福島の東電原発事故で苦しんでいる人たちの実際の声は十分伝わっていない。私自身、実際に福島に行き、その現実はまったく想像を超えたものだった。

だからこそ、世界の原発に反対している人びとを日本に呼ぶべきだ。どれほど東電原発事故で人びとが苦しんでいるか、海外には十分伝わらない。でも、その実態を知れば、現実を変える大きな力になるはずだ。日本で原子力にテーマを絞った世界社会フォーラムを開くことによって世界の人びとがその実態を直に知り、被害者をエンパワーできるだろう。そして、世界で作られようとしている原発を未然に防ぐ力を生み出すことができることは間違いない。

日本に原発を作れなくなった日本の原発村は原発輸出に生き残りをかけているが、原発のない国には原発の問題はほとんど伝わっていない。ブラジルでも懸命に原発を禁止する運動を行っているが、残念ながら今回の大統領選挙の際にも原発は一切争点にすらならなかった。しかし、たとえば原発建設を決めたモラレス大統領も福島の実態を見れば原発建設をあきらめるだろう。現実を直接知ることは大きな力になる。マスコミに頼るのではなく、人びとが直接現実を知り、現実を変えていく方法を考えるべきだ。

世界社会フォーラムの関係者は支援を惜しまないので、日本での原子力問題の社会フォーラムをぜひ開いてほしい。多様な団体が協力しあうことで大きな新しい力が生まれるはずだ。広島・長崎70周年である来年に取り組めれば、この核兵器と原発の問題、その関連について世界的に警鐘をならすことのできる世界史的に意義のあるものとなるだろう。

シコ氏から届いた提案

原文は末尾参照。

核エネルギーに関するテーマ別世界社会フォーラムの実現に向けた提案

2014年10月の福島スタディー・ツアーの間、ブラジルからの参加者と日本の反核運動家たちは国際的な要素を持つ行動を深め、拡大していくために、互いのそして、世界の他の反核運動との活動の連携を向上させる必要について議論した。この議論の中で、世界社会フォーラムのプロセスの中で、現在、核の事故により、より影響を受け、そして、核兵器による最初の犠牲国でもある日本において、グローバルな会議を組織するアイデアが生まれた。多くの国において、地球の核汚染を避け、核の大惨事を防ぐために、原子力発電所をなくし、核兵器を廃絶させるために闘っている運動や組織がある。核エネルギーに関するテーマ別世界社会フォーラムは世界社会フォーラムの方法論と原則に従って—つまり参加者自身が自由に議論したいことを提案する—彼らの闘いに力を与え、新しい世界のキャンペーンとイニシアティブを描くことを可能にするだろう。

このグローバルな会議は福島事故の5年目となる2016年の3月に実現することが可能だろう。関心のある団体はいつ、どのように、どこで世界会議が開かれるか詳細について議論する機会が2回ある。2015年3月のチュニスでの世界社会フォーラムであり、核爆弾投下から70周年にあたる2015年8月、広島で行われるさまざまな活動の中である。

この提案に署名する2つの団体、1つはブラジルからもう1つは日本から、は関心のある団体に2015年3月24日から28日までチュニスで開かれる世界社会フォーラムで、核エネルギーに関するテーマ別世界社会フォーラムの準備促進委員会を結成すること、そして、そのイベントが必要とするガイドラインを作ることをよびかける。

チュニスの会議には参加はできないけれども、このプロジェクトに参加したい人びとはインターネットを通じて連絡をしてほしい。

2014年10月
原発のないブラジル連合(Coalition for a Brazil Free of Nuclear plants)
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Proposal
Towards the realization of a World Social Thematic Forum on Nuclear energy

During a study tour to Fukushima in October 2014, a Brazilian participant and Japanese antinuclear militants discussed the need of a better linking between them as well as with antinuclear movements of other countries, to deepen and enlarge their action facing interests that have an international dimension. In this discussions born the idea of organizing, inside the process of the World Social Forum, a global meeting on nuclear energy in Japan, the country more affected today by a nuclear accident and first victim of the atomic bomb. In many countries, there are social movements and organisations that are struggling to phase out nuclear plants and to destroy the atomic bombs arsenals, to avoid the radioactive contamination of all the Earth and a nuclear apocalypse. A World Thematic Social Forum on Nuclear Energy of this movements and organisations, following the World Social Forum methodology and principles – that is to say, people proposing freely what they want to discuss – would reinforce their struggles and make possible to design new world campaigns and initiatives.

This global meeting could be realized in the 5th anniversary of Fukushima’s disaster, in march 2016. Interested organizations would have two occasions to meet to define more precisely when, how and where the world meeting could take place: during the World Social Forum in Tunis, in March 2015, and during the activities that will be organized in Hiroshima in August 2015, on the 70th anniversary of the explosion of the atomic bombs.

The two organisations who sign this proposal, one from Brazil and another from Japan, invite the interested organizations to meet in Tunis (from the 24th to the 28th March 2015) to build a Facilitation Committee of the World Social Thematic Forum on Nuclear Energy, and to establish the first guidelines of the event and the support it will need.

Those who cannot come but want to participate of this project are invited to write to us indicating their interest.

October 2014

Coalition for a Brazil Free of Nuclear plants.
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まだ、日本側から公式にこのプロセスに参加することを表明した団体はなく、ぜひどこかがその声をあげてほしいと思っています。それまで関心ある個人をつないでこの提案を広げていく予定なので、関心のある人は以下のフォームを使って連絡をお願いします。

3月26日からチュニジアのチュニスで行われる世界社会フォーラムでこの問題が検討されることになりました。

詳しくは#世界社会フォーラム ブログへ。

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