生物多様性・免疫・アグロエコロジー

「生物多様性・免疫・アグロエコロジー」をテーマに私見をまとめつつある。下記の関心のもと、今月末にブラジル・サンパウロで開かれるアグロエコロジー国際会議に参加する予定。関心ある人びとと交流し、つながっていきたいと考えている。


生物多様性・免疫・アグロエコロジー

化学企業の食・農業生産への進出

第2次世界大戦後、化学企業が食や農業分野に進出、化学産業、穀物関連企業、政府などからなるアグリビジネス複合体が形成された。

アグリビジネス複合体による食と農業生産支配が進むにつれ、農業の生物多様性が激減、健康被害も世界化していく。

その化学企業のルーツを探ると爆弾製造にぶつかる。鉱山から掘削する硝石からの爆弾製造からアンモニアからの化学合成にシフトしたのは第一次世界大戦でのドイツが起源。ドイツのバイエル、BASF、米国のモンサント、デュポンは爆薬含む戦争遂行に重要な化学物質の生産で巨大化。

戦争終了後、その膨大な生産が化学肥料、農薬に振り向けられる。「緑の革命」を活用して、化学企業の農業生産への進出が進む。1996年に商業栽培が始まる遺伝子組み換えもこの延長線上にある。バンダナ・シバは遺伝子組み換えを「第2次緑の革命」と呼んでいる(最初の緑の革命がまだ国際機関に主導されていて、食糧増産という目的が存在していた[農薬や化学肥料の増産や農業生物多様性の激減という被害をもたらしたものの、食糧増産は達成している]が、第2次の革命はモンサントなどの民間企業が自己の利益のためだけにやっているもの[食料増産はまったく達成していない]である違いがあるのみ)

アグリビジネス複合体がもたらす様々な問題

この生産の拡大がもっとも典型的に展開されたのは南北米大陸。特に南米での状況は先住民族や小農民の虐殺を含む暴力的な形で展開され、広大な大豆などのプランテーションが拡大する一方、多くの人が土地を奪われ、農薬で汚染されるなど、まさしく静かな戦争が進んでいると言うべき状況が生み出されている。

こうした農業生産の支配は一方で、消費者の健康も大きく損なう結果を生んでいる。とりわけ90年代後半から米国ではガン、糖尿病、アレルギーなどの慢性疾患が急増、特に子どもにおける慢性疾患の急増は深刻になりつつある。

生物多様性の損失は同時に人間の健康、免疫の危機となる。生物多様性の危機は人類の生存の危機にもつながる。ここ数十年で生物多様性は大幅に失われ、それを推進する最大の勢力がこのアグリビジネス複合体である。森林破壊、生物多様性の破壊、気候変動に作用するメタンガスなどの排出などにおいて、このアグリビジネス複合体は車・航空機などの交通機関をすべてを大幅に上回る影響を与えている。

そして、今、アグリビジネス複合体は残された最後のフロンティアを求めて、アジア、アフリカにその手を伸ばしている。

しかし、アグリビジネス複合体の農業モデルは石油から作られる農薬、天然ガスから作られる化学肥料、そしてガソリンなどで動く大型トラクターや農薬噴霧機(飛行機や車)など化石燃料を前提としており、存続には限界がある。

オルタナティブとしてのアグロエコロジー

こうした動きに対して、アグリビジネスが猛威を振るう南米からアグロエコロジーが大きな流れとなり、オルタナティブを担う運動として注目されている。生態系と調和した農業を行ってきた先住民族や伝統的住民の知恵と現代の科学の見識を統合する科学であると同時に、実践でもあり、運動でもあるとされるアグロエコロジーがブラジルやキューバを中心に発展し、今はラテンアメリカ中に、さらにはアフリカや米国、ヨーロッパにも広がろうとしている。生物多様性を回復させ、環境との共存を図るアグロエコロジーは未来への希望を切り開く。

生物多様性は傷ついた人びとの健康・免疫を回復する上で必須の要素である。たとえばカカオは抗酸性物質に富み、炎症を治す効果がある。その生物多様性から生まれる自然の富を地域の農民の経済的源泉として活用することで、アグリビジネスの圧力から守り、地域の自立と生きられる環境を守ることは今、重要な課題となっている。アグロエコロジーの世界的な交流を促進し、国境を越えたアグリビジネスに支配されない食の運動、地域間の連帯を実現していきたい。

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