判決を無視して新世代遺伝子組み換え大豆を押しつけるモンサント

昨年、ブラジルでモンサントの遺伝子組み換えのラウウンドアップレディ大豆(RR1)のロイヤルティ徴収を違法とする判決が下った。モンサントのRR1の特許は2010年に切れており、農家が大豆の種を保存し、再利用する権利があるとするものだった(2012年4月)。

しかし、モンサントはその判決を不服として係争中であり、ロイヤルティの徴収を続けると宣言、その後、大豆農家側はモンサントによるロイヤルティ徴収の即時停止を求めてマトグロッソの農民組合(Federação de Agricultura e Pecuária de Mato Grosso, Famato)が告訴し、裁判所はその訴えを認め、モンサント側は追い詰められていた。マトグロッソ州はブラジルの大豆生産の中心的位置を占めている。

モンサント側からの反撃は今年1月23日に提示された。モンサントの新しい遺伝子組み換え大豆(INTACTA RR2 PRO)の契約を結んだ農家とはRR1のロイヤルティの支払いを免除するというものだ。7割近くの農民組合はモンサントからの提案を受け入れてしまっているようだ。しかし、マトグロッソ州の農民組合はその提案をモラルに反するとして拒絶している。

この新しいモンサントの遺伝子組み換え大豆 INTACTA RR2 PRO とはどんなものなのか? RR1との違いはRR2が殺虫効果を持ったBt大豆であることだ。最初の世代ラウンドアップレディ(除草剤ラウンドアップに耐性のある)大豆は除草剤ラウンドアップには耐えるように遺伝子組み換えされているが、虫対策はされていない。集中的に大規模耕作されるブラジルでは害虫対策が大きな問題になっているため、そのRR1にBtを組み込んだ。

Btとは虫が食べると即死するバクテリアだが、そのバクテリアを生成するように遺伝子組み換えされたのがBtコーンやBt大豆である。Btそのものは自然に存在し、それを使った農薬も存在する。しかしそうした農薬が早く分解され、実害が大きくないのに対して、Bt遺伝子組み換えのBtは作物に残り続ける。Btを組み込んだ遺伝子組み換えの危険を指摘する研究は複数存在する。

第1世代の遺伝子組み換え大豆に比べ、第2世代の遺伝子組み換え大豆 INTACTA RR2 PRO は有害性がさらに増している可能性は高い。実際にこの第2次世代大豆を中国はまだ承認していない。マトグロッソ州の大豆農民組合は中国に承認されていないこの INTACTA RR2 PRO の耕作により、多大な損害をブラジル農家は受けるとしてモンサントを批判している。

より有害性の高い大豆を消費者が拒否すれば生産者としても生産できない。それでは日本はこの INTACTA RR2 PRO に対してどのように対応しているだろう? 残念ながら日本政府はすでに昨年11月に日本での飼料や食料用に承認済みである(MON87701、MON89788。下記資料参照)。

現在の日本での遺伝子組み換え承認審査ではほとんど市民の側の意見が取り入れられる可能性がない。形式ばかりのパブリックコメントが行われるだけ。

こういう制度を利用して、モンサントはブラジルや南米の農家に新しい遺伝子組み換え大豆を押しつけ、それに抗う道を封じていく。このままでは自然環境にとっても人類の健康にとっても決定的にまずい方向にまっしぐらであることは残念だが間違いない。

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