バイオパイラシー問題を考える:アマゾンでの生物多様性保全の取り組み

南の生物資源を北の企業が特許を勝手に取ってその利用権を独占してしまうバイオパイラシー、最後の例はアマゾンでの例。

アマゾン奥地、アクレ州で活動するブラジルのNGO、AmazonLinkのMichael Schmidlemner氏が活動を説明した。

アマゾンの果実、クプアス

クプアスの実を割ったところ

クプアスの実を割ったところ

クプアスはちょっとリオ以北の地域になじみのある人であればジュースにしたりアイスクリームにしたりして食べたことのあるやや酸味のあるおいしい果実として知っていることだろう。
クプアスは先住民族によって食料として、そして、難産を助ける油として、そして痛み止めなどの薬として使われていたものだが、先住民族にまったく関わることなく、勝手に日本で特許が申請されていた。

Amazonlinkが発見した時、アマゾンの果実、クプアスの名前は日本企業、アサヒフーズによって日本で商標登録され、自由に使えないものになっていた(1998年3月20日商標登録第4126269号)。単なる商標登録だけでなく、「クプアス種子由来の油脂及びその製造方法と用途」という「発明の名称」で特許が申請されており(2001/10/30 2001299278)、健康にいい油脂としてその製造法や使い方まで申請されていた。

調べていくと、特許や商標登録が申請されていたのは日本だけではない。EU(1999/12/16 915942)でも、米国(2003/6/24 2729413)でも、そしてジュネーブの世界知的所有権機関(WIPO, 2002/7/3 WO0125377)でもすべてアサヒフードによって申請されてしまっているのだった(注1)。

こうした動きを2002年に発見したAmazonlinkはアマゾンの社会運動のネットワークGTA(アマゾンワーキンググループ)などと連携しながら、大衆的なキャンペーンを行い、下院議員が日本の衆議院議長に向けて書簡を送るなどの事態に至り、アサヒフーズの登録商標は無効となり、特許も成立しなかった(*2)。

アサヒフーズによる不当な特許取得の問題を訴え、広がるキャンペーンを伝えるビデオ(ポルトガル語)

Aldeias Vigilantesプロジェクト

AmazonLinkのMichael Schmidlemner氏

AmazonLinkのMichael Schmidlemner氏

このケースはバイオパイラシー問題でアマゾンの先住民族や伝統的コミュニティがこの問題に覚醒するきっかけとなった。このクプアス以外にもアセロラなどさまざまなアマゾンの果実に特許がかけられている実態が判明し、Amazonlinkは”Aldeias Vigilantes (警戒する村)”というプロジェクトを始めることになった。

先住民族と共にバイオパイラシーの問題についてセミナーを開き、その問題についてコミュニティとして取り組める体制を取っていく。勝手によその研究者が村に入り込んで、生物資源を盗んでいくことのないようにコミュニティ挙げての取り組みが行われている(先住民族の村で研究をするためには政府の先住民族保護官庁であるFUNAIの許可を取り、さらにその当該の先住民族の承認が必要とされている)。

このビデオはバイオパイラシーの問題をアニメーションでわかりやすく伝えている(ポルトガル語)

この報告でこのセミナー報告は終わりとなる。参加者の意識も高く、10月2日のSeed Freedom Campaignやインド、ハイデラバード(COP11)に向け、こうした運動とつながっていくことの意義を強く感じた。

注1
Cupuacu Internationalによる特許もあるが、この会社はアサヒフードの米国での提携先

注2
特許の成立についてコメントがあったため、特許が無効になった、という既述を一時的に確認できている商標登録が無効になった、と書き換えたが、やはり特許は無効になっていたので再度書き直した。

参考情報

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