バイオパイラシー問題を考える:セラードでの生物多様性保全の取り組み

南の豊かな生物資源を北の企業が自分の発明として特許を申請してしまい、その独占的使用権を得てしまうというバイオパイラシー、次の例はブラジルのセラードでの活動。

ブラジルのセラードはブラジル中央部に存在するサバンナ地域。生物多様性に富み、世界にも他にない生物が存在する。しかし1970年代以降、大規模大豆モノカルチャーやユーカリ植林が進み、その生態系は大きな被害を受けている。

PacariのLourdes Laureanoさんそうした中でセラードの生態系を守りながら、セラードの伝統的な種子や薬草などを使って経済活動を続けている小農民のネットワークが活動を地道に続けてきた。今回のセミナーでは1999年に設立されたPacari(パカリ)というネットワークのLourdes Laureano氏(右写真)がその生物資源とコミュニティの権利を守る活動を報告した。

Pacariが活動するのはブラジルのミナスジェライス州、ゴイアス州、トカンチンス州、マラニョン州の小農民、キロンボ(黒人自立共同体)住民、先住民族の50の共同体。どの共同体にもハイゼイラ/ハイゼイロと呼ばれる薬草を調合するコミュニティの伝統的な医師的な存在な人がいて、伝統的な知識が世代から世代へと受け継がれてきた。

”Farmacopéia Popular do CERRADO”ハイゼイラ/ハイゼイロの知識は口述で受け継がれており、書かれた記録として残っていない。外国企業によるバイオパイラシーからセラードの生物資源とコミュニティの知識を守るためにPacariは広範な地域に散らばるコミュニティの知識をコミュニティの遺産として記録に留める活動を2001年に始めた。この活動には4年かかり、2009年に”Farmacopéia Popular do CERRADO(セラードの大衆薬局方)”として350ページを越す大著にまとめられた。薬草の特徴、維持可能な育て方、薬草としての利用方法、毒性などについて写真とともにまとめられている。この書籍はブラジル環境省のサイトから無料でダウンロードできる。

Lourdes Laureano氏は近年のアグリビジネスによる圧迫に加え、政府による環境保護政策によって自然が囲い込まれてしまう困難を訴えた。伝統的コミュニティは自然から得られる薬草や種子を活用して生活しているのに、その自然が囲い込まれてしまう。囲い込まれた環境保護地域には入ることもできないし、採集活動も禁止されてしまう。

自然にダメージを与えることなく、自然の産物を生かしていく伝統的コミュニティの生活はこうした政策の中では厳しい状況に置かれてしまう。こうした政策の変更を求めていくためにも、PacariはRio+20/ピープルズ・サミットの準備過程を活用して、薬草バイオマスネットワーク(Rede Biomas Medicinais)を結成準備を進め、ピープルズ・サミット開催中に結成した。

セラードの残された自然を守りながら、伝統的コミュニティの権利を確保していくPacariの活動は貴重だ。国連開発計画(UNDP)のEquator Prize 2012でも表彰されたという。また、コミュニティの経済力強化のため、セラードの薬草を使った化粧品などをPacari Cerrado Eco-produtivoというブランドで商品化してもいる。
Pacariブランドの商品

参考資料

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