ファクトリー・ファーミングを終わりにしよう!

ここ数年、南米を中心とした遺伝子組み換えによる社会、環境の破壊の問題について何度も書いてきた。それほど大きな問題が遺伝子組み換え技術をエンジンに引き起こされている。ここで簡単に振り返ろう。

南米では90年代末から急激に大豆生産が拡大した。現在ではそのほとんどは遺伝子組み換えである。その生産規模は巨大で、アルゼンチンやパラグアイの農地の6割近くを占拠しているという。このモノカルチャーの拡大により、この地域で生きてきた先住民族や小農民が追い出され、土地を失い、飢餓状況に瀕しているというレポートが多数寄せられている。そして残り少なくなった自然林が破壊され、大豆畑に転換されている。

そればかりではない。この広大な農場に飛行機などから散布される農薬使用量が毎年増加して、集中耕作地域ではベトナム戦争を思わせるような先天性欠損症やガン、白血病など深刻な健康被害が生み出され、同時に動植物の異変など、周辺環境の被害も拡大している。

なぜ、こうした大豆モノカルチャーあるいはトウモロコシモノカルチャーが急激に拡大したのか? それには2つの理由がある。1つは石油に代わるバイオ燃料の原料としての需要が拡大したからであり、もう1つは今回取り上げるファクトリー・ファーミング(工場式畜産)の拡大によるものである。

この問題は決して対岸の火事に留まらない。こうして生産される遺伝子組み換えの大豆やトウモロコシで育てた家畜に病気が発生し、また短期間の成長を促すために大量の抗生物質が投与される。家畜の肉から残留農薬が検出される。遺伝子組み換え企業は遺伝子組み換えは安全であると言ってきたがそれに矛盾する研究結果は毎年続々と発表されている。

結局、毒を食べた家畜の肉はこれまた毒であり、やがて消費者の健康に影響を与えざるをえないだろう。

その問題とされるファクトリー・ファーミングとは何なのか? 以下のビデオを見るとその概観がわかるだろう。

このビデオはいささか動物愛護的観点が強すぎるかもしれない。しかし、問題なのは動物の取り扱いだけではない。

FAO(国際連合食糧農業機関)によるとファクトリー・ファーミングが世界の温暖化ガス排出の18%を占めており、メタンガスは37%、亜酸化窒素にいたっては65%に達する。これは自動車、航空機などの交通機関からの排出よりも大きい、という。ファクトリー・ファームから排出されるメタンガスは同じ量のCO2よりも70倍有害とされる。

ファクトリー・ファーミングは大量の石油、水、土地を必要とする。その維持のために環境破壊がもたらされる。

そもそも牛は牧草地の草を食べていたわけだ。それが工場に押し込まれ、草ではない穀物を食べさせられる。牛の生理には合わないことであっても、それもファクトリー・ファーミングの効率を上げる資本の論理では正当な方法となる。

劣悪な環境で満足な運動もできない家畜は病気になる確率が高い。そのために抗生物質の大量投与。その肉を食べて健康でいられるだろうか? 糖尿病、心臓病、ガンなどの危険性を指摘する声もある。そして、鳥インフルエンザのような、あるいはそれを上回る疫病がファクトリー・ファーミングから広がることも懸念されている。

以下のビデオもファクトリー・ファーミングが引き起こす問題をうまく表現している。

ファクトリー・ファーミングは自然破壊と健康破壊の悪循環をもたらす。このビデオが提案しているように、この悪循環を好循環に変えていかなければ世界はもたない。

現在、遺伝子組み換え鮭や遺伝子組み換え豚が開発されている。ファクトリー・ファーミングの利益を最大にするように、より短い期間で大きく成長させる、というわけだ。しかし、それを食べる側にとっては何のメリットがあるだろうか? 健康被害の懸念が大きくなるだけだろう。しかし、消費者の目の届かないところでこうした動きがどんどん進んでいるのが現実だ。

この流れを変えるためにはできることが多くある。

まず、ファクトリー・ファーミングで作られた肉には食品表示をさせる。家畜がどんな環境で育ち、どんな飼料で育っているかを表示させることで消費者は選ぶことができる。

あるいは安全な飼料を使い、健康な育て方をしている農家を直接支援し、ファクトリー・ファーミングの肉を買わない選択をする。消費者が買わなければその産業は回らなくなる。

肉食を減らし、菜食中心の生活にするのもいい方法だろう。

ファクトリー・ファーミングの規制、遺伝子組み換えの禁止などもまた重要な政治課題となる。

この現状に目をつぶり、外食産業の肉をどんどん食べていけば、このファクトリー・ファーミングは拡大し続ける。世界の小農民、先住民族を犠牲にし、世界を汚染し、そして自らの体も汚染する。モンサントやカーギルなどファクトリー・ファーミングにむらがる多国籍企業はさらに巨大化する。

もう待ったなしの状況だ。多国籍企業の規制を実現する政治を構築することはそう簡単ではないが、日々の食事は一人一人の選択ですぐに可能。生産者の支援はグループが必要となるだろうが、仲間を集めてやっていくことでできることは増えていくはず。ローカルな動きと国際的な連帯を重ね合わせていく食の運動が今ほど求められている時代はない。


追記:(1月29日)
ファクトリー・ファーミングに関する傑作アニメ(日本語字幕付き)。3分44秒。とてもよくできている。


The Official Meatrix II

The Official Meatrix II ½

The Meatrix 3

ファクトリー・ファーミングの批判を封じるAg-Gag法が続々制定

ファクトリー・ファーミングの実態を暴露する行為をテロリズムであるとして封じ込める信じがたいような法律が米国の10の州ですでに成立していて、さらに3つの州に導入されようとしている。
Shocking: Reporting Factory Farm Abuses to be Considered “Act of Terrorism” If New Laws Pass

その背後でうごめいているのは巨大企業のネットワーク、米国立法交流評議会(American Legislative Exchange Council : ALEC)。米国議会で実質的に法案を作っているとして批判される組織。

巨大企業が市民の権利を秘かに奪い、批判する能力すら奪おうとしている。米国で進行しつつある経済の軍事化、国内植民地化。TPPはこの国際化の試みだろう。

ALECについて

参考情報:

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